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私が私立医学部入試界隈に近づきたくないと思っている理由【才能というのは、凡人から見ると、あまりも矛盾に満ち、苛烈であるものだと実感する】

福岡県太宰府市に全寮制の医学部予備校があります。
太宰府アカデミーといい、ここのx担当の中の人は、とても熱い方で、時々拝見しています。

そんな中、「熱い投稿」がありました。

個人的には、「全く」驚きません。

私立医学部は、才能で何とかなる最高かつ最後のフロンティアであると常々思っているからです。

この「奇跡の受験生」さんについて、いろいろ書いてありますが、私が注目するところは1つだけです。

それは「数学」について言及がないことです。

これまで医学部受験をされてきて、散々自己肯定感を削られた中、頑張られたのは素晴らしいことです。しかし、大変申し訳ないですが、そのような医学部受験生はヤマのようにおられるので、その方だけが気の毒だったとは言えません。

全統模試で偏差値が4年のブランクを経て、1年未満で70オーバーとなる方が、化学が苦手だったという話は、

「今まで本気で勉強してこなかっただけ」

と評価されても文句は言えないでしょう。

現場の感覚として、高校化学は才能はあまり関係ありません。努力と成績はほぼ正の相関があると思っているからです。
これまでの受験生の努力から考えてもそう言い切れます。

それはともかく、この「熱いポスト」で数学への言及がないことは、「数学はそれなりに上手くいった」ことを証明しているのではと思っています。

数学ができるということは、これまでの勉強の歴史をチャラにするほどの破壊力があります。

かつて、↓のような記事も書いています。

数学ができるということは、現実問題として「才能」と切り離せません。

この「奇跡の受験生」が奇跡足りえる最大の理由は、数学の才能に恵まれると、人生をリセットできるものだという苛烈な現実なのだろうと思っています。

もちろん、この方がこの1年、頑張られたことは事実でしょうし、それは敬意を払うべきことですが、ここまで現実がひっくり返ることは、極めて稀なことですし、少なくともそれが「努力の結果」ではないことは間違いないでしょう。

個人的価値観ですが、私はこのような方とは人生で距離を置きたいと思っています。私自身が「乏しい才能」でこの業界に何とか踏みとどまってきた理由が努力でしかなかったこともあり、このような現実はメンタル的にあまり良いことではないからです。凡才のひがみであることは、重々自覚しています。

また、この方が4年間もの間、医学部受験から離れることができた現実の背後には、経済的において、特権的な地位があったことも推測できます。これは資本主義の現実でもある。

もちろん、このような方を否定する気はありません。なので距離を置きたい。

この太宰府アカデミーさんの投稿をみて、改めて私立医学部界隈には関わりたくないなと思った次第です。

それなりの才能は必要ではあるものの、結果に絶対的な努力が求められる国公立大学を中心とした難関大や医学部の入試を、受験生と頑張っていきたい。改めて私が大事にしていることを可視化されたなとも思っています。

あと、念のためですが、数学の才能に恵まれた方がこのような恩恵がある社会をおかしいとは思っていません。それも社会の現実。社会が公平でも平等でもないからこそ、可能な限り、そうでない社会を目指すべきだろうくらいの認識でしかありません。

それにしても、数学ができる才能を持つと、どんな世界が見えるのでしょうね。それは、とても興味のあるところでもありますね。

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