子供が数学できてもダメな理由
学校の数学は片手落ち
学校の数学の伝統的に代数や幾何などの純粋数学に偏っており、統計学が不十分で片手落ちだからです。
統計は、データを収集・分析・解釈する学問で、社会や自然の現象を客観的に理解するために重要な役割を果たしています。しかし、日本の学校の数学では、統計の内容が十分に扱われていないという指摘があります12。
その理由としては、以下のようなものが挙げられます。
以上のように、学校の数学は統計がないので片手落ちと言われる理由は、数学教育の歴史や体制、統計学の性質や価値などに関係しています。
このような統計を軽視する日本の数学教育はかなり危険です。
純粋数学と統計学の違い
純粋数学と統計学は、同じ数学なのに全く異なるアプローチをします。
2つの違いを円周率を求める例を元に説明します。
純粋数学で円周率の値を求める
円周の長さと直径の比率を求める方法は、円周率の定義に基づいたものです。円周率は、円周の長さを直径で割ったものと定義されます。したがって、円周の長さと直径がわかれば、その比を計算すれば円周率になります。例えば、直径が10cmの円の場合、円周は約31.4cmとなります。このとき、円周率は31.4÷10=3.14となります。
無限級数や無限積などの数学的な式を使って円周率に収束する値を求める方法は、より高い精度で円周率を計算することができるものです。これらの式は、無限に続く項や因子からなりますが、その和や積が円周率に近づくことが証明されています。例えば、次の式は無限級数であり、その和は4倍したものが円周率に等しくなります。
1 - 1/3 + 1/5 - 1/7 + 1/9 - … = π/4
1 = 0.78539816339… × 4 ≒ 3.14159265358… 1 - 1/3 = 0.66666666666… × 4 ≒ 2.66666666666… 1 - 1/3 + 1/5 = 0.73333333333… × 4 ≒ 2.93333333333… 1 - 1/3 + 1/5 - 1/7 = 0.76190476190… × 4 ≒ 3.04761904761… …
このように項を増やしていくと、その和はだんだんとπ/4に近づきます。しかし、この式では項を増やす速度が遅いため、高い精度で円周率を計算するには非常に多くの項が必要です。実際には、より高速に収束する式が多く発見されており、それらを使ってコンピューターで桁数を増やしていくことで、現在では10兆桁以上まで計算されています。
以上が、純粋数学で円周率の値を計算する方法です。このような方法では、円周率は無限小数であり、その桁数はどんどん増えていきます
このように純粋数学は誰がやっても同じ答えが出るようになっています。
統計学で円周率を値を求める
統計学で円周率を求める方法は、モンテカルロ法と呼ばれる確率的な手法を使うことです。円に接する正方形内にランダムに点を打ち、円の内側にある点の数と全ての点の数の比率を計算します。この比率は、正方形の面積と円の面積の比率に近づきます。正方形の面積は、一辺の長さの2乗で、円の面積は、半径の2乗にπをかけたものです。したがって、この比率に4をかけると、3.14159265…に近づきます。
統計学では、ランダムに点を打ちます。
そのため、ランダムに偏りが生じることで人によって値が異なります。
純粋数学と統計学まとめ
純粋数学と統計学とでは、根本となるアプローチの方法が異なります。
純粋数学では、論理的な演繹法を用いて、既知の公理や定理から新たな命題や定理を導き出します。統計学では、帰納的な推論法を用いて、観測されたデータから一般的な法則や仮説を導き出します。
日本の学校教育では純粋数学にフォーカスを当てられてきていました。
しかし、現在のAIや量子の動きをはじめ統計学を抜きに自然科学、社会システムを語ることができません。私も大学に行き始めて本格的に統計を学んだときは非常に苦労しましたし純粋数学しかできないと正直研究の分野や最先端の分野では使い物になりませんので気をつけましょう。
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