角川映画主題歌10年の軌跡【後編 : ’84 ~’86】
今年、45周年を迎えた角川映画
その最初の10年の主題歌をまとめていく記事です。
いよいよ後編として、1984年~1986年の主題歌をまとめていきたいと思います。
薬師丸ひろ子さん、原田知世さん、そして渡辺典子さんの、いわゆる ”角川3人娘” が活躍し始めた中期の「角川映画」でしたが、その後、映画自体は観客動員数に翳りが見え始めてきたのがこの時期でした。
そのせいか、35th・40th記念主題歌集には収録されていない主題歌が多くて、もしも、新たな記念盤がリリースされるならば、ぜひこの時期のものを収録してもらいたいのです。
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ちょっと順番を入れ替えて、後編では、”角川3人娘” で唯一歌手デビューしてなかった渡辺典子さんが歌う主題歌を集めています。
そのうち「少年ケニヤ」「晴れ、ときどき殺人(キル・ミー)」「いつか誰かが…」「カムイの剣」のソングライター陣は、作詞:阿木燿子/作曲:宇崎竜童/編曲:萩田光雄という、あの山口百恵さんと同じトリオなんですよね。
多分、3人娘の中では一番歌唱力もあって、今でも、魅力的な歌たちだと思うのですが、渡辺典子さんは配信サービス等では解禁されてないのが残念なとこなのです。
「少年ケニヤ」(1984年3月)
監督:大林宣彦
原作:山川惣治
主題歌『少年ケニヤ』渡辺典子
「幻魔大戦」に続く、角川アニメ第2弾だったのですが、この原作か~と、ちょっと残念に思った作品なんですよね。
でも、主題歌の方は ♪ 口移しにメルヘンください~ のフレーズがたくさんCMで流れていて、個人的には大好きな歌だったのです。
「晴れ、ときどき殺人」(1984年5月)
監督:井筒和幸
原作:赤川次郎
主題歌『晴れ、ときどき殺人(キル・ミー)』渡辺典子
※35th・40th主題歌集収録
同時上映だった「湯殿山麓呪い村」が怖くて映画館では観に行かなかったのですが、内容は、まあ、コメディ要素が強いけど、ずっとすべってるみたいな感じです。あの松任谷正孝さんが重要な役で活躍するのが見所ですかね!
ただ、主題歌は、アレンジの萩田光雄さんの仕事が光る一曲なんですよね~。このイントロだけでも魅かれてしまうのです。
「湯殿山麓呪い村」(1984年5月)
監督:池田敏春
原作:山村正夫
主題歌 ※不明
「いつか誰かが殺される」(1984年10月)
監督:崔洋一
原作:赤川次郎
主題歌『いつか誰かが…』渡辺典子
まあ、内容自体は、あの頃の角川のプログラムピクチャーって感じで、話はよくわからないんですよね。
崔洋一さんが演出してるんですが、あんま、それらしくもないんですよね~。
ただ、この映画でも主題歌は素晴らしい!
阿木/宇崎/萩田のトリオは、ほんといい曲書きます。
「麻雀放浪記」(1984年10月)
監督:和田誠
原作: 阿佐田哲也
挿入曲『東京の花売り娘』岡春夫
「Wの悲劇」(1984年12月)
監督: 澤井信一郎
原作: 夏樹静子
主題歌『Woman "Wの悲劇"より』薬師丸ひろ子
※35th・40th主題歌集収録
今までの薬師丸ひろ子さんのイメージを変えてくれた一本でした!
主題歌も良かったし、映画も面白かったです!
♪ ああ~時の河を~渡る船に、オールはない~ なんて松本隆さんの歌詞は、ここでも抜群のキレを見せてます。
「天国にいちばん近い島」(1984年12月)
監督:大林宣彦
原作:森村桂
主題歌『天国にいちばん近い島』原田知世
「時をかける少女」に続いての大林作品でしたが、原田知世さんと一番相性がいいのは、大林監督のような感じがしますね。
主題歌の方は、「愛情物語」に続き、 "康珍化/林哲司" コンビの曲で、こちらも名曲なのです。
「カムイの剣」(1985年3月)
監督:りんたろう
原作:矢野徹
主題歌『カムイの剣』渡辺典子
角川アニメ第3弾となった作品です。
まあ、前2作のことがあったので、あまり期待はしてなかったのですが、意外と面白かった(失礼💦)のです。
りん・たろう監督のスタイリッシュな戦闘シーンに、その後、今敏、川尻善昭らを世に送り出すマッドハウスの神髄が見えた感じなんです。
主題歌も良かったのですが、竜童組によるサントラも抜群にかっこ良かったんですよね~、できれば、これも主題歌集に入れて欲しい曲なのです。
『カムイ伝説』竜童組
「ボビーに首ったけ」(1985年3月)
監督:平田敏夫
原作:片岡義男
主題歌『ボビーにROCK'N ROLL』野村宏伸
これも話題になった、青春バイクアニメなんですが、主題歌を野村宏伸さんが歌っていたのはしりませんでした。
「友よ、静かに瞑れ」(1985年6月)
監督:崔洋一
原作:北方謙三
主題曲『友よ、静かに瞑れ』梅林茂
いや~、「化石の荒野」のとこでも書いたのですが、角川映画で時々作られるハードボイルドものが、けっこう好きなんですよね~。
この映画なんか藤竜也さんが、渋すぎて!
