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衆議院選挙の情勢報道からみえてくる、私が思う有権者の3つ価値判断(2)【野党に吹いている追い風に乗れない、あの政党は何を間違えたのか】

日本の有権者は、「政策」「イメージ(印象)」「イデオロギー」の3つの要素のバランスで政党、投票先を選んでいるのではと思うようになりました。

その点については、こちらで書いています。

この仮説から、興味深い動きをしているなと感じる政党があるので、書いてみます。

それは、日本共産党です。

選挙前、日本共産党に注目していました。というのも、彼らが今回、立憲民主党から袖にされる形で、野党共闘の枠組みが実質的に壊れたからです。

これまで、共産党は野党共闘のために、小選挙区で候補者を降ろしてきました。
「見返りは、民主主義」という掲げた旗は、党勢拡大という犠牲を伴うものでもあった。
今回、それがなくなったのであれば、小選挙区での勝利は難しくても、比例は伸びるのではと見ていたからです。

ところが、野党に風が吹いている選挙なのに、情勢分析の結果は、微増程度にとどまっている。

これはどのようなメカニズムなのだろうかと思った次第です。

言うまでもなく、日本共産党は、バリバリの「イデオロギー」政党です。

一方で共産党は、政策について、丁寧に党としての見解を形成する政党でもあります。今回、立憲との共闘をなしにした共産党側からの理由が、安保法制への見解であったことはそれを象徴しています。

私のような人間が言及するまでもなく、共産党は、「政策」にもこだわる政党でもある。

ところが、今回の選挙では今一つ政策にこだわる政党と見えてこないと感じています。これは見過ごせない点だと思っています。

共産党支持者がよく主張されるのが、「消費税反対を掲げていたのは共産党なんだ。れいわなんか後発もいいところだ」という点です。

古くからの支持者の方のお気持ちはわかるものの、個人的にはそんなことはどうでもいいのではと思っています。

折角、消費税減税または廃止で一致点があるなら、なぜ協力しないのか。

でも書きましたが、沖縄1区で、れいわ新選組が候補者擁立に動いた騒動について、

共産が大人の態度をみせて、握手して和解を印象づけることもできたでしょうし、そうなれば赤嶺さんの選挙にもプラスになったはず。沖縄1区で、山本代表の応援演説も可能となったかもしれません。

上記記事より

れいわとの協力体制を構築できず、私の知る限り、赤嶺さんへの応援演説が実現しなかったことは、もったいないことでした。

なぜなら、れいわ新選組は、消費税減税という軸があれば、協力する体制がある政党だからです。

れいわ新選組の山本太郎代表は、れいわが鹿児島県では小選挙区で候補者を擁立していないのにもかかわらず、立憲民主党の川内博史候補の応援に入っています。

川内さんは、立憲民主党の議員でありながら、消費税減税を訴える議員でもあるからです。

今回、共産党への風が微風に留まっている理由は、実体に反して「政策」への熱量が乏しいと有権者にみられ、さらにこれまでとは違う「イメージ」を打ち出せなかった点は大きいのかなと思っています。

また、共闘して自民に対抗しているというイメージを失ったのは、思いのほか影響が大きかったのかもしれません。

孤高であることは、いいことでもありますが、他の野党とうまく連携するという点は、大事にされてもよかったのかなと感じます。

れいわ新選組は、政策至上主義政党であるようですから、政策で一致できれば、与党も野党もないというスタンス。
(随分前に、山本太郎代表は、与党が消費税減税するなら、協力するとまで言っていたように思います)

このように政策を軸に横に展開することも十分にあり得た。

万が一、沖縄1区を小選挙区で議席を失えば、それは選挙戦略の誤りである点を指摘せざるを得ないでしょう。

沖縄1区(正確には沖縄4区の問題でしょうか)の騒動で、浮かび上がった共産の「れいわより立憲」軸足のスタンスは、間違いだったのかなと思います。

もし、「政策」重視で、れいわと共闘していれば、これまでの「イデオロギー」に加えて、新しい「イメージ」も付加できたと思います。

それは、大企業の労働組合である連合に支えられている立憲民主党とは異なり、市民ベースの政策を推進する政党という役割を創造できたのではと思っています。

何より、野党を束ねるリーダーシップがアピールできた。

老舗政党は、イメージが固定化しているというマイナス面がある。これは何らかの形で打破することが必要でしょう。

その意味で、日本共産党は、「イメージ」の面で有権者を引き付ける要素に乏しい結果になっているのかなと感じています。

女性リーダーに変わり、山添拓議員など新鮮さのある議員もいる。イメージ改革もうまくいっている面もある。

ただ、それだけでは十分でないのかもしれません。

折角あれだけ、政策を煮つめていく政党として実力があるのですから、政策を実現するための仲間づくりは大事にしてほしいなと思います。

ただ、今後の共産党の動きには、期待もしています。社民党も巻き込んで、消費税減税(廃止)のアライアンスは十分可能だと思うからです。

産業界の反発も大きく、さらに連合の今の現状を考えると実現性が乏しい、共産党が何らかの形で関与する野党連合による連立政権構想よりも、消費税廃止一点突破による連携が可能になれば、新しいイメージを作ることができるのではと思います。

近々の政権交代があるとすれば、立憲民主党を軸とした政権でしょうが、今回の議席大幅増によって、立憲民主党が共産党を頼るような構図は考えにくい。現在の執行部は、消費税は必票な財源というスタンスなのですから、その点も踏まえると、さっさと見切って、政策ベースのスクラムを組みにいくのがいいのではと思っています。

共産党は、もっと評価されるべき政党だと思います。市民への利益という点を考えて行動してほしいなと思っています。

私は、消費税は廃止すべきだという考えです。

消費税という点においては、国会は、強大な政治勢力によって覆いつくされている。これに風穴をあけるには、消費税の問題点を共有する政党同士が力を合わせて、世論を喚起してもらいたいと思っています。

そのためには、日本共産党の役割はとても重要だと思います。頑張ってほしい政党です。




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