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九州全体でも125人のみ。国公立大学薬学部(薬学科)入試の厳しい現実。

今回は、国公立大学薬学部について書きます。

125人というのは、九州の国公立大学薬学部で薬剤師さん目指す、いわゆる6年制の薬学科の定員数です。

九州には国公立大の薬学部は3大学しかなく、薬学科の定員内訳は、九州大30人、熊本大55人、長崎大40人の計125人です。

本年度、久々に国公立大学薬学部(薬学科)を第一志望とする受験生を預かることになり、春から綿密な戦略を練ってきました。

改めて情報を集めてみると本当に定員が少なく、厳しい戦いだと実感します。家庭教師時代に担当した獣医(学部、学科)の受験とそん色ない厳しさです。

歯学部を凌駕する薬学部

一般に難関である医療系学部の総称として医歯薬と呼ばれますが、かつての偏差値的な序列では医>歯>薬でしたが、現在はそうとは言い切れません。

河合塾の全統模試の偏差値による、同一大の比較では、
九州大 薬(薬)60.0>歯57.5
長崎大 薬(薬)57.5=歯57.5
広島大 薬(薬)60.0>歯57.5

となり、九州南部の大学間の比較では
熊本大(薬-薬)57.5>鹿児島大(歯)52.5
となります。

これは歯学部の不人気という要因もありますが、薬学部(薬学科)の高止まりも見過ごせない要因です。

優秀な受験生がリスクを回避する薬学部

このような厳しい入試になる背景には、国公立大学の薬学部は、定員の一定の割合に4年制の創薬の研究者・技術者を養成する学科(創薬科学とか薬科学科などの名称)が割り振られているからです。九州大に至っては、創薬科学が49人と薬学科(臨床薬学科)の30人より多い定員構成です。

そのため、国公立大学で薬剤師を目指す受験生は厳しい戦いを強いられます。

かつて長崎大学薬学部に合格された受験生(男性)は、医学部を受験したら?といえる好成績で進学したほどです。ご家庭のルーツが長崎にあったこともありますが、そんな彼でも九州大は万が一のリスクがあるという理由で受験を回避しています。

今年預かっている受験生も、西日本の旧帝大の薬学部でA判定をとっていますが、志望を変える予定はないのだそうです。

無視できない医学部入試過熱の余波

ここまで国公立大薬学部の入試が厳しくなる背景に、医学部入試の過熱の影響も無視できません。一定数、医学部を諦めた受験生が流入していることが高止まりを誘発しているのではと見ています。特に多浪生の場合、他学部に進学しても就職での困難さが予想されます。その点、ライセンス業である薬剤師は、そのリスクを避けることができるという判断でしょう。

ただ、そのことが薬剤師を目指し、国公立大にしか進学する経済力がない受験生を排除していることになるのは、問題があるのは間違いのないところだと思います。

民間(=私立大)で需要を賄う構図

わずか125人しか薬剤師を生み出さない国公立大ですが、これでは需要をまかなえていないのは明らかです。これを民間の私立大で賄っているのが現実のようです。

私立大薬学部の場合、極端に薬剤師国家試験の合格率が低い学校あり、これについては、↓で書いています。

一部の私立大薬学部は、学力に問題のある層を受け入れており、学校の傍に国家試験のための予備校がある状況は明らかに問題があります。

あまりに開いた「格差」は是正されるべきでは?

国公立大は、医学部へ手が届きそうな受験層を抱え、方や私立は基礎学力に問題がある受験層を受け入れている。この格差は、放置していいことだとは思えません。

ここにも制度の問題を感じてしまいます。

問題は常に発生し、これに対処していく必要性があることを教えられます。

文部科学省や厚生労働省のリーダーシップを求めたいところでもあります。


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