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軽労化ナビのサービスについて

先日、有名な除草剤のメーカさんと人力による草むしりと除草剤散布の場合の腰にかかる負担のシミュレーションを行いました。

撮影現場には弊社の山本研究員が参りました。

シミュレーション結果については、YouTubeで動画として公開されています。(下記のリンクからご覧ください。)

この動画で示した腰部負荷の算出について解説します。その作業を行う作業者の腰部負荷許容値を知れば、腰痛予防に効果があると思います。

腰部負荷計測は、作業姿勢と手元負荷(取り扱うモノの重量など)と作業者の体格などから人間工学的に解析、推定します。


1.腰部負荷値の計算

作業時にウエアラブルセンサを装着していただき、センサから得られた情報によって、前傾角度や頻度やひねりなどを計算することができます。手元負荷は、作業動作をカメラで撮影して確認します。(アノテーション)

そうしてシミュレーションした結果が下記の通りです。(数値等はわかりやすく簡略化しています。)

作業負荷のシミュレーション結果

草むしりの場合は、深い前傾姿勢としゃがみ込みで、上半身の前傾角度が平均70度でした。また、身体の重心から手元(作業点)まで、およそ60cmでした。草を引き抜く力を平均で5kgとします。

被験者の体型を身長160cm、体重50kgとすると、腰部負荷はおよそ2000Nであるという結果を得ることができました。2000Nはおよそ200kgfですから、腰におよそ200kgの力がかかっていることになります。

一方で除草剤散布の場合はどうでしょう。

ほとんど直立の状態で地面を見つめるために若干前傾姿勢になります。手元の負荷も1kg(製品の重量)です。この場合、腰にかかる負荷は1500Nと、草むしりよりも25%も少ない値が算出されました。

さらに検証を重ねてみましょう。

草むしりは、辛い姿勢で腰に負担がかかる作業ですが、決められた面積をこなすのに1時間もかかりました。一方の除草剤はわずか5分でした。いずれも、指定した面積を除草することに変わりはありません。

時間にして、除草剤は草むしりの十二分の一でした。作業負荷を分を積分するまでもなく、どちらが生産性が高いかは一目瞭然ですね。

時間あたりの作業姿勢の頻度もみてみました。その結果、草むしりはほとんど60°以上の前傾姿勢で仕事をしているのに対し、除草剤はほぼ30°以下という結果になりました。

前傾姿勢が深くなると上半身の重さが腰にかかるので腰部負荷は高くなります。上半身の重さは体重の6割にも及ぶのです。

作業別の前傾姿勢の頻度

なお、草むしりの場合、腰部負荷が最大2000Nと算出されましたが、この作業にスマートスーツを使えば、腰部負荷は25%ダウンの1500Nにすることができます。ほぼ、除草剤の場合の腰部負荷と同じになります。もちろん、作業時間が異なるので生産性は圧倒的に除草剤の方が良いのですが。

農業の進歩は、農薬や肥料などによって圧倒的に生産が高まったことがわかります。

2.被験者の体力から算出した腰部負荷許容値

被験者は、身長160cm、体重50kgの体格の50歳の女性と仮説を立てています。この被験者はどのぐらいの腰部負荷に耐えられるのでしょうか?

軽労化ナビによる腰部負荷許容値では、標準的な体力の方だと、2150N
の腰部負荷許容値を持つと算出されました。草むしりの腰部負荷は最大で2000Nですから、なんとか耐えられるようです。

ちなみに、体力に不安がある人の場合、腰部負荷許容値は1850Nでした。また、しっかりとトレーニングされ、鍛えている場合には2450Nという値が出ています。

ただし、実際の作業では、長時間続いた場合やひねりがある場合、動作の反復頻度や速度が高い場合には疲労などにより、腰部負荷許容値は大幅に低下するので、現場の状況をみながら、適切な作業負荷になるように労務管理者が検討すると良いでしょう。

なお、腰部負荷許容値の算出には、10-15分程度で実施する簡単な体力測定が必要になります。体力測定結果から、その方の体力(柔軟性、平衡感覚、握力、体幹剛性、俊敏性、身体操作性)などをレーダーチャートで示すほか、体幹力指数、体幹力年齢、腰部負荷許容値を算出します。

また、体力にあったストレッチや体操、筋トレなどのメニューをオリジナル動画で紹介しています。

体幹力チェック報告書

作業負荷と作業者の体幹力がわかれば、腰痛等のリスクを減らすために、適切な作業者の配置ができます。また、作業者も自分の体力を知ることで、体力づくりの動機づけや、労働安全衛生への関心も高くなります。

軽労化ナビでは、元気でコミュニケーション能力が高い軽労化トレーナーが職場に伺い、楽しく体力測定を行います。

ぜひ、お試しください。