【CGアニメ】はじめてのアニメーターに必要な4つの技術
はじめまして。アニメーションを得意とするCGスーパーバイザーのスマートアニメーションです。業界10年目を迎えました。
僕が年月をかけて学んだ技術や知識をこれから現場で働く人が同じ年月をかけて学んだのでは、時代のスピードについていけないと感じています。スマートに学び、どんどん新しい挑戦やクオリティアップの時間に使ってほしいと思います。
この記事では、初めてCGアニメの現場で働く”CGアニメーター”に向けて記事を書いています。【】が現場で使用される言葉なのでぜひ覚えてください。
①レイアウト
絵コンテから1カットの完成画面を想定し背景の構図とキャラクターの動きや配置を決定してより緻密に描かれた設計図(制作現場ではLOと略される)を制作する工程になります。
●作業の流れ
キャラクターの配置→カメラ配置→レンダリング→Photoshopでレイヤ整理
キャラクターに簡単なポーズをとり、カメラを配置します。
ポーズの修正とカメラの調整を繰り返し行います。
●原図出し
背景は【美術】と呼ばれる手描きになる場合が多く、背景まで3Dはある程度制作期間が長いプロジェクトに限られます。
そのため、美術を制作される担当者または協力会社に【原図】を渡します。
手描きで描くための設計図となるため、グリッド表示してパースの情報を分かりやすくしたり、キャラクターの手前にかぶせるオブジェクトが分かりやすいように色を塗る【ブック分け】作業が必要になります。
指定の【レイアウト用紙】と出力した画像をPhotoshopに取り込み、PSDデータとして納品します。
ケース1:原図がすでに用意されている場合
手描きの原図に対してパースが合うようにカメラを配置して、カメラの高さや画角を調整します。
場合によっては背景モデルを歪ませる必要があります。
※カメラをアニメーションさせることはできません。
ケース2:背景も3D
この場合は自由にカメラをアニメーションさせることができます。
この場合は原図を提出する作業が必要ありません。
シルエットが完成されたモデルデータを使用してカメラを配置します。
ポイント1:
CGから出力する画像はDPIではなく解像度で管理されます。
最終出力する解像度を最初に確認しましょう。
テレビアニメでは【フルHD】(1920×1080ピクセル)が一般的です。
ポイント2:
カメラワークがある場合、レイアウト用紙2枚以上使用してレイアウト作業することがあります。これを【大判】と呼びます。
AE上でカメラワークを足す場合に使用します。
●レイアウト参考
ディズニー作品の『モアナと伝説の海』で自分自身を見つめ直すカット(ショット)があるのですが、ここでは”水面に映った自分”をカメラに収めています。
このように、そのカットで伝えるべき内容を強調するようにレイアウトすることで、ストーリーを届けるように心がけていきましょう。
②アニメーション
絵コンテから動きを創造し、命を吹き込みます。
CGスタジオによってワークフローが異なると思いますが、まず大まかな動き(演技)やタイミングの確認をした後、表情や髪の毛などのアニメーションを完成させていくのが一般的です。
キャラクターに関わるエフェクトまでアニメーターが担当します。
●作業の流れ
絵コンテを理解する→動きの確認→表情などの詰め→めりこみ修正
動きを確認するためのラフのアニメーションのことを【アニマティクス】と呼びます。作画の【ラフ原】になります。
ここで演技やタイミングの確認を行います。
スタジオによっては、【プライマリ】と【セカンダリ】を工程を分けて作業する場合があります。
プライマリ:体の動き
セカンダリ:表情や髪の毛などの揺れものと呼ばれる動き
フレーム単位のことをCGアニメの現場では【コマ】と呼び、アニメは1秒24コマ(絵)で作成します。
【2コマ】は2枚ずづ、【3コマ】は3枚ずつ絵を停止させることを言います。
●減り込み修正
減り込みの修正は3Dソフトで行う場合と、コンポジットソフトで行う場合があります。
ポイント1:
作品によってはコンポジットソフトで修正できない場合があるので確認しましょう。
●アニメーション参考
ジブリ作品の『魔女の宅急便』では、父親が娘を抱き上げるカットがあるのですが、ここでアニメーターは一度で持ち上げず、態勢を直して持ち上げ直しています。
ここでは”娘が成長した”というメッセージを強調してアニメーターが表現しています。
③ライティング
キャラクターに光を当てるライティングセクションまでアニメーターが行うことがほとんどだと思います。
CGアニメの場合、ウソの影を落とすオブジェクトやライティングを用意して、立体感を強調させることがあります。
順光:被写体の正面から射す光のこと**
逆光**:逆光とは描く対象の後ろから光が差している状態のこと
ポイント1:
立体感が分かる様にする。光8:影2くらいの割合が多い。
●ライティング参考
ディズニー作品の『ズートピア』では、非を認めて謝る一連の流れがあるのですが、ここでは謝る側が影にいて許す側が光の中にいる。
ストーリーを強調するようにライティングで演出しています。
④コマ打ち
3Dソフトウェアからレンダリングされた連番をコンポジットソフトに取り込みます。
After Effects(AE)では”タイムリマップ”という機能を使い、【原画】【中割り】のタイミングでキーを打ち、絵を停止させます。ここで動きの【タメツメ】を表現します。
アニメーターによって使用するコマが違うので、個性がでます。
コマを停止させないフルコマのアニメーションと違い、”リミテッド”アニメーションと呼びます。
原画:キーフレームのタイミング
中割り:キーフレーム間の補間部分
タメツメ:動きのメリハリを強調すること
【ケレンミ】
動きのダイナミックさ・気持ちよさのこと。
「ケレンミが足りない。」「ケレンミをもっと足してください。」など修正指示としてよく使われます。
納品タイミング
アニメーターは以下の編集タイミングに合わせてデータを間に合わせる必要があります。
カッティング
カット毎のデータを絵コンテに準じて繋ぎ、カットの尺(秒数)を削ったり、伸ばしたり、カット単位で入れ替えたりする作業。
カッティング後に演技を足したり減らしたりする場合があります。
DB(ダビング)
音響作業の最終工程のことで、アニメ現場ではアニメーションが完成したあとにサウンドや効果音を入れることがスケジュール的に厳しい場合、先に音がつけられるようにアニメーションのタイミングだけは決め込んだ状態にしたものを用意することがあります。
V編
ビデオ編集の略。テロップ入れなどを行い最終的な確認をし、最終納品形態にする作業のこと。
ここまでにアニメーションの作業を終える必要があります。
まとめ
一番大切なことは、ストーリーを届けることです。単にキャラクターを動かすだけではなく、常にこのことを意識して表現することを一緒に楽しみましょう!
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