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都市のデジタルツインって!?ー実証事業進行中ですー
「都市のデジタルツインって!?」シリーズ第9回の発信です。
10月から新たにデジタルツインの部署に加わった増田です。それまではデジタルツインとはまったく関係ない民間企業で働いていました。そのため「都市のデジタルツインって?????」状態から始まりました。そういった初心者目線でデジタルツインって何かを紹介してみたいと思います。
デジタルツインって何?
現実世界の物体や環境を、デジタル世界で再現しようとするものです。デジタルの双子ということで「デジタルツイン」と呼ばれています。
では、東京都はどのような取り組みをしているのでしょうか?実はすでに東京都のいろいろな部署が保有している各種データや東京都以外が持っているデータを東京都の地図情報に3Dビューアとして連携させています。地形情報、建物情報、交通情報、人口情報、各種拠点情報…、これらを一つの地図の上に合成していくことができます。
個人的にこれは便利!と感じたのが、自転車シェアリングのステーション配置マップ。私はいつも某通信系のシェアサイクルを使用しているのですが、ステーションがない地域があるのが不満でした。ところがこの3Dビューアで他社のサイクルステーションも重ねて見られるのですが、なんと!今まで自転車シェアリングがないと思っていた地域は他社がカバーしていることがわかりました。早速他社もアカウント登録をしました!
このように各種データを個別に存在させるのではなく、一つにまとめてしまうのがデジタルツインのメリットです。気象データ×交通データ×河川の水量データと、各種データを組み合わせると災害の時の避難誘導など新しい用途が期待できます。
東京都のデジタルツイン3Dビューアで表示した自転車シェアリング情報
東京都では「ベータ版事業」として3つの分野で検証を重ねて、デジタルツインの新しい可能性を探っていますので、最近の検証内容をご紹介いたします。
ベータ版事業 01
~センサー等によるリアルタイム・準リアルタイムデータ活用の検証~
例えば道路に設置したAIカメラから得られたデータで、車や歩行者等の交通量をデジタル地図に反映させれば、交通状態が把握できます。現在都内の複数地点にカメラを設置し情報の取り込み検証を進めています。
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出所)SCORER, https://www.scorer.jp/hubfs/mq2.jpg (2023/10/13閲覧)
将来的には都市に設置された各種センサーからの情報を統合できれば、都市の様子をリアルタイムで見守り、未来の東京を見通すことも可能になります。
ベータ版事業 02~都職員による点群データを整備する仕組み作りの検証~
航空機などからセンサーで測量し、点の集合として地形などを把握しています。これを点群データと呼んでいます。
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東京都全体の点群データを現在作成中ですが、このような大規模なデータ整備だけでなく実はもっと細かい作業も行っています。
例えば水道管新設工事で水道管の「位置・深さ・太さ」の情報をデータとして持っておけば、その後の維持管理作業を効率化することができます。
このデータ取得を、都職員自身が簡単に、簡易的な機材で行えるような方法を現在検証中です。
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ベータ版事業 03~産学官でのデータ連携に向けた課題検証~
都市データは東京都だけが作成しているのではなく、国・自治体、民間事業者、アカデミア等の多様な主体が作成しています。これらのデータを連携し、デジタルツインの新しい活用ができないかを検証していきます。
今回宇宙航空研究開発機構(JAXA)の地表面温度データや、国土交通省荒川下流河川事務所の荒川水深断彩図のデータを東京都のデジタルツイン3Dビューアに取り込みを行いました。
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今後特定非営利活動法人 ITS Japanと連携し、自動車メーカー2社から提供された車両制御(ワイパー稼働速度)データによる高解像度な降雨強度の分析および車両位置情報による道路の通行実績・可否確認を検証予定です。
これからについて!
今後も引き続き、みなさまからのご意見を取り入れながら、より良い東京のデジタルツインの実現を目指していきたいと考えております。
ぜひ東京のデジタルツインを一緒に作っていきましょう!よろしくお願いいたします!
詳しくはこちらをご覧ください。