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公共交通機関の運転士さんの確保は、もしかしたら今がラストチャンスかもしれない【公共交通に純粋な民営はなじまないのであれば・・・】
九州各地の公共交通機関が減便や路線廃止に追い込まれています。
肥薩おれんじ鉄道(鹿児島県、熊本県)
熊本電鉄(熊本市)
西肥バス(長崎県佐世保市)
いずれも、会社側は、理由として運転士不足を要因に挙げています。
これは、都市部でも例外ではなく、西鉄バスも運転士さん確保に躍起になっています。
こうなった背景に、このような運転士不足が予想されるだけの構造的な問題があったにもかかわらず、↓の方のトリガーをきっかけに運転士さんの待遇を下げることが「当たり前」になったことがあるのかなと理解しています。
公務員の給与は、そもそも放っておけば生じてしまう下げ圧力への抵抗要因であり、労働者の給与水準の維持という側面では、公務員運転士さんの給料を下げれば、民間も下がり、待遇悪化は一気に進むのは当然の成り行きです。
橋下さんは、それをわかっていて発言していたのかは不明ですが、結果として待遇悪化は、運転士不足を引き起こした大きな要因になったと私は理解しています。
ただ、問題は、橋下さんだけにあるのではなく、そのような空気に便乗して、待遇悪化を熱心に進めた事業者の結果であるというのが正しい理解ではないかなと思っています。なので、自業自得という側面もあります。
現在、橋下さんがどうお考えになっておられるかは、知る由もありませんが、結果として、これは誤った考え方であったと方針転換すべきではと思っています。
というのも、世の中には、資本主義のルールに馴染むものと馴染まないものがあると思うからです。公共交通機関はその一つなのでしょう。
そんな中、↓のような記事が出ています。
国が運転士を国家公務員として採用し、各事業者に出向させるくらいの思い切ったことをしないと運転士のなり手がいない状況は改善しそうにない。
国は運転士の労務関係の面倒だけを見て、賃金の支払いも国からする公務員扱いとして事業者から一定の派遣料を支払ってもらう等の仕組みとするならば、事業自体は赤字になるのは間違いないだろうが運転士の確保は問題なくなるだろう、
現状の労働者不足は、労働生産人口の激減により改善する見込みはありません。公共交通機関に完全民営の論理を押し付ければ、収益にこだわり、運転士さんの待遇改善に消極的にならざるをえない。この構造を放置しすれば、供給不足からのサービス低下は避けようがないのは明らかでしょう。
ならば、記事の指摘にあるように、今のうちに運転士確保の問題を回避しておくべきでしょう。その一つの考え方として、運転士さんの公務員化は一つのアイデアです。まずは人員を確保してから、公共交通機関の収益問題を考えていくのは、これまでとは違った解決策として有効ではと思っています。
その結果、事業者単体での運営では、黒字化は非現実的であるのならば、公共性のあるものとして、納税者が納得のいく形で公金によって支援していくべきではと思っています。公共交通は、その名の通り、誰もが広く等しく受益できる公共性のあるものだと思うからです。
まだ、公共交通機関が市民の足として定着しているうちに、利便性を確保できる運転士さんを確保しておかないと後手を踏んでしまうと感じています。
勝負の世界では、後手を踏めばその時点で勝負ありであることが多い。どこかの自治体のリーダーが機転を利かせていただけないかと思っています。