エネルギー保存則はなぜ成り立たない?【物理・力学:長崎大】
今日は、物理の質問からです。問題はこちら。
物理は、問題が長いですね(^^;
今回は(6)と(7)についてです。
ここまでの流れとして、
(1)で弾丸と木片の衝突後の速さが
でています。運動量保存則ですね。
(5)で木片+弾丸が一体化したAが台の上で静止したときの速さが出てきます。
運動量保存則は、衝突に影響を受けないので、m2v0から計算できます。
で、(6)ですが、
が出てきます。
前置きが長くなり、すみませんが、ここからが今日のポイントです。
質問はこのあと(7)で、内容は
この運動エネルギーの差が、摩擦力の仕事と一致すると思うのですが、
ΔU=μmgLとして、Lの最小値を出したいと思ったのですが、うまくいかないのはなぜですか?
というものです。
一瞬、正しいのかな?と思いましたが、よく考えるとこの考えには誤りがあると気づきました。
うまくいかないのは、このΔUが、
から出てきている点です。
ポイントは、最初の弾丸と木片が(完全)弾性衝突ではないことです。
ここでエネルギーの流出が起こっています。そのためΔU=μmgLとできないのです。
問題の流れからついつい、このような思考になったのでしょうね。長崎大の先生は、よく受験生を理解しているのかなと思います。1問、1問物理現象をよく吟味して解いてほしいということでしょう。
(7)は別の解法でもできますが、エネルギー保存則でも解けます。
衝突後、Aとなったとき、つまり(1)の速さを用いた運動エネルギーと台上でAが静止したときの速さである(5)を用いた運動エネルギーの差が摩擦の仕事になります。
エネルギー保存則の式を立てると
となります。これを解いて、
と最小のLがでてきます。
よって(7)は、
となります。
エネルギー保存則は、(完全)弾性衝突のみ成立します。衝突の際は、(完全)弾性衝突であるかどうかはチェックしてくださいね。