イギリス湖水地方とネス湖
一歳になる長女を連れ、家族三人でイギリスに行った。ちょうどクリスマスの頃。
ロンドンから鉄道に乗って、ピーター・ラビットの故郷・イングランド北部の湖水地方を巡り、さらに北上してネス湖でネッシーを観て、ロンドンに飛行機で戻るというプラン。しかし、この計画に大きな壁が立ち塞がった。
イギリスには「BOXING DAY」という日がある。クリスマスの飾りを箱に仕舞うという日。この日、イギリス国鉄は全線ストップ。
慌てて、レンタカー屋に駆け込み、車で湖水地方を目指す事になった。その距離、500km余り。大型のVOLVOを運転して、慣れない道を走る。路肩に出来たアイスバーンで何度も滑りそうになる。
湖水地方の「お菓子の家」の様な可愛いホテルに着いたのはもう日が暮れようとする夕方。粉雪がしんしんと降っていた。音が降る雪に吸収されるのか、とても静かで心が癒される。
翌日は湖水地方の中心にあるウィンダミア湖で汽船に乗る。手が痛い程寒い。さらに車で北上。グラスゴーのヒルトンホテル泊。
グラスゴーの街には日本人がたくさん働いていて、ホテルのレストランのビュッフェでも美味しい日本食が食べられる。運転で疲れた身にはありがたい。長女は車の中でも大人しく寝てくれている。
グラスゴーから北は道路が凍結していて危険なので、鉄道でネス湖観光最寄り駅インヴァネスへ。駅前に赤提灯がぶら下がっていて、そこにはカタカナで「カラオケ」と書かれていた。日本から遠く離れたこの地で「カラオケ」と出会うとは感慨深い。
ネス湖周辺は限りなく曇天。いつ「ネッシー」が出てもおかしくない雰囲気を醸し出す。お土産物屋でネッシーが刺繍されたワイン色のトレーナーを購入。これは今でも持っている。僕のお気に入り。
インヴァネスからグラスゴーに戻り、空路ロンドンへ。ロンドンでは寒い中、長女を遊園地に連れて行く。メリーゴーランドに乗った長女は上機嫌。吐く息が白い。ロンドンは北海道と同じくらいの緯度。
ホテルのロビーに置いてある朝日新聞で、フリーアナウンサー・逸見政孝さんの訃報を知る。年を越えて、日本航空にて帰国の途に付く。座席に余裕ができたのか、赤ちゃんを連れているからなのか、食事はまんまだがビジネスクラスにアップグレードしてくれた。機内でも長女は一切泣かず、家族三人、無事日本到着。今思うと、懐かしくも良き想い出が出来た年末年始の旅だった。