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事業を支える、SmartHRのあたらしい組織体制について
はじめに
こんにちは、SmartHR 人事の六原です。
SmartHRは2024年1月から新たな組織体制に移行します。
今回の変更は、SmartHR社としても今までにない大きなアップデートになりました。
この記事では体制変更の意図や、実際に組織がどう変わるのかなど、これからのSmartHRの組織のかたちについてお伝えできればと思います。
前半で変更に至った背景を、後半で今後の体制の全体像と特に大きく変わるビジネス部門についてお話しします。
SmartHRの目指すものと、組織の現在地
SmartHRは昨年より、「well-working 労働にまつわる社会課題をなくし、誰もがその人らしく働ける社会をつくる。」というコーポレートミッションを掲げています。
CEO芹澤のnote(事業戦略発表会では話せなかったSmartHRの組織のリアル)にもありましたが、事業目標としてはARR100億円からの10倍、つまりARR1000億円までの途上にいるのが、SmartHRの現在地です。
近年、SmartHRは従来の人事・労務領域から手を広げ、タレントマネジメント領域を含む事業の多角化(マルチプロダクト戦略)を進めています。今後さらにシナジーが生まれる領域にプロダクトを展開していく予定です。
マルチプロダクト戦略をすすめていくなかで、同時に考える必要が出てきたことがありました。戦略を実行するための「組織構造」です。
SmartHRはいままで、初期フェーズの「単一(または少数)のプロダクトをつくり、お客様に早く届ける」という事業形態に即した組織構造を継続してきました。
具体的には、マーケティング、IS、セールス、CS、といった職能(機能)別で組織を構成し、それぞれの組織が専門性をもとに業務を行い、連携しながら事業を進めていく...といった体制です。
また、ボトムアップで現場が裁量を持って意思決定するカルチャーもつよく、役職の定義はなるべく柔軟にして、組織階層も少なく設定していました(部門 - グループ - ユニットの3階層)。
しかし、事業が成長して従業員規模も拡大するなかで、徐々にこの体制での課題が生まれてきました。
例えば、職能別組織の一つひとつが大きくなり横連携が難しくなっていることや、階層が少ないことで中間の意思決定が曖昧になったり、ポジションが増えず後進育成が促されないなどの問題がでてきたりなど、平たく言えば、組織構造が事業に対して「そろそろ賞味期限切れ」の状態になっていました。
事業を強くしていくための組織戦略
新たな組織構造の検討にあたり、変更のコンセプトとして3点を定めました。
会社のミッション・戦略を遂行するための最適な組織構造になっているか
階層や組織の役割が明確になり、適切な裁量と責任が紐づいているか
特定の人が兼務で頑張る形にならず、後進育成が促される仕組みになっているか
1つめの「会社のミッション・戦略」、つまりマルチプロダクト戦略を遂行するために、どういった組織分割が最適なのか、どの部門の新設・統合・改廃が必要なのかは、各部門のCxO、VPを中心に検討を進めました。その一手として「ビジネス組織を職能別組織から事業本部 + 統括本部組織に移行する」判断をしたのですが、こちらは詳しく後述します。
2つめの「階層の役割を定義し、責任を紐付ける」、そして3つめの「後進育成」は、SmartHRが今後スケールしていくための大きなテーマでした。
これまで長らく続けてきた「全員で意思決定して進めていく + メンバーが補い合って頑張る」というスタートアップ的な組織づくり。
このかたちを卒業して「意思決定の責任や、期待値を明確にした上で人・チームをアサインしていく」ことで、それぞれが自分の役割に迷いなくコミットでき、今後の拡大化するSmartHRを支えていく次世代リーダーが育っていくと考えました。
24年からのあたらしい組織体制
これまでの組織図と、2024年からの大まかな組織図をご紹介します。(一部の組織(部・グループ以下の組織や企画室など)を省略・簡略化しています。)
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全社的に大きく変えたところは2点です。
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組織階層を再定義し、現行の3階層から、最大5階層までと変更しました。
階層に役職を1対1で紐づけ、役割と期待値、それに伴う意思決定の権限を振り分けて「どの組織で、誰が、どの時間軸で、なにをするのか?」を明確にしています。
もうひとつ、組織制度として全社共通で変えない “幹”の部分を、組織づくりのグランドルールとして定めました。
いままでの組織改変は、現場がルールなく自由に検討する、各所最適なものになっていました。今回からは全社で視野を揃える部分を定め、その上で部門のニーズに合わせたカスタマイズも可能とする、というバランスに整えました。
グランドルール(全社共通部分)はいくつかあるのですが、代表的なものとして「マネジメントの兼務は原則NG」というルールをつくっています。
これは、マネジメント者の兼務により、結果的にマネジメントが行き届かなくなる可能性が高まること、また後任育成を促進するためにも、マネジメントは原則兼務ではなく「育ててアサインしていくこと」を推奨する背景があります。
(実際にこのルールを公表してから、会社全体で「マネジメント層を育てなきゃ」という意識が高まったのを感じています…!)
これ以外にも、誰もがその組織のミッションを想起できるような名前をつけるようにする「組織名はわかりやすく」など、全部で6つのルールがあります。
Biz組織体制について
今回の組織体制で特に大きく変わるのが、ビジネス組織の体制です。
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機能別組織から事業本部 + 統括本部組織に移行します。
具体的には、機能別でわけていた職種(IS,セールス、CS…)組織から、お客様の規模別に組織を大きく2分割(エンタープライズ事業本部・グロースマーケット事業本部)し、その下に機能別のチームが紐づくかたちとしました。
これにより、「職種を超えた連携に時間がかかる」「横断的な意思決定が遅くなる」といった課題を解消し、よりスピーディーな連携と意思決定ができる体制となります。
一方で、事業本部全体に関わる機能(パートナービジネス、業務推進、PMM etc…)は集約し、横断する仕組みづくりやデータ分析、サポートを一貫性のあるものとしていきます。
マーケティング・コミュニケーションデザインの部門も、SmartHR事業のサービス認知・会社自体のブランド創出など、目的に合わせた組織体制を目指して変更を加えています。
総じて、事業・顧客領域が広がっても、かわらずユーザーさまへの価値提供を最大化できるような体制を目指して設計を行いました。
おわりに
この記事を書くにあたり、世の中の企業の「組織体制変更の実例」記事を探したのですが、ほぼ見つかりませんでした。かなりニッチですが、SmartHR組織の今とこれからがせきららに伝わるものになったのではないかと感じています。
新体制が果たして事業にとって良いものになるのかは、SmartHRで実際に働くわたしたち自身で検証し、プロセスをまわしていく必要があります。
また、この形がSmartHRのゴールではなく、今後もミッションの実現に向けて柔軟に変化を続けていける、そしてそれを楽しめる会社でありたいと思っています。
そのためにも、今後の頼もしい仲間のジョインが欠かせません。
わたしたちと一緒に、SmartHRらしい組織のかたちを一緒に作っていきませんか?
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