学校推薦入試で合格した生徒が塾を辞めた理由(わけ)【私立大学の学生性悪説にならざるを得ない苦しい現実】
私立大入試がピークを過ぎたこともあり、ぽつぽつと合格したという朗報が塾に届いています。
今回は、一足先に合格を勝ち取った学校推薦型入試で合格した生徒が塾を辞めることになった話をします。
この生徒、春先から薬学部を目指してしっかりと勉強していました。地元の私立大学の薬学部が第一志望。「化学は国公立組に負けるな」と励ましていました。元々は、指定校推薦が激戦ということもあり、一般入試で準備していたのですが、2学期になり、幸運にも指定校推薦が取れ、この時点でほぼ合格を手中にしました。
それでも、化学は将来必要な科目なので・・・ということで、塾に来てしっかりと勉強していました。国公立大学の入試問題もしっかりと対応して、宿題も完璧。春まで頑張って続けると言っていたのですが・・・。
合格後、塾長からその生徒は、年内で辞めると聞かせれました。
理由は、大学から某映像授業サービスを受講することを求められ、それが結構な額となるため、やむなく退塾となったとのことでした。
話を聞くと、映像授業サービスの授業聞いた後、テストを受けて、その成績は大学に行くとのことでした。
この大学の指定校推薦は、公募推薦入試で実施される学力試験の受験が義務付けられており、また、学力試験も年内の遅い時期にあり、ある程度の学力への意識が高い入試を行っています。
それでも、合格した生徒への不安からか、「学力」不足の警戒感があるのでしょう。それを補うために実質的な強制の映像授業の受講、テストの受験となっているのでしょう。
入試の多様化は、それはそれでいいと思うのですが、現実には学力不足の学生に怯えるという私立大学の姿が見えてきます。
このような仕組みを取り入れることは、塾に来ていた生徒には、大変失礼なことをしていると思わなくもありませんが、「合格即学びからの退場」となる生徒を基準にしないといけないことは、学校推薦型入試のリアルは、性悪説がデフォルトとなる現実を証明しているのでしょう。
偏差値教育批判とか、詰込み教育批判とか、確かに創造性の時代にあっているのかという議論はあっていいと思うのですが、薬学部に進学する学生が、化学の知識が著しく低くてよいということにはならないのも現実です。
大学教育に必要な最低限度の学力は担保する仕組みと連動しながら、新しい入試を模索してほしいなと思っています。
そもそも大学は勉強するところが第一の意義なのですから。
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