東京大阪「台本」の違い
東京と大阪の「バラエティー番組」の台本の違い。
東京の方は「MCの台本には『ゲストや観客を笑わせる内容』まで書かれていて、東京のタレントさんは「台本通り」に忠実になぞって進行していく事が多い。
大阪の台本。書かれているのは「必要な情報」だけ。あとは「スタジオ大爆笑のうちにCMへ」という一言のみ。
台本を事細かく書くと、関西の芸人さんやタレントさんには失礼にあたる。
「笑いにうるさい関西人」にとって、「笑いは『芸人・タレントの喋りの才能』によって突発的に起こるもの」。「予定調和」は考えられない。
そういう意味で、最近感じているのが、関西のテレビ番組は「とってもラジオ的」だと。昔から。
伝説のトーク番組「鶴瓶・上岡のパペポTV」(読売テレビ・1987〜1998年)。この番組はラジオ番組「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」(ラジオ大阪・1978〜1989年)をテレビ化したものだ。
「鶴瓶・新野のぬかるみの世界」は、笑福亭鶴瓶さんと放送作家の新野新さんが2人で喋るだけのラジオ番組。番組タイトルは「鶴瓶と新野の『喋りのぬかるみ』に視聴者がハマる事」から来ている。
鶴瓶さんで言えば、「突然ガバチョ!」(MBSテレビ・1982〜1985年・基本、関西ローカル)も映像無しで聴いているだけでも楽しい。
この番組もラジオ番組「MBSヤングタウン(通称・ヤンタン1967年〜)の影響を強く受けている。
同じMBSテレビの「夜はクネクネ」(1983〜1986年・関西ローカル)。原田伸郎、角淳一アナウンサー、トミーズ雅の3人が街を延々歩くだけの番組。偶然出会った一般の人とトークを繰り広げる。この番組も耳だけで聴いても楽しい「ラジオ的」な番組だ。
少し古くなるが、「プリン&キャッシーのテレビ!テレビ!!」(読売テレビ・関西ローカル・1973〜1975年)も「ハガキを読むだけ」というコンセプトで作られた番組。
それは非常に「ラジオ的」。司会の横山プリンが視聴者から来たハガキを足で踏みにじるなど、ほかの番組に無い過激さが中学生だった僕を強く惹きつけた。
「ハガキを読むだけ」というコンセプトは後に森脇健児・山田雅人司会の「ざまぁKANKAN!」(読売テレビ・関西ローカル・1988〜1990年)に受け継がれている。
東京のテレビ局と違って、予算規模も小さい大阪のテレビ局。
「セット」などにお金をかけず、「笑い」を取る事に全力を賭ける。
大阪のスタジオから毎日放送している「情報ライブミヤネ屋」(読売テレビ制作・日本テレビ系全国ネット・2006年〜)。宮根誠司さんの喋りもどこか「ラジオ的」だと思う。
そのトークの根底に流れるものは「大阪のおばちゃんトーク」。
何でも「笑い」に変え、人間関係をスムーズに進める。
それが「商人の街」、大阪に脈々と受け継がれているのかも知れない。