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高校と資本主義。少子化は、グレーゾーンを彩色する(2)【メガ自治体の高校無償化政策が加速化させる問題の複雑さ】
高校と資本主義の関係性が少子化によって、どのような問題を引き起こすのかを考えています。
前回はこちら。
今回は、地方の視点からはありえないと見えてしまう、大都市自治体の教育政策について考えたいと思います。
昨年夏の東京都知事選挙。石丸伸二さんの旋風が話題をさらっていきましたが、結果は小池百合子さんの圧勝でした。
東京新聞の望月衣塑子記者が取材で得たこととして、市民は「いろいろ問題もあるのかもしれないけれど、小池さんは子育てにお金を配ってくれる・・・」という理解であるという指摘がありました。
それには、妙な納得感がありました。
というのも、姉の「証言」と一致するからです。姉は義兄の転勤で、都合5年ほど東京で暮らしていました。当時は、石原都政でしたが、そこで姉が実感したのは、東京の子育て政策の手厚さであり、保護者目線からのありがたさでした。
自治体が子育て世代に十分な支援をすることは、首長にとって、メリットが多い。子育て世代にお金を十分流し込むのは、自身の選挙を間違いなく有利にするからです。2人の都知事を経て就任した小池さんも、当然子育て世代を優遇する政策に躊躇はないでしょう。
もちろん、他の自治体も同様の事をやりたいでしょうが、ない袖は振れぬという事情もあり、大胆な子育て支援は大都市しかできないことでもあります。
実はここにもグレーゾーンは存在します。地方と大都市の子育て政策の「格差」です。
そして、その最たるものは、高校の学費(授業料)無償化でしょう。
東京都
大阪府
政治的な思惑が絡むという話もわかりますが、子育て世代にとっては、これはありがたい制度であることは言うまでもありません。
本来はこれは国が率先してやってもいいはずの政策ですが、緊縮財政脳の財務省にこれを望むのはあまりに現実離れしているという悲しい状況もあり、このような大胆な政策は、メガ自治体にしかできず、政策の濃度が自治体によってグラデーションができてしまう。そして、これが大きな問題を孕むと思っています。
それは、「平等」と「公平」を一緒に破壊すると思うからです。
所得制限のない無償化は、本来負担できる人がしなくてよいことになり、「公平」に引っ掛かり、
居住している自治体の差によって無償化の恩恵を受けられる、受けられないの差が出るのは、「平等」に引っ掛かる
と思うからです。
とはいうものの、平行線の議論を続けていては、子どもたちは卒業してしまいます。
さらに、子育て真っ只中の京都精華大学の白井聡さんの指摘によれば、白井さんのような所得層は、完全にエアポケットととなり、高い負担とほぼないに等しい社会的還元に苦しんでもいる。
これがねじれを生まない方がおかしいわけで、高校の授業料無償化は、本当に難しい問題を抱えたまま、政治的な思惑も絡み議論が複雑化しているように思います。
保護者の視点に立てば、無償化反対を唱えないまでも、政治家や財務省の幹部が「慎重な議論が必要」などと発言すれば、「何を言っているんだ」という感情が湧きたつのは当然ではとも思います。
このままなし崩し的にメガ自治体の無償化政策が進むことが現実的な対応となるのでしょうが、それはそれでどうなのでしょうか。
この無償化政策によって、大阪では、私立と府立の高校が対立する側面もでてきているようです。
曖昧にしておくことの良さはここでも少子化の影響で、何らかの結論を催促されているのようにも見えてきます。
生徒の争奪戦となれば、現実的な問題として高校の適正数というのが、ひとつの議論になっていくと思いますが、ここもグレーゾーンだったがゆえに問題があるのではと思っています。
次回、その点について触れます。