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ブルーハーツの思い出
僕が16歳、高校1年生の夏に、その衝撃が、来た。
東北での、野外ロックフェスティバルでの、ことだった。
1986年当時、ブルーハーツはシングル、人にやさしく、をインディーズで発表、ファーストアルバムを、引っ提げて全国を、回っていたように、記憶している。
僕は、ブルーハーツ目当ての、ロックフェスティバル参戦では、なかった。
もっと言えば、ロック、目当ての参戦でもなかった。
ただ、なにか、刺激が欲しかったのだ。
その時、僕は、ステージの前に、いた。
そして、ブルーハーツが出てきた。
ボーカルのヒロトは、丸坊主で、ボロボロのブルージーンズに、白の薄汚れた長袖Tシャツで、赤い細い腕章をしていた。そしてヒロトは、ステップも軽やかに、現れたのだった。
他のメンバー、ギターのマーシーは、黒の細見のジーンズに、中原中也の手製のTシャツ。そして、ベースの河ちゃんは、赤い星が大きく全面に描かれた、Tシャツを着ていた。ドラムの梶くんは、モヒカン刈りで、黒のタンクトップに、深緑のアーミーパンツだった。梶くんは、ゆっくりと笑って、手を振りながら、ステージへ、歩いて来た。
ボーカルのヒロトが、「おーい!」と連呼した。
そして、1曲目のタイトル、「未来は僕らの手の中」じゃ、と、叫んだ。
ギターが呻る。
ドラムが響く。
ベースが畝る。
ヒロトが、狂って、歌った。
月が空に張り付いたら
銀紙の星が、揺れてら
誰もがポケットの中に、
孤独を、隠し持っている
あまりにも突然に、昨日は砕けてゆく
それならば、今ここで
僕ら、何かはじめよう、
衝撃、だった。
もう、逝かれていた。
何でも、できる、と思った。
未来に、対する熱い想いと、勇気がみなぎって、来た。
ライブが終わって、僕は、物販で彼らの、1stアルバムを、買った。