学習困難を抱える子どもを支援する指導者に求められる資質
学習困難を抱える子どもを支援する指導者に求められる資質は、「何をやめるべきかに固執するのではなく、何をやり始められるかに焦点を絞る」姿勢を持つことにあります。これは、困難に対処する際の柔軟な思考と、障害を受け入れ、活用する視点を指導者自身が備える必要があることを意味します。研究によれば、レジリエンスは単なる逆境耐性ではなく、状況を受け入れ、そこから適応するための新しい手法やスキルを見出す能力に関わっていることが示されています (Masten, 2014)。
例えば、Dweck(2006)の研究では、「固定思考(fixed mindset)」ではなく「成長思考(growth mindset)」を持つ指導者が、学習困難を抱える子どもに対して効果的な支援を提供できることが示されています。成長思考を持つ指導者は、生徒の失敗や障害に対し悲観的な視点を持つのではなく、成功するために必要な方法を見つけ出す姿勢を持ち続けます。このような視点を持つことで、学習困難を抱える子どもにとっても「何をやめるべきか」ではなく、「何をやり始められるか」に集中できる学びの環境が構築され、子ども自身が主体的に成長することが期待されます。
さらに、逆境に対する柔軟な対応ができる指導者は、子どもに対して「望ましくない状況を受け入れる能力」を促進させることも重要です。Dunn & Dunn(2008)の研究は、障害を抱えた子どもが自己受容を深めると、自己効力感が高まり、さらなる学びへの意欲が増すことを示唆しています。指導者がそのような姿勢を示し、子どもが困難を受容し、それを成長の要素と見なせるよう支援することは、学習者にとって重要な自己成長の要因となります。
よって、学習困難を抱える子どもを支援する指導者には、子どもが抱える課題に対し、固定概念にとらわれず、柔軟で前向きな対応をする資質が求められます。このような指導者は、困難な状況に対しても前向きに取り組むことの大切さを示し、子どもたちにとっての学びと成長のモデルとなるでしょう。
引用
Dweck, C. S. (2006). Mindset: The New Psychology of Success. Random House.
Dunn, D., & Dunn, L. M. (2008). The Resilience Workbook: Essential Skills to Recover from Stress, Trauma, and Adversity. New Harbinger Publications.
Masten, A. S. (2014). Ordinary Magic: Resilience in Development. Guilford Press.
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