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様々なモノ同士がインターネットを通して「つながる」ための通信規格をご紹介します!
皆さん、こんにちは!つながる東京推進課です。当課ではLTE(4G)・5GやWi-Fi、衛星通信など様々な通信手段を適材適所で活用し、多様なアプローチにより都内全域でいつでも、誰でも、どこでも、何があっても「つながる東京」の早期実現を目指しています。
今回は、IoT※¹で多様なサービスでの活用が期待される通信規格「LPWA(Low Power Wide Area)」の主な特徴についてご紹介します!
※¹ IoT(Internet of Things)
モノのインターネットとも呼ばれる、インターネットを通してモノ同士が
通信し合うことで、遠隔地から対象物の制御、計測を可能とする通信技術
・ 「LPWA(Low Power Wide Area)」とは?
皆さんがモノ同士の通信で普段利用しているものにはマウスやキーボード、ワイヤレスイヤホンの通信で使われる「Bluetooth」や、交通系ICカードや電子マネーで使われる「NFC」があるかと思いますが、それ以外にも「LPWA」といったインターネットを通してモノ同士をつなげる通信規格があるのはご存じでしょうか?
※前回の記事で「Bluetooth」、「NFC」についてご紹介していますので、気になる方は併せてご覧ください!
「LPWA」は、Low Power(省電力)Wide Area(広いエリア)の略で、皆さんが普段スマートフォンで利用しているLTE(4G)・5GやWi-Fiよりも省電力で広範囲に通信が行える通信規格のことです。
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・ 「LPWA」の特徴
① 省電力
動画や画像など容量の大きいデータを高速で伝送できる代わりに消費電力量が大きいといった特徴を持つLTE(4G)・5Gの通信とは逆に、LPWAは通信が低速で小さいデータしか伝送できない代わりに一般的に販売されている乾電池で数年間持つほどの少ない電力量で通信を行うことができるといった特徴があります。そのため、電源の届かない場所において小型のIoT機器を長期間運用する際に適しており、まさにIoTの通信を行う上で必要な通信規格だと言えます。
省電力の特徴を活かした事例としては、電池駆動のスマートメーター※²があります。従来のメーターでは検針員が各ご家庭を回り、電気、ガスなどをどれだけ使ったかを目視でチェックする必要がありましたが、IoTを活用したスマートメーターの登場で無線でメーターの数値を会社へ転送するセンサーにより自動的に各ご家庭の月々の使用量をチェックできるようになりました。これにより、検針員の目視によるチェックを必要としなくなったほか、利用者が専用サイトで容易に使用量の確認を行えるようになったことで節電につなげられるなどのメリットを得られるようになりました。
このように、省電力というLPWAの特徴は高速かつ大容量の通信を必要としない場面では大きな利点になります。
※² スマートメーター
無線又は有線による通信機能を備えたメーターを指す。電力やガスなどの使用量を無線で送信可能なため、人手による検針を必要としない。電力供給もリモートで制御できるため、災害時やメンテナンスにも容易に対応が可能
② 広範囲の通信
高速大容量、超低遅延、多数同時接続といった性質をもつ5Gですが、電波の届く距離が短く、さらに建物の壁などの障害物に対し回り込むことができず電波が弱くなるといった弱点があります。他の通信においても、ご家庭や飲食店、商業施設などで利用されているWi-Fiの電波は一般的に屋外で500m程度、屋内では100m程度、ワイヤレスイヤホンやマウスで使われているBluetoothの電波は1~100m程度の通信範囲になっており、通信距離に限界があります。
一方、LPWAは最大100km程度の距離を無線で中継器などを挟むことなくつなぐことができるため、1つのIoT機器を設置するだけでサービスの利用を可能としています。
こういった広範囲での通信が行える特徴を利用し、山間部や離島の通信が取りづらいエリアで、センサーによる農業(害獣の侵入検知など)・環境(河川の水位など)モニタリングや自身の位置情報を追跡できるトラッキング機器などで主に活用されています。
③ 低コスト化
「① 省電力」の項目で、LPWAの通信は低速で小さなデータしか伝送できない代わりに省電力の通信を可能としているということをご紹介しましたが、実はそうすることでできる他のメリットがあります。それは「低コスト化」です。5Gでは基地局を密集させて通信に必要な距離を短くすることで高速通信に対応できるようにしています。しかし、それだけ電力の消費も増えて通信する機器の電池の持ちも悪くなるため、必然的にランニングコストが増えるだけでなく、利用者側が負担する通信料にも影響してしまいます。
それに対しLPWAでは、低速な通信かつ小さなデータの伝送しかできない分、広範囲での通信及び省電力を可能としています。そのため月数百円程度でサービス契約を行えるなど安価に導入できるようにしたほか、IoT機器の多数同時接続も可能しており、比較的容易にIoTによるサービスを展開できる特徴を持っています。
・ 終わりに
今回は、IoTで用いられる通信規格の中でも、LPWAについてそれぞれの特徴を踏まえて簡単にご紹介しました。スマートメーターなど、皆さんの周りでもIoTが活用されていることについて少しでも興味を持っていただければ幸いです。
引き続き、つながる東京推進課では「つながる東京」の早期実現を目指し、様々な通信規格の活用について検討を続けてまいりますので今後ともよろしくお願いいたします!
※出典
・LPWA(Low Power Wide Area)無線通信とは - LPWAの基礎知識 | 村田製作所 技術記事
・LPWAとは? Wi-Fiや5Gとの違いから、IoT時代の新しい通信技術を紹介
・ELTRES IoTネットワークサービス | ソニーネットワークコミュニケーションズ
・スマートメーターとは?メリット・デメリットから設置方法まで解説! | 電力比較サイト エネチェンジ | 電力・ガス比較サイト エネチェンジ
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