土と風と火と、そして長岡秀星(アース・ウインド・アンド・ファイアーのジャケットデザイン)
Earth, Wind & Fire... besides ”Nagaoka Syusei”
モーリス・ホワイトとフィリップ・ベイリーが中心となって結成されたファンクミュージック・バンド。
1970年代後半にビッグヒットを記録、ファンクやディスコが全盛だった70年代を象徴するバンド。
それが "アース・ウィンド・アンド・ファイアー" !
(略称:”EW&F”)
いや、正直に言うと、リアルタイムで聴いていたわけじゃないんです。
”EW&F” が全盛期の頃は小学生だったし、ディスコブームも、映画「サタデーナイト・フィーバー」のイメージしかないのです。
ただ、ヒット曲「セプテンバー」は、中学生当時聴いていたラジオ ”オールナイトニッポン” で、CMブランクを埋めるためによく流れていたので、すごく耳に残ってたりはします。
そう、あの ♫ ドゥユリメンバ~の出だしの部分....
ただ、それが ”EW&F” の曲っていう認識じゃなかったんですよね。
それぐらいの知識ですから、”EW&F” っていうと、ちょっと怪しい集団にしか認識してませんでした。
見た目の服装とか、なんかスゴかったし、ほんと、中学生にとっては、ちょっと変態チックなイメージだったのです。(すみません💦)
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ところが、ある1冊の本に出会って、印象が変わっていくんですよね。
その本というのが、長岡秀星さんというイラストレーターさんの画集なんです。( ちょっと記憶が曖昧な部分があって、画集のⅠだったかⅡだったのか定かではないのですが、ご了承ください。)
美術の先生が持っていて、見せてくれたんです。
ちょっとセクシーなイラストもあったりしたんですが、なんか、未来的な世界をリアルに描いたような感じで、ファンタジーがあったんですよね。
夢中になって見たのを憶えています。(注:セクシーなイラストにではない。)
長岡秀星さんのイラストは、エアブラシの手法を使ったリアル系の画風なんですが、SFチックなものが多かったんですよね。
このエアブラシの技法にすごく憧れたのです。
下のイラストは、スカイライナーズってグループのレコードジャケットに使われたイラストなんですが、このイラストを完成させてく行程が説明されていたりして、スゲーって感じで心奪われてしまったんですよね。(※少し記憶曖昧)
長岡秀星さんは、海外で活躍してたイラストレーターさんなので、他にもいろんなグループのジャケットデザインを手掛けていて、画集にもたくさん掲載されていました。
その代表的な作品として紹介されていたのが、"アース・ウィンド・アンド・ファイアー" のアルバムジャケットだったので、それで、聴いてみようって感じになったのです。
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この ”EW&F” のアルバムジャケットたちがスゴかったんですよね~。
なんかストーリーを感じさせるのです。
『太陽神(All 'n All)』-1977年-
ちなみに原画になると、こんなに長い..
スケールの大きい絵巻みたいな感じですよね。
アルバムタイトルの原題の ”All 'n All” は、「すべて」みたいな意味になるので、「太陽神」というタイトルは、このジャケットデザインに由来したものなんですよね。
それぐらい、このエジプト神たちの世界観は、未知のエナジーが溢れていて、神々しさを感じたのです。
そして、このアルバムに収録されていたのが
「宇宙のファンタジー」
この頃になると、この変な服も未来的に思えてくるから不思議なんですよね。これが長岡秀星効果だったのですかね。
『黙示録(I Am)』-1979年-
画集の表紙にも使われていたイラストですが、これも壮大なスケールですよね。光の中に赤ん坊と老人が描かれてたりしてるんですが、絵で光を感じさせるのって凄いですよね。
自分の中では、エアブラシって道具を使ったら、こんな表現が出来る!みたいにエアブラシが欲しくて欲しくて....。
そして、このアルバムに収録されていたのが
「ブギー・ワンダーランド」
この怪しさ満点のライブが素晴らしい!
実は大好きな曲です。
ただ、真正のファンクファンからは、なんだ、この軟弱なポップスは!?みたいな感じで酷評されたらしいですが、いやいや、そこが素晴らしいと思うんですよね。
いろいろなものがミックスされているのが ”EW&F” の魅力だと思うんですが.... まあ、何でもありという言い方もできるのかもしれません。
『天空の女神(Raise!)』-1981年-
もう、ファラオっぽくて、メンフィス~って叫びたくなる感じのデザインですが、半身がメカニカルになっています。
実は、このアルバムは音楽的にはエレクトロニカルな面が強くなってきてて、そこがイメージされてると思うんですよね。
そして、収録されていたのが「レッツ・グルーヴ」で、冒頭、マシンヴォイスみたいなのが入っています。
こういうのって、80年代を感じさせますね。
「レッツ・グルーヴ」
このMVは当時も観ていて、これが、自分にとって怪しい集団に映っていた ”EW&F” のイメージだったのです。
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その後も長岡秀星さんは、『迷宮のアンドローラ』という、一風変わった形態のイラスト集を出したりして話題になります。
このイラストストーリーに感激した長嶋茂雄さんがプロデュースして、作詞:松本隆、作曲:筒美京平で制作されたイメージソングが、小泉今日子さんの同名曲です。.... なんかスゴイですよね。
私はというと、その後、リアルなイラストレーションからポップアート的な美術に興味が向いていったので、追いかけることはなかったのですが、 ”EW&F” を聴くと、必ず、長岡秀星さんの絵が思い浮かんだりするんですよね。私の中では、”EW&F”と”長岡秀星”さんは分かち難く一体として刻まれているのです。
(関係note)
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