キャンパス立地と大学の生存確率【都心回帰の難しさと少子化がもたらす現象】
東京都多摩市にある恵泉女学園大学が閉校となるとのことです。
東京23区内にある系列の高校(恵泉女学園中学・高校)はそのまま存続とのことです。
大学と高校の場所が離れているので、あれ?と思いましたが、やはり、都心にあった大学が郊外に移転していたようです。
郊外移転が比較的遅く、移転後、時代が都心回帰に転じたこともあり、学生を上手く確保できなかったのでしょうか。
このニュースを聞いて真っ先に思い出したのが、福岡市にある福岡女学院大学です。
福岡女学院高校は、日本で初めてセーラー服を制服に採用した学校として知られています。
福岡女学院大学も恵泉女学園大学とそう変わらない時期に郊外にキャンパスをつくり移転しましたが、僅か10年ちょっとで、閉鎖し元の場所に戻っています。
文系単科学部であったことと、元の場所に戻ることができたこともあり、早期の方向転換ができたのでしょう。
当時、あまりの早期撤退で地元のメディアがいろいろ報じていましたが、傷が浅いうちに決断したのは、結果として正しい判断だったのでしょう。
福岡女学院の場合は、福岡市ではありますが、南区日佐(おさ)という都心から離れた場所にあったことと、元々キャンパスの敷地が広かったことで可能だったのでしょう。
かつては、教育環境の充実という点で、大学の郊外移転が進みましたが、中央大学や同志社大学などの例を見ても都心回帰は明らかですし、立命館大学のように新しく都心に新しいキャンパスをつくる例もあるように、少子化の時代には好立地は学生確保の欠かせぬ要素となっているようです。
ただ、都心回帰がトレンドだとは言っても、大学はまとまった敷地が必要である以上、簡単な話ではありません。現在地がある程度の価格で土地が売れないと移転の原資確保も難しいでしょう。
恵泉女学園大学のように改善が見込めないという理由で、閉校という選択は増えていくのでしょうか。
都市部の大学では、今後このようなことが増えていくのでしょうね。
少子化の影響は、このような末端からじわじわと影響が出ていくことでしょう。
団塊ジュニア世代という人口ボーナスというビックチャンスを非正規雇用拡大でむざむざと潰したこの国の必然的な展開でもあります。生活の安定を潰し、安価な労働力確保の政策を推進した人たちは、たんまりと貯めこんで、豊かな老後をお過ごしになるのでしょう。ニュースの背景を考えると朝から暗澹たる思いにならざるを得ません。