ハイレベル問題の狙いどころ(セミナー化学)【酸化開裂:お茶の水女子大】
今回は、受験生からの質問です。化学の酸化開裂についてでした。セミナー化学(お茶の水女子大)の問題です。
問題はこちら
(1)
まずは情報をまとめます。C6H10の五員環構造で、対称と非対称がある。それがA~Dで、それらを酸化するとG~Hとなる。
非対称は A・・・不斉炭素原子あり
B・・・不斉炭素原子なし
対称は C・・・DでないものがC?
D・・・HとIに分かれる
みたいな感じになりそうですね。
C6H10の不飽和度は2なので、C=Cが1つあるとみていいでしょう。
では、書き出してみましょう。まずは単結合の五員環をかいて、そこにC=Cを差し込む感じでいいと思います。
五員環構造なので、環状構造からメチル基が飛び出すようですね。
問題文にあるように対称と非対称に分かれることがわかります。
あとは、先の分析結果を当てはめるとA~Dは特定ができそうです。
では、ここから酸化開裂で開いています。今回は酸化剤を過マンガン酸カリウムを使っていますので、酸化は結構進みます。
ポイントになるのは、CH=CHまたはC=CHとなるのは、酸化開裂して、CHO-CHOまたはCO-CHOでは止まらないということです。アルデヒド基は、カルボキシ基まで進みます。
よって
となります。
Fはヨードホルム反応陽性なので、Bが酸化したものだとわかります。
Gは対称性があるので、Cからの酸化したもので、消去法でEが決まります。
HとIは環状が開かないので2つに分かれます。
ちなみに、Hは問題文にあるように、過マンガン酸カリウムの影響で二酸化炭素まで分解してしまいます。ベンゼンやナフタレンでの酸化開裂でも見られる現象ですね。
(2)
まずはP4O10(十酸化四リン)が乾燥剤であることに気づきたいですね。脱水によって環状構造になるのでしょう。ならば、末端にカルボキシ基となるEとGが候補です。不斉炭素原子の存在が区別の根拠なので、
EからJができ、GからKができると判断できます。
酸化開裂は、難関大でよく出題があります。酸化剤は、オゾンと過マンガン酸カリウムで様相が変わるので、事前によく整理しておきましょう。
このあたりの塩梅は、解法にも思考にも影響があります。
今回は過マンガン酸カリウムなので、カルボキシ基まで変化すると即断できるかどうは、結構差がついたかなと思います。
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