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今年読んだ新作海外ミステリー(読書回顧2021)
さて、今年の読書の振り返りです。
前回は、国内作家さんたちの新作ミステリーについて振り返ったので、今回は、海外作家さんたちの新作(邦訳)ミステリーについてです。
古典的名作等は一定程度読んできたので、近年は海外作家さんたちの新作も読むようになってきたところです。
できるだけ、初読み作家さんを意識して読むようにしてるのですが、気に入った作品に出会うと ”シリーズ読み” したり、”作家読み” しちゃうんで、なかなか初読み作家さんが増えなかったりするんですよね~。
そんなこんなで、実際は10冊ぐらいしか新作は読めてなかったりして偉そうなことは言えないのですが、とりあえず、紹介させてください!
紹介順は読んだ順を基本にしています。
■ □ ■ 初読みの作家さんたち ■ □ ■
初読みの作家さんって、期待半分不安半分って感じなのですが、邦訳されてる本って、だいたい、海外で一定評価を得た作品なんで、合う合わないはあっても、完全なハズレって少ないんですよね。
今年の初読み作家さんの本は4作だけだったのですが、どれも面白かったです!
「第八の探偵」
著:アレックス・パヴェージ
独自の理論に基づいて、探偵小説黄金時代に一冊の短篇集『ホワイトの殺人事件集』を刊行し、その後、故郷から離れて小島に隠棲する作家グラント・マカリスター。
彼のもとを訪れた編集者ジュリアは短篇集の復刊を持ちかける。ふたりは収録作をひとつひとつ読み返し、議論を交わしていくのだが……
note の中でも「読者モニター募集キャンペーン」が行われたりして話題になった一冊で、私も記事にさせてもらいました。
「台北プライベートアイ」
著: 紀 蔚然(文藝春秋)
劇作家で大学教授でもあった呉誠は、わけあって、台北の裏路地・臥龍街に隠棲し、私立探偵の看板を掲げることに…
呉誠は、やがて台北中を震撼させる六張犂連続殺人事件に巻き込まれ、警察から犯人と疑われる羽目に陥るが、自ら冤罪をはらそうと調査を始める...
近年の私の楽しみのひとつ、華文ミステリーの初読み作家さんです。
タイトルからも分かるとおり、 紀 蔚然は台湾の作家さんです。
一応、帯には "ハードボイルド探偵" と銘打っていますが、全然、ハードボイルドではありません。
主人公の探偵がよくしゃべることしゃべること!、香港映画によく出てくる早口でまくしたてる人物とイメージが近いです。
ただ、予想していたハードボイルド物ではなくとも、中盤ぐらいから、どんどん面白くなっていくので、多少の厚みがあっても、ぐいぐい読めてしまいます。
続編もあるようなので、また、読んでみたいと思った作家さんでした
「見知らぬ人」
著: エリー・グリフィス
これは伝説的作家の短編の見立て殺人なのか?
ヴィクトリア朝時代の作家ホランドの研究をしながら、中学校の教師をしているクレア。
そのクレアの同僚が殺害される事件が起きるが、遺体のそばには"地獄はからだ"という、ホランドの幻想怪奇短編「見知らぬ人」に繰り返し出てくるフレーズのメモが残されていた……
作中作も含まれる作品でしたが、けっこう読みやすかったし、面白かったです。
ただ、帯には、「この犯人は見抜けない!」みたいな惹句が付されてたんですが、確かに見抜けないけど、ちょっとアンフェアなんですよね~。
こういう”煽り”さえなければ、普通に面白いです。
「木曜殺人クラブ」
著: リチャード・オスマン
イギリスの引退者用施設、クーパーズ・チェイス。
その施設の住人の中で、元警官の入居者が持ち込んだ捜査ファイルをもとに、未解決事件の調査を趣味とする、通称〈木曜殺人クラブ〉というグループがあった。
一癖も二癖もあるメンバーばかりの彼らは、施設の経営者の一人が何者かに殺されたのをきっかけに、事件の真相究明に乗り出すことになる...
装丁の雰囲気からも、自分が好きそうな作品だと思って読んだ作品でしたが、やっぱり面白かったです。
この本、元気なご老人たちがメインの登場人物なのですが、ドラマや映画にしたら面白そうだと思うぐらい、キャラが立ってる作品でした。
特に〈木曜殺人クラブ〉のリーダー的な存在の老婦人がいるのですが、この女性がいろんなツテを持っていて、なかなかの切れ者だったりするのが面白いんですよね~。その正体を描いた続編とか出ないかな~って、秘かに期待してるのです。
■ □ ■ 既読の作家さんたち ■ □ ■
既読の作家さんって、前に読んだシリーズの続編だったり、新作だったりするんで、やっぱ、出ると手に取っちゃうんですよね。
読めば読むほど、追いかける作家さんが増えるのが困りものなんですが、早めに手に取ってしまうのは、自分の好みであるってことだと思うのです。
「狩られる者たち」
著: アルネ・ダール
広大な雪原に建つ病院の中で男は目覚めた。
医師から「サム」と呼びかけられた男は、記憶を失いながらも本能にかき立てられる如く、逃走を試みる...
