サッカーW杯日本代表の戦いから見える「均衡点」と「モチベーション」の問題
連日、熱戦が続くW杯サッカー。日本代表の戦いに声援を送っている方も多いことでしょう。ドイツ代表戦のまさかの(失礼!)勝利に、私も驚愕と歓喜した一人です。
ただ、このあとのコスタリカ代表戦の敗戦に納得のいかない方も多かったのかもしれません。
コスタリカ代表は弱いと思うロジック
日本代表は、優勝4回を数えるドイツ代表に勝利しました。また、同組の別カード、スペイン代表とコスタリカ代表の試合は、7-0というサッカーとしては極めて珍しい大差でスペイン代表が勝利しました。
これを踏まえると、
ドイツ代表と遜色ない実力のスペイン代表がコスタリカ代表に大勝した。
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日本代表はドイツ代表に勝った。
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よって、コスタリカ代表は日本代表より弱い
という心理になったのかなと思いました。
私はサッカーに詳しくないのですが、あることに仕事柄、気づいたことがあり、それは違うのではと思っていました。
モチベーションを保てるのは、均衡点まで
受験戦略を考える上で、私は常に均衡点を意識しています。ちょっとわかりにくいので、ざっくりいうと、合格が視野に入る目標設定をすること、言い換えると、合格が現実とならないミスマッチ受験は、避けるようにマネジメントするということです。
例えば、九州大学を目指す受験生が、偏差値的にギャップが大きい場合、頑張って勉強しろというのではなく、まずは、長崎大学、山口大学、熊本大学などの大学を目指して頑張ろうというアドバイスをします。
これはなぜかというと、人間は可能性があるかどうかで、モチベーションが変わってくるからです。
合格との数的差が大きい場合、口先では九大に行きたいとか医学部に行きたいと言っていても、現実的に届かない場合は、身を入れた勉強になりません。医学部の多浪生に見られがちな光景でもあります。
それよりも目標を下げ、現実的に届くあたりを目標とすることが大事だと思っています。受かるか受からないかの均衡を保てるゾーンを主戦場とすることでモチベーションをいい状態に保つことができるからです。
2-0からの逆転は数%というデータ
サッカーにおいての均衡点は2-0あたりではと思っていました。今回調べてみると、現実はさらに厳しい数字でした。
前回のW杯でベルギー代表は、日本代表戦で0-2から逆転勝利しましたが、0-2からの逆転勝利は確率的にはイギリスプレミアリーグのデータでは2.6%という数字とか。私たちは、滅多にない出来事の目撃者となっていたのです。
プロサッカー選手の集団であるナショナルチームの選手ならば、この均衡点への意識は素人より研ぎ澄まされていることでしょう。
大敗=弱いではない
たまたま仕事で均衡点の意識があった私は、スペイン代表戦でのコスタリカ代表の選手たちは0-3になった後は、気持ちが切れたのだろうと思っていました。なので、0-7の大敗がコスタリカ代表の実力を測る数字的な意味は持たないと思っていました。
サッカーの場合、得点差によって、チームの強弱を測れないのは、前々回のブラジル大会でのドイツ代表とブラジル代表の試合でも明らかです。
FIFAランクを見ても、日本代表24位、コスタリカ代表31位とのことです。このランキングがどの程度試合の結果に反映するのかはわかりませんが、偶然性も大きいサッカーにおいて、そこまでの実力差があったとは思えません。
日本代表は、絶対に勝てる弱い相手に不甲斐なく負けたのではないと思っています。
現実的な目標を設定することの重要性
これからは、いろんな場面でデータが取られる時代です。ITやAIがそれをアシストしていきます。これまで以上にデータに基づく思考は一般化することでしょう。それは言い換えると、現実離れした目標設定が難しい時代になっているとも言えます。
私は、必ずしもデータ至上主義になる必要もないかと思いますし、自分自身にはそのような設定をしていませんが、仕事で関わる受験生には、データに基づくアドバイスが大事ではと思っています。
今後も均衡点をうまく設定し、地力を上げて均衡点を押し上げる指導ができればと思っています。