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九大に何があったのか?数学の「超易化」の背景を考える。【迷走しているのか、それとも・・・】
今年度の国公立大学の前期日程の入試が終わりました。受験生の皆さん、お疲れ様でした。
後期を受験される方は、切り替えて備えてくださいね。前期で終了の方は、ゆっくりしていただければと思います。
さて、今年は九大以外の受験生が多かったこともあり、九大についての記事を書いてきませんでしたが、さすがにこれは、テーマとせざるをえません。
今年の九大数学、特に理系数学は、衝撃的な内容でした。
まず、数学Ⅲが1問だけ。数学Cの複素数平面、二次曲線は出題されていません。
その数学Ⅲも「ただの」積分計算。
そして、2問は文系と共通。
出題された確率は、2023年の文系数学の方がよっぽど難しかった。
一体これは何なんだという印象しかありません。
九大は伝統的に複素数平面が難しいこともあり、今年は昨年の易化を踏まえ、この単元の出題と難化を予想して対策をしていました。
複素数平面のハイエンドとして、2023年の金沢大の[4]を想定問題として演習を行っていました(これはかなりの良問だと思います)。
https://www.kanazawa-u.ac.jp/wp/wp-content/uploads/2023/02/02-2-5-sugaku_rikei_zenki.pdf
複素数平面が出題されないのは、仕方のないこととは言え、出題された問題がここまで易しいというのは、九大入試の歴史でもなかなかない現象なのではとさえ思います。
九大数学は、昨年は易化しましたが、それまでは一本調子で難化を続けていました。さらに共通テストのような形式の問題も出題されていました。難化も抽象性に踏み出した問題もあり、実際の採点の現場ではどうなっているのだろうと疑問に思ってもいました。
ここ5~6年単位でみると、九大数学は迷走しているようにも見えなくもありません。
それとも、もしかしたら何らかの社会実験をしているのかもしれないとさえ思います。
パターンを変えた入試問題を設定することで、どんな学生が入学し、その後どのような足跡をたどるのかを調査しているのかもという、「陰謀論」的な視点でも考えてしまわなくもありません。
もっとも、私たちのような「業者」への牽制というのは、当然にあるのかもしれませんが。
ただ、ここまで難易度が乱高下すればするほど、来年こそは「難化する」という恐怖感が増すのは間違いないでしょう。
結果として「易化した」のは、特に混乱は、生じませんが、
結果として「難化した」のは、大問題だからです。
そうなると、来年は3~4年前のレベルまで難易度は回帰するという対策をせざるを得ないのかなとも思っています。
京大も似たような傾向がありますが、大学の個性という点では、「らしく」もある。ただ、九大にはそのようなイメージがないので、戸惑いもあるのかもしれません。
あと数年このような乱高下が続けば、私たちも九大の個性として受け入れていくのかもしれません。