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新規事業開発7つのステージ【補足:超重要な最初3ステージ】

新規事業開発の7つのステージは、それぞれやるべきことは異なるものの、各ステージは完全分割された活動ではなく、一定の連動性をもって取り組まれます。

■①初期アイデア創出〜③事業企画&プロダクト企画の3つのステージが決定的に重要

新規事業開発7つのステージは、研究開発や商品開発で用いられるステージゲート法を、新規事業の特性に合わせてアレンジしたものです。
ステージゲート法は、1980年代にカナダのロバートクーパー教授が開発した、研究開発や製品テーマを効率的に絞り込む方法論。研究開発から商品化に至る一連のプロセスを複数の段階(ステージ)に分割し、あるステージから次のステージに移行する際に評価を行う関門(ゲート)を設け、そこでの評価をクリアしたテーマだけを次のステージに進め、最終的に残ったテーマを商品化して市場に上市するやり方です。常に数十テーマを複数チームで同時並行に検討することを前提とする、5年10年という中長期スパンの研究開発起点の大手メーカーに向く手法です。

新商品の開発は一般に、研究→開発→試作→量産→販売のプロセスを進みます。プロセスの前工程ほど自由度が高く、ステージが進むにつれて多くのリソース(資金・人員)を必要とし、自由度は限りなく低くなります。研究段階でストップすれば少ない損害で済むものが、量産まで進んだ末に売れないとなると大きな損害となり、最も大切な「時間」まで浪費することになってしまいます。
ステージゲート法のメリットは、プロセスのなるべく前工程で適切にテーマ選別することにより、後工程での大きな損害を回避できること。また、プロセスのステージ化やゲートの評価基準明確化により、一連のプロセスを管理しやすくなり、社員も各ステージで何をすべきで何を目指すべきかわかりやすくなります。

新規事業開発も、ステージが進むにつれて多くのリソース(資金・人員)を必要とし、自由度が低くなる、つまり軌道修正ができなくなります。そのため前工程にあたるステージ(①初期アイデア創出ステージ、②顧客と顧客課題の定義ステージ、③事業企画&プロダクト企画ステージ)が、極めて重要です。
前工程で描いた新事業やプロダクト案がイケてなかった場合に、プロセスの後工程の努力で挽回できることはほぼありません。前工程にあたるステージは決定的に重要です。
決定的に重要な①初期アイデア創出〜③事業企画&プロダクト企画の3つのステージに、意図的に多くのリソースを投入しましょう。

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■ステージゲート法と異なる点 その1:行ったり来たり

企業の商品開発の大半は、新しい商品の開発ではなく、既存商品バージョンアップ開発です。
既存商品の開発は顧客層やニーズは既に明確で、競合商品情報も販売実績データもあります。商品仕様を決める根拠は明確で、具体化のための技術開発も完了しています。つまり既存商品開発においては、不確実要素はほとんどありません。そのような商品開発にステージゲート法が用いられるため「ステージゲートのプロセスは直線的に進むもの」と思っている人がほとんどです。
研究開発の領域も同様で、既存技術の改良のための研究開発が9割を占めるそうです。そのような研究開発は、改良の用途や商品は既に明確で、既存の延長線上の研究で良いため、不確実要素は少ないです。そのため「ステージゲートのプロセスは直線的に進むもの」と思われています。

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一方で新規事業開発は、不確定要素だらけです。プロセスが都合よく直線的に進むことはなく、「①初期アイデア創出〜②顧客と顧客課題定義〜③事業企画&プロダクト企画」を行ったり来たりするのが基本です(先行他社のモノマネ新規事業は除きます)。
初期アイデア創出後に、顧客調査を行ったところ、そんな顧客も課題も存在しないと判明することは頻繁に起こります。顧客と課題を捉えた後に、どうアイデアを捻り出してもその時点の技術水準では具現化不能だとわかり、初期アイデア創出ステージに逆戻りすることも普通にあります。想定市場サイズと単価感からすると、どう考えても事業案が破綻していると、事業企画の検討ステージで気づくこともあります。
「①初期アイデア創出〜②顧客と顧客課題定義〜③事業企画&プロダクト企画」の3つのステージは、直線的プロセスではなく、反復や重複を繰り返すプロセスです。活動スケジュールも、ある程度それを織り込んでおく必要があります。
不確実性が極めて高いことに取り組む新規事業なのに、さも着実に進む”直線的プロセス”のように勘違いしてしまい、行ったり来たりの手戻りを許容できないと、失敗確率が大きく高まります。行ったり来たりするため、活動スケジュールは何度も書き換えらるものですが、「計画やスケジュールはその通り進めねばならない」と勘違いすると、失敗確率が大きく高まります。

保守本流事業では、ほとんどの仕事は直線的プロセスであり、作業の手戻り=失敗と捉えられます。計画やスケジュール通り進捗しないことも失敗とみなされます。そのため新規事業の未経験者は、手戻り=ダメと無意識レベルで刷り込まれているため、行ったり来たりを繰り返すことに苦労しがちです。そのやり方に慣れていないからです。
一方で、新規事業の経験者は、この3ステージを行ったり来たりするのは半ば必然と心得ています。
新規事業の経験が豊富になると、①初期アイデア創出・②顧客と顧客課題定義・③事業企画&プロダクト企画 のステージ検討内容を、ほぼ同時並行的に、全方位的にホリスティックに考えられるようになります。顧客の課題把握やビジネスモデル案の検討、プロダクト案とプライシング、実現可能性検証や販路検討などは、それぞれ相互に依存関係にあるものも多く、行ったり来たりしながら検討するよりも、常に同時並行的に全体統合的に検討できる方が、より良い絶妙なバランスを見出しやすいです。

■ステージゲート法と異なる点 その2:同じ人が担当

通常商品開発において、あるテーマが、ステージをクリアして次ステージに進むとき、そのテーマを次のステージを担当する部署に引き渡します。陸上リレーのバトンを次の走者に渡すように、「企画部→設計部」、「設計部→開発部」、「開発部→製造部」と、テーマを次の工程担当部署に渡します。あるテーマを次の部署に引き渡すと、次のテーマに取り掛かります。

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一方で新規事業開発は、行ったり来たりするのが基本のため、「次の部署に引き渡す」というやり方ではうまくいかない部分があります。そのため新規事業の場合、あるテーマが次ステージに進むとき、新規事業リーダーやキーメンバーも次ステージに進みます。

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