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「総合型選抜入試」が上流階級のリサイクル機能を持つから「こそ」、今後の入試のスタンダードとなる「地獄」【格差固定が進む社会で起きるであろう学歴の意味の変化】

共同通信から総合型選抜入試について、「過激なタイトル」の記事が出ています。

ちょっと前までは、総合型選抜入試は、未来を拓くキラキラ入試だと伝えられていただけに、ようやく負の側面にも光が当たるようになったなとも思っています。

もちろん、一般入試も課題山積で、とても「ベスト」とは言えませんが、「相対的には」まだ一般入試の方が公平性は高いかなとも思っています。

ただ、記事にあるような若い人の取り組みには敬意を払いたいと思うものの、焼け石に水のようなところもありそうで、心が痛むとも感じています。

というのも、この総合型選抜入試は、私の理解では、「上級階級の再生産装置」として、徐々に機能し始めているとも思うからです。

その意味では、雅なあの方が関東地方の国立大学に進学されることは、その端緒になる可能性があります。大学教授クラスの知性から直に教えを授けてもらえる機会など、「パンピー」にはありえないことで、この時点での格差はやはりあると思うからです。

この点については、↓のような記事も書いていますが、今後振り子がどちらに振れるかは、どちらとも判断がつかないと思っています。

さて、今大学入試において、動いているトレンドは、ゴールの問題ではなく、スタートの問題となっていると感じています。

ゴールの公平性はあまり動かせないので、スタートの方を動かす。この総合型選抜入試で可視化させていることは、ゴールの公平よりも、スタートの不公平であり、それが集約しているのが「経験の質と量」の格差でしょう。

総合型選抜入試の面接で、「東南アジアを実際に訪れて、貧富の格差の現実を理解し、この解消に努めたいと思いました」という意欲発言そのものが、貧富の格差から生み出される世界・・・。

このNPOの取り組みは素晴らしいとは思うのの、何を評価するかは、大学側の専権事項であり、ある意味では「恣意的」です。なので、ゴールポストは動かされる可能性もある。それが、可視化されることもない。評価基準は、表には出ず、上流階級だけが知りえる暗号化された情報としてリサイクルする可能性がなくはないとも言える。

一般入試は、その点、何を問うかという点も動かせないので、上流階級の再生産を阻む機能があった。前首相が東大に届かなった過去はそれを象徴しているかなと思っています。

もっと言えば、戦後の新制大学としての東京大学卒の首相は、鳩山由紀夫さんしかいない。その意味では、一般入試は、上流階級にとって、彼らのもつ権力でさえも動かせない岩盤であり、厄介な存在でもあった。

確かに、今の超難関大は、資本投下による「お金の戦い」となっている側面は事実ではあるのでしょう。とはいえ、超がつかない国公立の難関大や医学部は、そこまでの投下資本との直接的な因果関係はまだないとも言えます。

「総合型選抜入試」は、年内入試の需要もあり、上流階級の再生産として、ビルトインに成功したとも言えるのかなと思っています。

なので、そこまで教育にお金をつぎ込めない「大衆」は、上流階級から

枠が狭まった一般入試でせいぜいもがいてくれ。「競争」はいいものを生み出すんだろう? 汚染された偏差値害毒から這い上がって来てくれまえ。

という高笑いの下で、見下され、苛烈な競争を強いられる未来となるのではと思っています。それは、地獄と表していいのではとも思っています。

今でも、中学の英文法もわからない、W大生やK大生はいる。アイビーリーグやスタンフォード大学でもそれは変わらない。それは、資本主義の避けがたい現実でもある。

ある意味、日本の国公立大学のハイエンドは、これを排除してきた歴史でもある。ただ、これが今後、変わっていく未来が待っているのではと思っています。

それは、学歴社会を脱する機会となるのかもしれません。東大生=ダサいとされるくらいが健全で、東大生=神となるくらいなら、ノイズを入れて、目の前に東大生がいれば、先入観を排除し知的リテラシーをしっかりと観るという社会的雰囲気の方がいいのかもしれません。

その意味では2050年に一般入試を廃止すると謳う東北大が未来を占う大学となるのかもしれません。

あと、今後、総合型選抜入試が一般化すれば、どのような入試チャンネルで大学に入ったかは、個人情報として保護せねばならないという「空気」がでてくるだろうとも思っています。

それは、総合型選抜入試で大学に入ったことが「タブー」となる未来でもあるのでしょう。その点では、学歴は、実体を伴わない階層を隔てる「IDカード」となるのかもしれません。

いずれにしても。総合型選抜入試の定着は、私たちの未来を変えるのは、間違いないのでしょう。


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