死んだ山田と教室
「死んでんすね、俺⁉️」
山田はそう言った。
クラスのムードメーカーだった山田は猫を助けようとして、交通事故で突然死んだ。
夏休みが明けようとする間先の出来事だった。
男子高校に通う生徒たちは一応に沈んだ。
「山田が生きていない世界」なんて、想像すら出来なかったからだ。
しかし、山田は「教室のスピーカー」に憑依して喋り始めた。
担任の教師とクラスメイトの間だけの秘密。
「山田」は「生きている」のか、それとも「死んでいる」のか、そんな疑問を置き去りにして、小説は語られていく。
またまた大変な才能に遭遇した。
金子玲介「死んだ山田と教室」。
メフィスト賞受賞作品。
僕も「男子校」出身だけに、この「ダラダラ感」も「甘酸っぱさ」もよく分かる。
「女子」がいないという事で、「信じられる事」がきっとあるはず。
この小説はそんな「男子校」を描いた「山田」と「クラスメイト」の青春群像劇である、はず。