タブレットPCのある風景
今回は、学習とIT機器について。
ここ数年、塾の風景を劇的に変えたことがあります。それはタブレットPCの普及です。
雑に表現すれば、私立高校に通っている生徒はタブレットPCを持っています。
学校からの連絡事項などは、タブレットPCに通知が届きます。
デジタル化に熱心な先生は、教材もデジタル化しデータで生徒に配布しています。
一方、公立高校の生徒は昔ながらの紙による学習をしつつ、一部の生徒が実験的にIT機器による授業を受けている段階です。
教育現場のIT化の波は、「デジタル化、当然っしょ?」という勢いですが、私はかなり懐疑的に見ています。
私自身、教材はデータで管理し、映像教材も組みわせて対応していますが、受講生の活用レベルでのデジタル化は慎重です。
教材をデジタルで作成、アナログで配布というのが今の現状です。
理由は割とシンプルです。デジタル化に効果を確認できないからです。
上記の通り、福岡市の学校に通う高校生は、タブレットPCを日常的に使っている生徒とそうでない生徒に二分されますが、タブレットPCを活用する、しないによる優位性は確認できません。
これまでは、どちらでもいいなら、タブレットPCを使える方がいいのかなと思っていましたが、最近そのように考えなくなりました。
自分自身の経験が大きいですね。
私は、かつてスケジュールをスマホで管理していました。通知が来たり、PCとの同期のメリットはありがたいと思いつつも、入力の手間の優位性から紙(手帳)に戻しました。
そのときにあることに気づいたのです。
デジタルで入力する場合と、手で手帳に書き込むとでは、記憶の残り方が違うのではということです。
手で記入することは、記憶に大きな影響があるのではないかと感じています。
スマホやキーボードで入力する際は、予測変換によって上がった候補の字を選んでいるだけなので、記憶に残りにくいのかもしれません。
デジタル教材も試行錯誤の段階なので、今後変わっていくのでしょうが、まだデジタルの優位性は感じられないというのが、私の印象です。
そのため、今もアナログのやり方を維持しているという感じです。
しっかりとした検証などを経ずにタブレットPCが配られ、無批判にデジタル化教材で学習する流れができつつあるのではないかと気になっています。
ここは、大人が立ち止まって考える必要があるのではないかと感じています。