学びを育むために:子どもと向き合う指導の在り方
期末テストが終わって
期末テストが終わった。努力が結果に結びついた者もいれば、そうでない者もいる。Aさんもその一人だ。彼女は今回のテストに並々ならぬ意気込みで臨んだが、結果には納得できなかったようだ。
Aさんは入会当初、「勉強は好きではない」という理由で、なかなか勉強に取り組めずに葛藤していた。そこで彼女が前向きになれるよう、日々サポートを続けてきた。その結果、少しずつ前進し、彼女自身も手応えを感じられるようになっていた。今回、テスト結果を見せに来た際、Aさんは「親にはまだ見せていない」と言った。
理由を尋ねると、「親には見せにくい」と口にしたが、続けて「一緒に頑張ったから」と私に伝えてくれた。その一言を聞いたとき、彼女が私に信頼を寄せてくれていることに嬉しさを覚えると同時に、親子間に何らかの隔たりがあるのではないかという心配も感じた。
子どもの気持ちを聞く姿勢
子どもがテストの結果を持ってきたとき、最も大切にすべきことは、感情に任せて叱ることでも、「次、頑張ろう!」と軽く流すことでもない。まずは優しく「どんな気持ち?」と尋ねることだ。
もし悔しい思いがあるなら、それは「問題意識」が芽生えている証拠であり、成長のきっかけが隠されている。その気持ちを引き出し、受け止めることで、子どもが自分自身の課題に向き合う第一歩を踏み出せるようになる。
勉強嫌いの背景
勉強が嫌いな子どもの多くは、「好き嫌い」で取り組む傾向がある。勉強の中で生じる「問題」を「嫌なもの」として放置してしまう。さらに、親や教師から叱られ続けることで嫌悪感が増幅し、ますます勉強から距離を置くようになる。最終的には意欲を失い、「勉強なんてできなくてもいい」と投げやりな態度を取ることもある。
こうした背景に共通している根本的な原因は、「勉強はやらされるものだ」という意識の強さに起因することが多い。
「問題」を「課題」に変えるサポート
「問題」を「問題」として終わらせず、「どんな気持ち?」と尋ねることで、子どもが自分の感情を言葉にする機会を作ることが重要だ。その感情を受け止めたうえで、自ら向き合うべき「学習課題」として捉え直せるようサポートする。この過程を繰り返し、目的意識のある練習へとつなげることで、子どものペースに合わせて前向きな成長を促すことができる。
結果だけではなく過程を大切に
受験は結果が問われる場である。保護者も子どもを成績向上を目的として塾に通う以上、結果が重要であることは言うまでもない。しかし、どのような方法であっても結果さえ出ればよいわけではない。強制や圧迫に頼った指導がなくならない背景には、それを支持する保護者の存在がある。だが、こうした指導は子どもの人権を軽視し、長期的な成長を妨げる危険性をはらんでいる。
だからこそ、指導者は子どもたちの感情や個性に寄り添い、成長を支える存在でありたい。結果だけにとらわれず、努力の過程を大切にすることが必要だ。子どもが自ら学び、成長できる環境を共に作り上げることこそ、私たち指導者の使命である。