トランプ、大統領に返り咲くってよ。見えてきた私たちの生きる「今」(3)【日本でも鍵を握るのは「揺れる有権者」なのか】
トランプ氏の大統領返り咲きから見えてくる「今」について考えています。
前回はこちら。
今回は、アメリカ大統領選挙でのメカニズムと日本の国政選挙のメカニズムについて思うことを書いてみたいと思います。
アメリカ大統領選挙の仕組みはこちら。
ほとんどの州で選挙人の勝者総取り方式を採用しているため、何度やっても共和党(赤)が勝つテキサス州や民主党(青)が勝つカリフォルニア州などが存在します。
そのため、勝敗に強い影響力をもつのは、赤と青が入れ替わることがある州、いわゆるスイングステートだとされています。スイングステートにはそれなりの傾向があり、大体民主党が勝つけど、たまに共和党が勝つミシガン州や逆に大体共和党が勝つけど、たまに民主党が勝つノースカロライナ州などがあります。
このようにアメリカ大統領選挙というのは、確定要因と不確定要因からなっています。
これは、日本の国政選挙にも当てはまるようです。
公明党や日本共産党のように安定した支持層が存在する政党が存在します。国政レベルでは、多数の議席に届かないものの、地方自治体議会選挙では、一定の勢力を確保しています。
また政権与党の立場を生かし、仕事関係の「しがらみ」を発生させることで、一定の議席を得ているのが自民党の強みでしょう。利害関係者(ステークホルダー)を選挙に絡ませる手段は自民党の与党でありつづけるダイナモになっているのは、間違いないところです。
また、労働組合票が一定存在する(とされる)のが旧民主党系の立憲民主党と国民民主党です。これも広義の利害関係者とも解することができる一面を持ちます。
これらは、確定要因となり、国政選挙では、基礎票となる。
ただ、これだけでは、雌雄を決しないようです。日本にもアメリカ大統領選挙でいうスイングステートは存在する。
今回の衆議院選挙は、それをはっきりさせたと思っています。
今回、自民党は500万票以上、公明党は、100万票以上減らしたと報道されているので、公明党はともかく、自民党の票はどこかに分散したのでしょう。
この散逸票が、石破内閣の少数与党となった原因なのですから、「揺らぐ有権者」は、強い影響力を持っていると考えることができそうです。
マスコミは、このような有権者を「無党派層」と呼び、それには「政治的にはっきりしない層」とやや否定的なニュアンスで語る傾向があるようですが、私は決してそうではないと前々から思っています。
現状の与党の政策への支持や批判を結果に反映させる意味では、とても有効に機能している存在と言えるのではと思います。
これまで、若い世代は、自民党支持が多いとまことしやかに報道されていましたが、これも安倍政権時代なら正しかったのでしょうが、今はそうではないこともはっきりさせた。
国民民主党の躍進は、税と社会保障の「一体的高負担」が問題として政党の前に可視化させた。これは、国民民主党には、「想定外」だったのか、財務省出身の党首の言動がブレてしまう結果となっているように思います。
今後、この「揺らぐ有権者の意思」は、与党を含めて各政党に圧力となり、財務省のやりたい放題だった財政政策へのプレッシャーとなって監視機能となることを期待したいところです。
税は、民間に流れるお金を吸い上げる機能があります。そもそも税は、市場に流れるお金を調整する役割があります。中高の教科書では、そう習います。社会保障も含めた国民負担が高ければ、消費が低迷することは、当然のことです。
本来ならば、財界が怒らないのがおかしい。
そうしないのは、輸出企業を中心に消費税の制度的なうまみが大きいのでしょう。
その意味でもこの国の財政政策は歪んでいると私は思います。
解決策は、国民が知恵をつけて財務省の欺瞞と戦うしかない。その意味でも、与党への圧力を高める「揺れる有権者」が彼らに恐怖を与えるしかないと思っています。
与党は、国民負担の軽減に手を打たないと次の参議院選挙は持たないでしょうし、その点では何も主張しないに等しい立憲民主党は、与党よりも厳しい立場になる。国民民主党も次は「本気度」が問われるでしょう。
「揺れる有権者」が支持した国民負担の軽減は、政党を走らせる存在として機能することが健全な政治への入り口になるのではとも思っています。
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