今年の冬も、暖かいのは「便座」だけ。
俺にとって、冬に、クリスマスに暖かいのは「便座」だけだった。
毎日使うトイレにその日だけは愛着が湧いた。
「お前だけは、お前だけはずっと暖かくてそばにいてくれるんだよ」
便座に呟きながら、便座を撫でまくった。
人としての行為じゃないことは承知済みだ。
もちろん、この話をすると周りの友達もまっさらいなくなる。
「お前、いい病院教えてあげようか?」
友達の最後の言葉はみんな揃ってこうだ。
至ってこっちは真面目にやっている。
ひとりぼっちの悲しさを、便座が癒してく