![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/160416746/rectangle_large_type_2_033bd32933c02a5bd551bc1d59bedbdd.png?width=1200)
失われた30年が生んだ鬼っ子「れいわ新選組」は、やっぱり面白い【朝日新聞の最大15議席の予想は実は合っていた?】
『日本会議の研究』(扶桑社新書)で日本会議の存在を世に知らしめた著述家・菅野完さん。朝刊全紙を斜め読みするという無謀なこと(本人談)を平日朝に配信されておられます。
ただ、時間がないこともあり、拝見するのはもっぱら切り抜き動画です(笑)。
そこで、今回の衆議院選挙について総括(というより、予想の答え合わせ)をされておられます。納得の考察だと感じています。
私も、↓で書いていますが、
国民民主党が若い世代に向けて発信した政策が評価されたことは事実でしょう。それが投票結果という数字になるというメカニズムについては疑問がありました。
菅野さんの見解に完全に同意するわけではないのですが、自民党、維新が減らした票がほぼメカニカルに国民民主党の受け皿になったという視点とその裏付けになる数字には、とても得心のいく見解です。
国民民主党の躍進については、菅野さんの説明が核心を突いているとしていいのではと思います(変な陰謀論に陥らなくてよかったです)。
そうなると興味深いのが、れいわ新選組の数字です。
菅野さんの分析では、本来れいわに出るはずだった323万票の増分の見立てにたいして、実際にれいわ新選組が実際に得たのは、前回から160万票の積み増しでの380万票でした。(今回380万ー前回220万=160万票が増分)。菅野さんの予想の約半分で、これを「とり損ねた」と考えることはできそうです。
これがとても面白い現象だなと感じます。
というもの、れいわ新選組は、都市型の政党だという印象がありました。
前回2021年の衆議院選挙で、得た議席は、すべて比例代表で、
東京1、南関東1、近畿1でした。
地方への浸透が課題とされていました。
今回も、前回同様すべて比例代表で、
東北1、北関東1、東京1、南関東1、東海2、近畿2、九州1でした。
都市型政党であるという点では、東海と近畿が2議席得ているのは納得ですし、北海道が僅差で議席を得られず、九州も2議席まであと一歩でした。
そのことを考えると、全国的な知名度が上がっているのは間違いない。
れいわ新選組は、前回の課題を克服していたと解することはできそうです。
そうみると、首都圏の数字が伸びていないことが見えてきます。
少なくとも東京はあと2議席、北関東と南関東はあと1議席はあってしかるべきでした。
菅野さんのご指摘の通り、れいわ新選組が、戦略上何かミスをしていたと考えるのが自然なのでしょう。それは、首都圏へのアプローチだったと総括してよさそうです。
朝日新聞は、れいわ新選組の最大議席数を15議席と予想していましたが、本来は得てしかるべきだった首都圏の4議席と北海道と九州で届いたかもしれない2議席を足すと15議席となる。
朝日新聞の分析は、そんなに荒唐無稽ではなかったのだと思います。
(毎日新聞の6~7議席は、何かを読み間違えたのでしょう)
では、なぜ首都圏では予定通りに数字が動かなかったのか。
それは、もうすでに、首都圏では、「飽きられた」からではないかなと見ています。
トレンドというのは、ものすごいパワーをもたらす一方で、飽きられるのも早い。
これを私は、勝手に「クリスピー・クリーム・ドーナツ現象」と呼んでいます(関係者の皆さん、ごめんなさい)。
JR博多駅の商業施設に鳴り物入りで登場した「クリスピー・クリーム・ドーナツ」ですが、信じられないくらいの短期間で撤退しました。
オープン当時、ものすごい行列ができました。横4~5人、縦が10人くらいの1セットが2~3くらいあったのではないでしょうか。東京なら驚くことではないのかもしれませんが、九州の田舎では驚愕に値します。
なので、当然「あれは何?」と話題になりました。
ところがそんな「クリスピー・クリーム・ドーナツ」ですが、飽きられるもの早かった。気がついたら福岡から撤退していた。あの行列は、何だったのか。これが移り気な現代の消費者の怖さだなと感じたものです(私は結局食べ損ねました)。
今回、れいわ新選組は、首都圏ではこの移り気な有権者の洗礼を浴びたといえるではと思っています。それほど、首都圏での情報の消費は早いのでしょう。
ただ、それは、一部の有権者に飽きられるほどの一定の知名度を得たとも言えます。れいわ新選組が、既成政党の枠に入り、有権者に向けて新しいアピールが必要な段階に入ったと理解すべきかなと思っています。
れいわ新選組は、存在として次のステージに移行している。それに応じた最適なアプローチを有権者にしなければならないのでしょう。
これから始まる国会論戦で、衆参14議席を得た政党として存在感を見せられるが、正念場となりそうです。増えた議員数に見合った存在価値を有権者に見せつけないといけない。
また、徹底した政策主義を貫いている政党ですので、バラマキのポピュリズム政党という批判を正面突破で払拭することも求められる。
小規模政党と中規模政党の中間に位置する政党としての戦略が必要ということなのかなと思っています。
新鮮味のある政党という、ご祝儀相場は終わった。
次の衆議院選挙では、2議席得た近畿と東海は、今回の首都圏で味わった有権者の厳しい目に晒されることでしょう。
今後、れいわ新選組がどのような手立てで払拭を図るのか。とても興味があります。
その意味でも、れいわ新選組は面白い政党だと思います。
いろんな批判も多く、それはそれで的を射ているとも思っていますが、冷笑的な世相に相反して、ドン・キホーテ的な無謀さは、現代人が忘れかけている野性味があり、これがとても面白い。
このままズルズルと退潮することはないと見ていますが、そのための次の一手が何になるのかは、注目しています。
まずは、来年の東京都議会選挙と参議院議員選挙でしょうか。東京のテコ入れという点でも中規模政党へのステップとしての試金石となるのは間違いのないところではと思っています。