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女子校→共学化のメリットは何か?【中村学園女子高校(福岡市城南区)の共学化決断の背景を考える】
福岡市城南区にある中村学園女子高校(以下中村女子高)が2026年度から男女共学となるとのことです。
同時に福岡市西区にある男子校の中村学園三陽高校(以下三陽高)は、生徒の募集を順次停止し閉校となるとのこと。
これは学校法人内での統合とも見ることが可能ではあるものの、実質的には、中村女子高の共学化という見方でいいのかなと思っています。
ただ、中村学園の歴史的な系譜から鑑みるとこの共学化は、これまでの学校法人としての戦略を超えた挑戦とも見ることができそうです。
中村学園といえば、福岡および九州では栄養系の学部の存在が大きい大学(短大)です。自ら給食事業を手掛け、栄養士の資格の最大限の活用という点では、進学するメリットのある学校でもあります。
また昨今は、教育学部の評価が高く、幼児および初等教育環境の充実から教員採用試験に強い学校という認識も生まれています。
なので、女子教育に定評のある学校という認識が地元ではとても強い学校でもあります。
三陽高の閉鎖に伴う措置ということもあるのでしょうが、中村女子高の共学化はこれまでのイメージを覆すこともあり、一定のリスクがあるのかもしれません。
というのも、女子校の場合は、男子校よりアイデンティティに根付いている場合が多く、イメージや場合によってはブランド力にも影響があるからです。
それでも共学化に踏み切るのは、一定のメリットがあると学校法人としては見ているのでしょう。
参考にしたと思われるのは、福岡大学付属若葉高校(以下福大若葉)でしょう。ここは、かつて九州女子高という女子高でした。
独自路線での行き詰まりが見えていた九州女子高と今でいう系列大スルー現象が目立ちはじめていた福岡大学付属大濠高校を抱える福岡大学の利害が一致したために実現したと私は理解しています。
買収した立場になる福岡大学としては、系列高校からの福岡大学への学生の送り込みという視点があったのではと思います。今回の中村女子高の共学化はこの点を重視したのかなとみています。
また、福大若葉は、発足時は女子高でしたが、のちに共学化されました。女子高からの共学化のメリットを見極めての決断だと思われ、中村学園としても重視したのではと思います。
中村学園大学には、流通科学部という学部がありますが、これは、上記で書いた栄養学部、教育学部に比べて地味な存在で、高校生の中には知らない生徒もいるほど。
そのため、これまで通りの強みである栄養学部、教育学部への強化というよりも、流通科学部への学生の送り込み機能として男子が欲しかったのかもしれません。
また、中村女子高の特進クラスは、九州大学などの難関大受験に一定の実績があり、ここに男子生徒を入れることで、理数系科目などへの刺激を期待した面もあるのではと思います。
総合的に判断して、共学化のメリットの方が大きいという決断なのでしょう。
ただ、男女別学のメリットはありますし、生徒や保護者にも一定数、男女別学を希望する層はある。また、男女別学の方が学校のキャラクターが認知されやすく、ブランド力の形成には一定の成果がある。また、運動部などでは、学校施設の活用という点でもメリットがある(中村女子高はかつてはバスケットボール部が強豪でしたし、現在も剣道部は全国レベルです)。
中村女子高は、女子高として、地元でステータスがあっただけに、それを捨てての決断は今後注目であると思っています。