「キングコング」と「カサンドラ・クロス」
1976年、年末、2本の映画が封切られた。
「キングコング」と「カサンドラ・クロス」という超大作である。
前者の配給は「東宝東和」。後者は「日本ヘラルド」。
そして、前者のプロデューサーは「ディノ・デ・ラウレンティス」。後者は「カルロ・ポンティ」。
「カルロ・ポンティ」は女優・ソフィア・ローレンの旦那でもある。
どちらも「イタリア系独立プロデューサー」だった。
「日本の配給会社」「イタリア系プロデューサー」対決だったのだ。
僕はその事に密かに気付いて、ほくそ笑んでいた。
当時、高校生の僕には金が無かった。
だから、「男子校」に通っていた僕は「ジェシカ・ラング」の「妖艶な裸体」見たさに「キングコング」を観に行ったのだと記憶している。
確か、阪急三宮駅に隣接するロードショー館「阪急会館」では無かったか。
そして、なんとか小遣いを工面して、「カサンドラ・クロス」も観に行く事になる。
こちらを観たのは、国鉄三ノ宮駅の東側にあった神戸新聞ビルの中の「新聞会館大劇場」。
この頃、年末年始は大概、2本か3本の大作映画が重なって公開されていた。
例えば、センサラウンド方式で上映された「大地震」と「エアポート'75」。
どちらの主演もチャールトン・ヘストンだ。
彼はハリウッドの大作に主演する大スターであり、アメリカライフル協会の会長でもあった。共和党支持者。
今みたいに、「DVD」や「配信」で映画を観るという方法は無いのだから、新作を観るには「映画館」に足を運ばなくてはならない。
「映画館に行った時の記憶」が「映画」に付随して、僕の頭の中に残っているのである。
中学・高校と6年間、映画を観続けた「三宮」という街。
僕にとって、どんなに愛おしい事か。
「阪急会館」「阪急シネマ」「阪急文化」「三劇」「三映」「新聞会館大劇場」「スカイシネマ」「神戸国際松竹」「神戸国際日活」などなど。
全ての「映画館」が僕の心の中で、今でも「宝石」の様に光り輝いている。
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