【読書記録】死にがいを求めて生きているの
「螺旋プロジェクト」(https://www.chuko.co.jp/boc/spiral.html)の一作。
前回、nest読書部にて紹介された「シーソーモンスター」「スピンモンスター」(https://note.com/smatsuo/n/n47eeaf375170)を読み、そこから興味を持った「螺旋プロジェクト」。その中の"平成”の時代を描いた小説。とても面白く読みやすい本でした。
感想
本書は10章構成で、各章ごとのメインとなる人の目線でストーリーが始まっています。1章から読み始め、1章が終わり2章に入ったときには人物も年代も全然違う人物のストーリーとなっており、最初は全然結びつきも主人公が誰なのかなども分からないまま進んでいる感じでした。
しかし、2章途中から「あれ?」って思うことがおき、1章と同じ名前の人物が現れました。
この小説の面白いところとして、中心となる主人公(螺旋プロジェクトのテーマに沿った「海族」と「山族」となる二人)に関わっている周りの人の目線からその主人公を描く内容であることが分かりました。
主人公に関係する周りの人たちから描くことで、主人公の目線・感情・思考などは読者にイメージを沸かせるようになっている感じがしました。その結果として最後まで勘違いするような部分もあり、とても面白かったです。
また、ところどころで急に場面が変わることもありますが、その都度、ちゃんと違う人のセリフだということがすぐに分かりましたし、自然と入ってくる感じがしました。その場面のイメージもつきやすく、頭の中でしっかりと絵が見えました。
自分自身で結構ゾクゾクした部分が何箇所かあります。
・途中、疑問が残るまま次章に進むこともありましたが、これが最後に全てつながったとき
・章ごとのキーとなる出来事は印象強く、最後にしっかりと思い出させてくれる書き方をされていたこと
・螺旋プロジェクトとしての年代が続き(ちょうど自分が読んだ「シーソーモンスター」が”昭和後期”)のため全く違う本で登場人物も違うのに、ある大事なキーワードが出てきたとき
・最終章を読んだときに1章やその他の章とのつながり、主人公の本当の気持ちやが明確になったとき
この「螺旋プロジェクト」はハマりそうで他の作品も読みたくなってきました。また読んだら感想などを記載していきたいと思います。