データ利活用のススメ~データ利活用ガイドラインのご紹介~
皆さん!こんにちは!データ利活用担当です。
今回は、東京都で作成し、公開している「データ利活用ガイドライン」についてご紹介します。
1.データ利活用ガイドラインとは?
東京都では、デジタルサービスのサービス水準や品質管理を向上させていくにあたり、”価値観”(=行動規範)と”作り方”(=ガイドライン)の2つを共有して推進することによって、都民誰しもが”使いやすく、満足度の高い”デジタルサービスの実現を目指しています。この”作り方”(=ガイドライン)のうちの1つが、本日ご紹介する「データ利活用ガイドライン」です。
(1)なぜ「データ利活用」なのか?
社会の価値観が多様化・複雑化し、変化の速度が速い現代社会において、人々のニーズを把握することがより難しい状況になってきています。
こうした変化の中で、私たちは、これまでの経験や実績に基づいた判断だけでなく、日々の業務の中でデータに基づいて考え、判断することがますます重要となると考えています。
そこで必要になるのが「データ利活用」です。データ利活用を進めることによって、ニーズに合った施策の立案や、施策の定量的・客観的な検証を可能とし、品質の高い行政サービスの実現を目指します。
(2)ガイドライン策定の目的について
「データ利活用」の重要性については理解できても、じゃあデータ利活用ってどうやるの?何から始めればいいの?と疑問に思われる方も多いかと思います。そこで、データ利活用のプロセスや考え方について、この「データ利活用ガイドライン」にまとめ、公開しております。
(3)「データ利活用ガイドライン」で紹介している考え方について
本ガイドラインでは、データ利活用の進め方の1つである「PPDAC」というフレームワークをご紹介しています。「PPDAC」とは、それぞれProblem(問題)、Plan(計画)、Data(データ)、Analysis(分析)、Conclusion(結論)の各フェーズを表しています。以下で各フェーズについての詳細についてご説明します。
・Problemフェーズ
このフェーズでは、データ利活用を行うにあたり前提となる「問題の明確化」と「原因仮設の構築」を行います。データの利活用はあくまで問題解決のための手段なので、Problemフェーズでは問題点を明確化し、その問題にどのような原因が考えられるかという仮説を考えます。
・Planフェーズ
このフェーズでは、Problemフェーズで立てた仮説の検証を行うための計画立案を行います。データ利活用が意味のあるものになるように、どのような分析を行うか、分析を行うためのデータはどのように収集するかなどについて検討します。特に、東京都では行政が保有するデータの積極的なオープンデータ化にも取り組んでいるので、利用するデータをオープンデータ化できるかどうかもこのフェーズで検討します。
・Dataフェーズ
Dataフェーズでは、Planフェーズで立てた計画に基づいて、必要なデータを収集します。このフェーズでは、データを使用する際に、利用許諾など、自分がデータを使用できるようになっているかどうか、データが整備されており、コンピュータなどに読み込み可能な形になっているかどうかなどを確認します。
・Analysisフェーズ
Analysisフェーズでは、これまでに立てた計画や収集したデータを基に分析作業を実施します。検証する仮説や課題によって、適切な分析手法やグラフなどを選択します。特に、分析を行う際に、因果関係と相関関係の違いや、同じ条件で比較しているかどうかなどに注意を向けることが必要です。
・Conclusionフェーズ
このフェーズでは、Problemフェーズで立てた検証仮説が正しかったかどうかを、Analysisフェーズで得られた分析結果から判断します。ただ判断するだけでなく、その検証結果をどのように業務に活用していくか考えることも重要です。
このフレームワークに沿うことによって、手順が明確化し、初めてデータ利活用を行う方でもデータ分析の計画が立てやすくなります。また、データ利活用を計画する際に陥りがちな「データ利活用そのものが目的になってしまう」ということも、各フェーズを意識することによって避けることができます。データ利活用は目的ではなく手段であるということを忘れず、取り組みを進めることが重要です。
本ガイドラインでは、業務の中でデータ利活用の計画をより立てやすくするために、付録として「PPDACワークシート」もご用意しています。ぜひご活用ください!!
2.職員の理解促進に向けて
ここまで、「データ利活用ガイドライン」の内容についてご説明してきました。
ただ、ガイドラインを作るだけでは、データ利活用の考え方を広めることはできません。そこで、東京都では、ガイドラインの中で紹介している考え方や知識を職員へ周知するために、職員向けのワークショップやeラーニングを企画・実施しています。また、これらの活動で職員から出た意見などを、アンケートによって汲み取り、反映させることによってガイドラインをより良いものへ改善していく取組も行っています。
3.終わりに
今回は、データ利活用ガイドラインについてご紹介しました。職員が取り組みやすいように、データ利活用の考え方やプロセスについて説明していることがお分かりいただけたかと思います。
今後も、ガイドラインの改善や、その他職員向けワークショップ等の活動によって、庁内でのデータ利活用を推進し、引き続き行政サービスの品質向上に努めていきます。
「デジタルサービスの開発・運用に係る行動指針」及び「データ利活用ガイドライン」については以下をご参照ください。