真鍋さん
僕が真鍋さんと会ったのは、最後にプロデューサーを務めた連続ドラマ「天国への階段」での事だった。
彼は主演の佐藤浩市さんの「付き人兼マネージャー兼俳優」。
彼は明るくて、「現場の空気」がとても読める人。クレバーで、佐藤浩市さんからの信頼も厚い。
このドラマのクランクイン前、僕は「うつ病」を発症。何をする気も起こらず、初めて精神科に通い始めた。
「天国への階段」の撮影は北海道・浦河町から始まった。
真鍋さんの出身地でもある。
12月だったろうか❓
とても凍てつき、寒かった思い出しかない。
毎晩、佐藤浩市さん、真鍋さん、僕、そして後輩のAP竹綱の4人で、浦河町の「ラウンジ」に繰り出した。
演出の鶴橋康夫監督は毎晩、他の出演者と飲んでいた様だが、僕はそこに参加する事を何故か避けていた。
もうほとほと、「鶴橋流」の喋りの中にいるのが嫌になっていたのだろう。
帰京後、鶴さんには「なんで一緒に飲まなかったか❓」
とかなり皮肉を言われたが、僕はスルーした。
そんな鶴橋康夫監督の一周忌も明後日、10/9だ。
僕たち4人は「王様ゲーム」に嵩じた。
詳しくは憶えてないが、「王様」になった人が「ビリ」の人に何でも命令できる。
僕は「ハイヒールにブランデーを並々と注いで飲んだ」し、今ここに書けない様な事をいっぱいした。
みんな(笑)‼️
4人とも気持ちが高揚していたのかも知れない。
都内ロケで、真鍋さんは「役者」としてドラマに出演。
これが本業なのだ。
聞き込みをする刑事役だった。
「天国への階段」の最終回、クランクアップのロケは、贅沢にも「沖縄・宮古島」。
佐藤浩市さんがコネクションを使って、押さえてくれたホテルが宿泊先。
クランクアップした夜、佐藤浩市さんの差し入れで、ホテルのプールサイドで「バーベキューパーティー」をする事に。
真鍋さんが酔っ払って、プールに飛び込む。
僕も「服を脱ぎ、携帯電話を置いて」慎重にプールに飛び込んだ。
あとで、二人は佐藤浩市さんにマジで叱られた。
それから、しばらく真鍋さんとは会わなかった。
真鍋さんは役者を辞めて、「ホリプロ」のマネージャーになった。
僕の知り合いの若者が「俳優」になりたいとの事で、「ホリプロ」に連れて行って、真鍋さんの面接を受けさせた事もあった。
資料用に写真を撮り、丁寧な面接をしてくれた。
落とされたが。
真鍋さんが「ホリプロ」を辞めて、「ライザップ」て営業をしているという噂を耳にした。
本当の様だった。
彼の「正義感」「生真面目さ」が「ホリプロ」という会社とぶつかったのでは無いかと心配していた。
そして、社長のワンマン経営である「ライザップ」の営業をしているのは彼に取って、さらにシンドイことなのでは無いかと、要らぬ危惧を抱いていた。
数日前、真鍋さんのからLINEが来た。
9月1ヶ月、教習所に通って、「普通二種」の免許を取り、「タクシーの運転手」になったとの連絡だった。
今は毎日、午後3時からよく朝10時まで都内を流しているという。
「タクシー」が必要だったら、連絡して欲しいと。
真鍋さんは独身だ。
今、55歳。
でも、今「テレビ局」はかつての勢いは無く、「タクシー利用」も一切禁じられている。
僕も「うつ病」に罹患したあと、2015年に「双極性障害(昔の「躁うつ病」)」になり、今やっと病状は落ち着きを見せている。
僕は来年3月、完全にリタイア。
3人の子供は独立して、今は夫婦2人の生活。
同じ、東京の空の下、いろんな巡り合わせがあり、いろんな人生がある。
真鍋さん、おしゃべりが大好きで人見知りしない彼は後部座席のお客さんと笑いながら盛り上がってタクシーを運転している事だろう。