無いなら作ればいい!農業での3Dプリンタの使い道
細かいパーツこそ3Dプリンタが向いている
農業向けのちょっとしたパーツ。
将来の市場規模は判らないですが、現在は少なくともニッチな需要である事は間違いありません。こういったパーツは普通に外部に製作を依頼すると高くついてしまいます。
そのため、ありもので何とかするしかありません。少なくとも今まではそうでした。
でも、今は違います。
そういう時に役に立つツールとして3Dプリンターがあります。
一般的に作るモノが樹脂製で良ければこれでコト足りてしまう事も多いのです。
私が使っているもの
・ハードウェア
・3Dプリンタ(AnyCubic i3Mega-S)
・ABSまたはPLAフィラメント
・ソフトウェア
・FreeCAD
・Cura
私が使っているのはAnyCubicのi3Megaという機種です。ちょっと古い機種になっていますが、十分に使えます。
こいつは元々趣味で使おうと思って購入しました。
ただ、サンプルやちょっとした簡単な形のものをプリントして死蔵していましたが…
使わなかった理由は色々ありましたが、主なもので言えば「プリントするまでの手順が手間だった」という事と、「CADソフトの使い方がよく分からなかった」という事があります。
プリントが手間だった件は、SDカード経由でプリントアウトしていたのを止めてPCとUSB接続する事で手間が省けるようになった事で解消しました。
CADソフトの使い方については少しずつ学んでいる所で、ようやく判るようになってきたという感じです。
少しずつでも良いので使うと覚えられるという事ですね。
何を作っているのか
農業分野で3Dプリンタが何に使えるの?
ここでは一例になりますが紹介します。
鉢植え栽培は地植えとは違って、土の乾燥についてシビアになります。
植物の根っこが鉢の部分しかないので当然ですよね。
なので、土が乾燥して植物が枯れてしまわないように「水やり」が重要になってきます。
土の乾燥具合を知るのにどうしたらよいか?
一般的には土壌水分センサを使う事かな、と思っています。
これは前の投稿でも述べていますが、土壌水分を計測してくれる頼もしいセンサです。
鉢植えの場合、この土壌水分センサを使って計測しようとすると上手く行かない場合があります。
その原因の一つが、「センサについているケーブルを動かしてしまい、センサと土壌の密着具合を壊してしまう」というものです。
一般的な土壌センサというのは、露地栽培つまり畑のような土の部分で使う事を想定していて、鉢植えのような比較的小さな土の塊を計測するようには出来ていません。
加えて、鉢植えだと鉢自体を動かしやすいというメリットが、土壌計測の部分ではデメリットにもなり得るんです。
なので、鉢植えなどの制限のある土壌で計測するには何らかの工夫が必要となります。
その一つが、鉢と土壌センサを出来る限り一体化させる事で、具体的には鉢とセンサを固定する治具を取り付ける方法があります。
上に挙げた写真は今回作成した治具の一部となります。
センサを固定しつつ、鉢植えにも固定しなくてはいけない事からパーツの形状は複雑になりますね。
(こういった部分を作る事でFreeCADの使い方に慣れてきたという面もあります)
トライ&エラーの繰り返し
そして治具を組み立てて、実地試験となります。
今回はシクラメンの鉢に土壌水分センサを取り付けて、計測を開始しました。
作った時は中々良い出来では?と思ったのですが、当然そんなことはなく、現場からは要望も上がってきます。
実際に栽培する植物体の邪魔は出来るだけしたくないので、もう少し鉢の隅の方にセンサを配置できないか、というものでした。
こんな時、治具を大量生産していたら…我慢して使って貰うしかないですね。
今回の場合は違います。
治具のCADデータが手元にあるので、寸法を修正し、再びプリントアウトすれば良いのです!
そして、これなら広く使われても問題ないレベル、というものが出来た時点が来れば、そのデータがCADデータとして残っているので、大量生産もしやすくなりますし、外部に生産委託する場合も手順が簡単になります。
こういったものは現場の生産者さんでも不便だな、と思いつつ何とかやりくりしている所を見かけたりしていました。
おそらく困っている所は似たような所ではないか、と感じているので、こういったパーツ生産でも助けになるのではないかと思っています。
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私が共同代表を務めているGREEN OFFSHOREでは農業向けのIoTサービスを展開しています。
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