こんな紹介文だけだと、どんな本か、まったくわかりませんよね。
でも、安心してください!、読み始めても、最初はなんなのかよくわかりません!
実は、この本は、昨年、ちょこっと話題になった「時計仕掛けの歪んだ罠」の第2弾です。
最初は不明瞭な状況が続くので、不親切な感じなんですよね。
なので、前作を読んでないと(いや、読んでいたとしてもw)、どんな状況なのか把握するのに苦労する作品です。
本書でおきる事件の解決と並行して、シリーズを通した謎も解明が進んでいくので、かなり混乱させられますが、簡単じゃない作品を好む方にはお薦めなのです。
「ヨルガオ殺人事件」
著: アンソニー・ホロヴィッツ
巨匠クリスティへのオマージュ作品×英国ホテルで起きた殺人事件!
『カササギ殺人事件』の続編にして、至高の犯人当てミステリ!
ハードルを上げて読んでも面白い!、ホロヴィッツのシリーズ第2弾です。つい先日、記事にさせてもらいました。
「スリープウォーカー」
著: ジョセフ・ノックス
十数年前、夢うつつのまま一家を惨殺したと目される男〈夢遊病犯(スリープウォーカー)〉が、癌で余命宣告され病院に収容された。
相棒サティと共に警護を命じられたエイダンだったが、男は何者かの襲撃を受けて眼前で死亡し、サティも重傷を負ってしまう。
なぜ死にかけている男がわざわざ殺されたのか?…エイダンは真相を追う…
今ひとつ、評価されない印象の "マンチェスター市警 エイダン・ウェイツ" シリーズの第3弾にて完結編です。
ジェフリー・ディーヴァーの諸作品の翻訳家:池田真紀子さん自らが翻訳を希望した...みたいな感じで紹介されてたんで読み始めたシリーズなんですが、さすが、池田さん!って感じで面白いのです。
けっこう本格の部分もあるとこが魅力なんですが、あまり話題にならなかったのは、第1弾のタイトルが「堕落刑事」、第2弾が「笑う死体」という、このタイトルが今一だったんじゃないかと思うんですよね。(そこかよ!)
でも、今回は「スリープウォーカー」という、ライムシリーズっぽいタイトルなんで、今度こそいけるんじゃないかと、内心、期待してたりするのです。
「魔の山」
著:ジェフリー・ディーヴァー(文藝春秋)
姿を消した人間を追跡する凄腕の賞金稼ぎコルター・ショウは、ある人物を捕らえた後、その背後に自己啓発カルトがあるとにらんで、単独、潜入しようとするが…。
さて、ジェフリー・ディーヴァーといえば、リンカーン・ライムシリーズが有名なんですが、こちらは、サバイバルの達人で、行方不明者を捜す賞金稼ぎを生業としているコルター・ショウが主人公のシリーズ第2弾です。
リンカーン・ライムが、集められた情報を基に推理していく「静」の探偵なら、このコルター・ショウは、自ら行動し状況を打開していく「動」の探偵といった感じなのです。
さすがディーヴァーという感じで、サクサク読み進められるのですが、中心となるのは「謎のカルト教団」への潜入ものなので、まあ、新しい感じがしないのが難点ですね。
ただ、今年は、3月に「オクトーバーリスト」もリリースされてるので、1年でディーヴァー作品が2冊も読めた幸せな年でした。
「オクトーバーリスト」
著:ジェフリー・ディーヴァー(文春文庫)
ドンデン返しの魔術師が技巧のかぎりを凝らした
前人未踏&驚愕連続の “逆行” ミステリー!
本書は最終章ではじまり、第1章へとさかのぼる。
実は、邦訳まで時間が掛かった作品で、最新本って感じではないのですが、ようやくリリースされて嬉しかったです。
こちらの本も記事にさせてもらいました。
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新作海外ミステリーを読むと、年末の各種ランキングが楽しみだったするんですよね~。
「このミス」はもうちょっとだけ先ですが、一足早く、ミステリマガジン「ミステリが読みたい!2022年版」のランキングが決定されてたりするので、ランキング予想はしないのですが、読んだ本がランキングされるのはやっぱ嬉しいんですよね。
さて、来年はどんな本と出会えるのでしょうか、ほんと楽しみなのです!
(昨年の「今年読んだ海外新作ミステリー」記事)
(「このミステリーがすごい!」関係記事)
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