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スキマスイッチのアソビゴコロ


 昨年、デビュー20周年を迎えたというスキマスイッチ
 ドラマ『おっさんずラブ-リターンズ-』で、再び主題歌を担当してたりして、まだまだ元気ですよね〜

「Lovin’ Song」

 この新曲には、途中、前主題歌の「Revival」のフレーズも挟み込まれたりして、そういう遊び心もスキマスイッチらしい一曲だと思います。


 そもそもグループ名からして、”スキマ”+”スイッチ” だし、「ボクノート」(僕の音)や「回想目盛」など響きが面白いタイトルも多いし、歌詞の方でも韻を踏んだ詞があったりして、コトバ遊びのような感性に魅かれる事多しなのです。

 そんなスキマスイッチの遊び心が発揮された作品として、1曲で完結するのではなく、シリーズ物みたいに「三部作」となってる曲があるんです。
 今回は、そんなスキマスイッチの「三部作」について "note" していこうと思います。


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~8ミリメートル三部作~

 全作詞・作曲・編曲:スキマスイッチ

 まずは、”8ミリメートル三部作” と呼ばれる作品から..
    そう呼ばれるのは、2009年に断続してリリースされたシングルのカップリング曲「Aアングル」と「Bアングル」、そしてアルバム収録曲だった「8ミリメートル」の3曲です。

 「Aアングル」と「Bアングル」は、昔の8ミリフィルムを見つけて、別れた恋人のことを思い出す歌なんです。
 そして「8ミリメートル」は、時間を遡って、その8ミリフィルムを中心にしながら、二人の恋の終りの場面を歌ったものになっています。


「Aアングル」2009.5

 11thシングル「虹のレシピ」c/w

あなたと撮影まわした8mmのメッセージ
未来の2人へと届くはずだった
でも届かなかった

気づけばドアの向こうから わたしを呼ぶ幸せな声
慌ててしまい込むあの時間へ
ありがとう

 スキマスイッチとしては珍しく ”あなた” と ”わたし” が使われているので、この「Aアングル」は女性目線の歌詞だということに気づきます。
 ふと見つけた8ミリフィルムから、昔の恋愛を思い出す流れなのですが、どうやらこの女性にはすでに家庭があるようで、その思い出に ”ありがとう” とつぶやくのです。


「Bアングル」2009.10

 12thシングル「ゴールデンタイムラヴァ―」c/w

君と撮影まわした8mmのメッセージ
未来の2人へと届くはずだった
でも、届かなかった

かすれたラベルをなぞる
君の文字が愛しい
捨てられない 捨てたくない
僕たちだけの世界

胸のポケットに 押し込んだ

 「Aアングル」の方は、一定の年月が経っているように感じるのですが、男性視点の「Bアングル」の方は、まだ、苦味が残ってる時期のようです。
 捨ててしまおうかと悩みながらも捨てられない8ミリフィルム…
 ここら辺に、二人の違いが伺えるんです。


「8ミリメートル」2009.11

 4thアルバム「ナユタとフカシギ」収録

終わっていく3年と8ヶ月
僕たちはお互いを見つけられない
目を閉じれば浮かぶのは君なのに

最初の日 冗談でやってみた
いつからか
逢う度に撮影まわしてた小さな8ミリカメラ

今ではもうフィルムの中に住む二人だけが
楽しく笑っている

 最後の「8ミリメートル」は、二人の恋愛が終わりゆく場面の曲です。
 3年と8ヶ月ですから、それなりの時間を過ごした二人のようですが、心は変わっていくんですよね…
 ただ、フィルムに焼き付けられたその時の笑顔は変わらないという、なんか残酷な状況なのです。
 そんな痛みのある曲なんですが、「8ミリメートル」→「Bアングル」→「Aアングル」と、時間が経つにつれ、その痛みも変わっていくんです。
 
 そんな様子を、曲ごとに視点を変えながら描くなんて、ほんと素敵な作品だと思うんですよね。


 実は、この三部作を基に作られた、ちょっとファンタジーな恋物語があります。
 興味がある方は、こちらの方もどうぞ!

ドラマPV『8ミリメートル』
 監督・脚本:岩田ユキ


 

 さて、深い余韻を残す ”8ミリメートル三部作” なんですが、スキマスイッチの三部作には、もうひとつ、通称 ”ケシゴム三部作” と呼ばれる作品があります。


~ケシゴム三部作~

 全作詞・作曲・編曲: スキマスイッチ

 ”8ミリメートル三部作” では「8ミリフィルム」が重要なアイテムでしたが、"ケシゴム三部作" では中学?高校時代?に借りたままになっている「エンピツ型の消しゴム」が共通して登場します。
 デビューアルバムに収録された「えんぴつケシゴム」に始まり、その後、シングルのカップリングとして、期間を空けながら発表された「青春騎士」と「君曜日」で完結する明るい青春ポップス作品なんです。


「えんぴつケシゴム」2004.6

 1stアルバム『夏雲ノイズ』収録

机の奥から出てきたえんぴつ型の懐かしい消しゴム
君の名前が書かれている

 ふと、出てきた懐かしい消しゴムから、好きだった女の子のことを思い出す曲です。
 どうやら、彼女は転校してしまったようで、住所も分からないんだけど、もう一度会いたい気持ちが沸き起こってくる流れです。

とにかくもう一度会って話をしてみたいと
同窓会の案内状を作るにしても
君の住所さえ僕はわからないけど
いつかのウワサを頼りにしてどうにかして


「青春騎士」2005.6

 6thシングル「雨待ち風」c/w

一年前のあの日 貸してくれたケシゴム
今もまだ持ってるけど 盗むつもりはないんだよ

 「えんぴつケシゴム」の1年後にリリースされた「青春騎士」では、消しゴムを貸してくれた女の子とクラスメイトだった時代に遡って、どれだけその子が気になっていたのか男の子の気持ちが分かる歌です。
 ただ、その後のことは描かれてないので、結局、どうなったのかは次に持ち越しでした。


「君曜日」2006.11

 9thシングル「アカツキの詩」c/w

"いつかのウワサ"たどって君に出逢えた
しばらく会わないうちにキレイになってた
オゥ! ケシゴム一つだけで人は幸せになれる

 そして、「青春騎士」から1年半後、「君曜日」の中でその結末が語られることになります。
 どうやら、あの消しゴムの彼女とは、出会えただけでなく、なんか、すごくハッピーなことになってるような….

 さてさて、どのようなハッピーエンドを迎えたのかは、ぜひ、曲を聴いてお確かめください。


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 スキマスイッチの ”8ミリメートル三部作” と "ケシゴム三部作" を紹介したのですが、こういう趣向はホント楽しいんですよね~
 発表時期は "ケシゴム三部作" が先なんで、ファンの方々の中には、 "ケシゴム三部作" の二人が、その後の ”8ミリメートル三部作” の二人なのでは? と思ってる方もいるようです。
 雰囲気のまったく違った三部作なんで、つながってるかどうかは分かりませんが、そんな風にストーリーが広がっていくのも、また、楽しいのです。



(スキマスイッチ関係note)


(歌の続編関係note)