謝り癖が直らない
時々謝りすぎだと言われる。自分で自分は謝りすぎていると思ったことはないのだが、人並みの自己肯定感がある人から見ると、自己肯定感が人並み以下、いや、皆無に近いわたしは謝りすぎに見えるらしい。
先週も、あまり話したことがない先輩と仕事をしていて、突然「謝りすぎじゃない?」と言われた。反射的に「すみません」と返してしまい、「ほらまた~笑」と笑われた。どんだけ謝ってるんだ、わたし。
こんなことを言われるようになったのは最近のことではない。初めて謝りすぎと言われたのは、高校生のときだ。
中学でソフトテニス部だったわたしは、高校ではバドミントン部に入部した。最初は初心者だからと、先輩や中学からバドミントンをやっている人たちとは別メニューで練習をしていたが、入部して半年くらい経ってからはみんなと一緒に練習をするようになった。
練習の最初は基礎打ちから始まる。ドライブ、ヘアピン、クリア、ドロップ、スマッシュと、相手を変えながら基本的なショットを打ち合う。これがいつも通りできればいいのだが、壊滅的にラリーが続かない日があった。
ドライブを打ち返すと、4本に1本くらいはネットにかかる。最初のうちはなんか今日調子悪い気がするなーくらいの気持ちなのだが、段々と悲しくなってくる。これでは自分の練習にもならないし、何より相手の練習にならない。あぁ、最悪だ。
シャトルがネットにかかると、反射的に「すみません」といい、急いでネット際にシャトルを取りに行く。これが相手が変わるまでの2分間、何度も繰り返される。
その様子を見ていた先輩に、基礎打ちが終わった後に話しかけられた。
「そんなに謝らなくていいよ」
そんなことを言わせてしまって何だか申し訳なくなっちゃって、またわたしは「すみません」と言ってしまった。
ちなみに言われたのは一人じゃない。二人の先輩に同じようなことを言われた。
二人に指摘され、わたしは相当「すみません」を連発していたんだなと気づかされた。ただ、本当に申し訳ないと思って言っていること。そのときはそこまで気にしていなかった。
大学生のときは基本へらへら過ごしていたので、謝りすぎなどと言われることはなかった。けど、今思えば相手にも非があるのに、一方的に自分が悪いと思い込んで謝り続けた結果、相手を図に乗らせ、払わなくてもいいお金を払わされそうになったことはあった。
自転車で大学に向かう途中、自動車と接触事故を起こした。そのときに、自動車の運転手のおばさまに「車が傷付いた。修理代10万払え」と言われた。
ペーパードライバーだが、一応運転免許を持っているので知っている。自動車と自転車がぶつかって、自動車側が1mmも悪くないなんてことはありえない。
ただ、自転車はまだ漕げる程度の損傷で、私自身も見た目大した怪我をしていなかった。さらに、ちょっとよそ見をしていた自覚があって「すみません、すみません」と言っていたせいか、相手を図に乗らせてしまったらしい。修理代全額払えとは何事だ。
このときは相当テンパっていたのだが、色んな人に助けられ、結局私自身は一円も払わずに済んだ。謝りすぎるのは良くないと、このときに学んだ。
社会人になってからは、上司に指摘された。直接言われたわけではない。5年次研修で渡された、上司からのお手紙的なものに書かれていた。
そこには上司が思うわたしのいいところ3つと、直した方がいいところ3つが書いてあった。後者のひとつが謝りすぎるところだった。
それを見たときに、そういえば高校のときにそんなこと言われたな、事故ったときに謝りすぎて相手を図に乗らせてしまったことがあったな、などと思い出した。
きっと高校の時からずっと謝るのが癖になっていたんだろう。社会人になったのに、こういうところは全然変わってないんだ。なんだか虚しくなった。
このときから、自分の謝り癖を気にするようになった。こんなこと誰にも相談できなくて、ネットで調べると「すみませんを他の言葉に置き換えましょう」「自信をつけましょう」「ミスを少なくするようにしましょう」などと書かれている。
「すみませんを他の言葉に置き換えましょう」ならできると思ったが、いざやってみると、長年染み付いた癖はなかなかとれず、感謝する場面でもすみませんと言ってしまう。注意はするけど、なかなか直せない。
自信がついたら苦労してないし、そもそも人から見たら謝る場面でないのに謝っているみたいだから、ミスを少なくするようにしましょうは対策として間違ってないけど、なんか違う気がしている。
何を直せばこの謝り癖は直るんだろうか。
考えてもわからなくて、一生このままな気がしている。どうしたものか。。