灯台のぼる記 #8 神戸メリケンパークオリエンタルホテル灯台
長い…名前が…長い…。
今回は、神戸港にある「神戸メリケンパークオリエンタルホテル灯台」を見てきました。
ちなみに、灯台にはのぼれなかったので、近くまで行っただけです。
11月1日はみなさんご存じ「灯台記念日」です。
そのため、この日を中心に前後の週末や3日の「文化の日」には、各地でいろいろな灯台が一般公開されます。
今回訪れた灯台も、毎年この11月1日(と、阪神淡路大震災のあった1月17日)に公開を行っています。
年に2回しかない見学のチャンス。
逃してはなるものかと、夜勤明けの眠い目をこじ開けて神戸へ向かいました。
こんなところに灯台が?
普段は車行動ばかりですが、疲れがたまっている中での運転は危険なので、今回はおとなしく電車に乗り込みます。
大阪駅から新快速に揺られて30分弱。神戸駅に着きます。
駅から傘を握りしめ、15分ほど歩くと神戸港の中突堤に出ます。
堂々たる体を横たえる船は、クルーズ船「にっぽん丸」。
きょうは種子島からやって来て、この後は下関へ向かう途中のようです。
そのうしろにあるかまぼこ型の建物が、神戸メリケンパークオリエンタルホテルです。
そして…
最上階の窓の右にちょこんと建っているのが、今回訪れる「神戸メリケンパークオリエンタルホテル灯台」。
そう、この灯台は、日本で唯一「ホテルの上に建てられた公式灯台」なのだそうです。
公式灯台とは、厳密には
にあたります。
自己の行う事業のため…というところから察するに、公式灯台とはいえあまり公的な役割は期待されていないみたいですね。
まぁ、唯一は唯一、貴重なものですから味わいましょう。
高級ホテルにふらっと侵入して最上階へ
さて、また暴風雨の中対岸まで歩きまして、いよいよ灯台見学です。
ホテルに入ると案内看板が出ていたので、それに従って直接最上階へあがります。
こんな風格のあるホテルに出入りすることなんて無いので、なんだか緊張します。
レストランの中を抜けてテラスに出ると、こんな景色が。
確かに、ホテルの上に灯台が建っています。
なんだか変な気分ですね。
では、灯台をじっくり見ていきましょう。
鉄製で、白く塗られたこの灯台は、高さ4.8m。
今まで見てきた灯台の中でもかなり小さい部類です。
ただ、ホテルの14階に建っているだけあって、海面から光の高さまでは約55mあります。
デザインは、同じく鉄造灯台である旧和田岬灯台を模したものだそう。
はしごがかけられていて、登って点検などができるようになっています。
根元はすかすか。
レンズは、赤色と緑色のレンズが背中合わせについています。
このレンズが10秒間で1回転することによって、海を行く船からは10秒ごとに「赤1回、緑1回」光るように見えます。
この光り方の色やパターンによって、その光の元がどこの灯台なのかを知らせる仕組みになっています。
点灯した様子も見たかったですが、今回は公開時間が限られていたため断念。
今度外から覗いてみようと思います。
「奇跡の灯台」と呼ばれて
灯台がはじめに建てられたのは1964年。
今よりやや陸側にある神戸オリエンタルホテルの屋上に、「神戸オリエンタルホテル屋上灯台」として建設されました。
その後30年以上に長きにわたり神戸の海を照らし続けていましたが、1995年の阪神淡路大震災によりホテル建物が全壊。灯台も休止を余儀なくされます。
しかし、それから半年後の1995年7月7日。
当時海側に建設が決まっていた「神戸メリケンパークオリエンタルホテル」の屋上に移設・再点灯することとなり、奇跡の復活を遂げたのです。
震災に負けずに再びを灯りを運ぶこの灯台は、復興のシンボルとしてにわかに注目を集めるようになりました。
とまぁ、ここまでがホテル側の紹介する定番のエピソードとなっています。
もちろんいい話だなぁとは思うのですが、海上保安庁のホームページ(2016年まで公開)の記述によると、
となっていて、地震については特に触れられていません。
考えてみれば、灯台の位置が変わるというのは港に出入りする船にとっては一大事ですし、新しいホテルのオープン自体は以前から決まっていたとのことで、灯台の移設も既定路線だったんじゃないかな、という気がしないでもないです。
(すぐこういうことを言いだすから友達が少ないんです、私は)
とはいえ、そうしてあれこれを乗り越えてきょうも光を放っている灯台がいるわけで、それは一ファンとしては素直にうれしいことです。
特段の社会情勢の変化がなければ、次回は来年の1月17日、そしてまた来年の11月1日は公開されるものと思われます。
唯一のホテル灯台、ご興味ある方はぜひ訪れてみて下さい。
おわり。
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