ここでは、崔洋一監督の独特の間がいかされてる感じなんですよね〜。
無言だけど語り合ってる感じがして、なかなかハードボイルドしてるのです。
「結婚案内ミステリー」(1985年6月)
監督: 松永好訓
原作: 赤川次郎
主題歌『野ばらのレクイエム』渡辺典子
※40th主題歌集収録
渡辺典子さんの映画って、なんか作品に恵まれてないような気がするんですが、これも、内容は、まあ... みたいな感じです。はい。
でも、なぜか渡辺謙さんが出てます!
主題歌は、作詞:三浦徳子/作曲:財津和夫の初期の聖子ちゃんコンビで、ちょっとキラキラした感じなのです。
「早春物語」(1985年9月)
監督:澤井信一郎
原作:赤川次郎
主題歌『早春物語』原田知世
原田知世さんが持つ無垢で清純なイメージの路線から脱しようとした感じなのかな、当時は、そこに、あまり魅かれなかったのですが、オジサンになった今なら印象が変わるかもしれませんw
主題歌も、ちょっとウェットな感じがして、今までとは、違った印象だったのです。
「二代目はクリスチャン」(1985年9月)
監督:井筒和幸
原作:つかこうへい
主題歌『二代目はクリスチャンのテーマ』BIRDS
※40th主題歌集収録
井筒和幸監督のパワフルさが発揮された「二代目はクリスチャン」はけっこう好きな映画でしたが、この主題歌にはビックリでした。
歌ってるBIRDSというのは、角川事務所所属の原田知世さん、渡辺典子さん、原田貴和子さん、野村宏伸さんで構成したグループで(その企画がどうなんって、感じです。)、どのパートを誰が歌っているのか想像して聴くと楽しめます。
「彼のオートバイ、彼女の島」(1986年4月)
監督:大林宣彦
原作:片岡義男
主題歌『彼のオートバイ、彼女の島』原田貴和子
あの頃のバイク好きにとって、片岡義雄のバイク小説は青春だったりするのです。(小説みたいな出会いはないんですけどね..)
主題歌「彼のオートバイ、彼女の島」は原田貴和子さんが歌ってたんですね~、ちょっと失念していました。
実は原田貴和子さんは角川第4の娘だったのですが、いろいろあってすぐ事務所を変わっちゃうんですよね。この頃、他の3人娘の方々も相次いで事務所を変わっちゃうので、なんか寂しい思いもあったのです。
「キャバレー」(1986年4月)
監督: 角川春樹
原作: 栗本薫
主題歌『レフト・アローン』マリーン
そして、最後は、角川映画10周年記念映画「キャバレー」の主題歌、マリーンの歌う『レフト・アローン』でトリになります。
この映画、雰囲気はいい感じなんですよ~、雰囲気は、、、角川3人娘もちょこっと顔出してたりして楽しい部分もあるんですが...
でも、まあ、この主題歌が、心に残るものだったのは間違いないのです。
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角川映画の創成期10年の映画主題歌をまとめていく記事なんですが、あらためて、10代の自分に大きな影響を与えているな〜って思います。
大作路線時代、角川3人娘によるプログラムピクチャー路線時代の全盛期、そして、3人娘の独立…
と、この激動の10年が、自分にとっては、やっぱり、ザ・角川映画なんですよね。
一応、今回の記事を基に、私の趣向に沿った架空の「記念主題歌集」を作ると、次の収録作品になります❗
角川春樹さんの単独プロデュース作品を含み、テーマ曲等も収録したディスク3枚組の豪華エディションですが、どうでしょう😀(太字は新たな収録曲です。)
【角川映画主題歌集:ディケイドエディション(仮)】
サブスクでは配信されていない曲が多くて、プレイリストにできないのが残念なのですが、それだけに、いろんな権利の壁を越えて、この架空の記念盤が実現しないかな〜と、本気で期待しているのです!
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