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この監督の映画に無くてはならない音楽
ちょっとマニアックなサントラ関係の記事です。
映画監督と作曲家のコンビと言えば、宮崎駿&久石譲や、スティーブン・スピルバーグ&ジョン・ウィリアムズなんかが、すぐに思い浮かびます。 そんな名コンビによる音楽は、映画の場面とともに耳に残るものが多く、以前、記事にさせてもらったところです。
ただ、耳に残るようなフレーズではないのに、やっぱり、この映画にはこの音楽じゃないと! と、思っちゃうコンビもいるんです。
たとえば、この夏、私のブームだったリュック・ベッソン監督の映画
もちろん、ベッソン映画といえば、音楽は ”エリック・セラ” です。
ただ、どうでしょう、セラのサントラがどんな音楽だったかって、あんま、憶えてなかったりしませんか?
でも、ひとたび、ベッソン監督の映画を観始めれば、その映画には、やはり ”エリック・セラ” の音楽でないと!って思っちゃうんです。
そういう意味では、リュック・ベッソン/エリック・セラは、コンビよりも、さらに一体的な関係のかもしれません。
今回は、そんな、エリック・セラをはじめ、ある映画監督と一体的な関係の3人の作曲家について ”note” していきたいと思います。
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リュック・ベッソンの映画に欠かせない作曲家
エリック・セラ
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エリック・セラはパリ出身の作曲家
リュック・ベッソン監督のデビュー作から、そのほとんどの作品で音楽を担当してきたエリック・セラは、コンビというより、もはや制作上のパートナーと呼んでもいい関係なんです。
ベッソン映画、またはその関係映画を除くと、その他で関係した映画は数えるほどしかないのです。
何曲かピックアップして紹介していきます。
「Overture」
やはり、この『グランブルー』の前奏曲は素晴らしすぎます。
曲が流れ始めると、もう、心は海に飛んでいくのです。
「Hey Little Angel」
『レオン』では、ビョークやスティングの挿入歌も話題になりましたが、実は、セラも歌ってたりするんです。
映画の最初の方で流れてたと思います。
「The Diva Dance」
私にとって、『フィフス・エレメント』で、もっとも印象的なシーンが、このオペラの場面だったことは間違いないのです。
映像といい、歌声といい、ブルース・ウィリスと同じぐらい心を奪われました。
さて、エリック・セラのお薦め盤を考えると、どうしても、この『グランブルー』のサントラ盤を選んじゃいますね。
『Le Grand Bleu』
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このサントラは聴きすぎて、もっと別のを…
と、いう方がいれば、1991年制作のドキュメンタリー映画『アトランティス』のサントラ盤をお試しください。
映画の方は、ナレーション等はなく、映像とセラの音楽のみで構成されてたりするんで、ほんとに二人の作品みたいな映画なのです。
『Atlantis』
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デヴィッド・リンチの映画に欠かせない作曲家
アンジェロ・バダラメンティ
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アンジェロ・バダラメンティはアメリカの作曲家
さて、2人目は、これまた私の大好きな映画監督、デヴィッド・リンチの作品に欠かせない作曲家アンジェロ・バダラメンティです。
リンチ映画では、1986年の『ブルーベルベット』以降、2001年の『マルホランド・ドライブ』まで、全ての作品で音楽を担当しています。
要するに、あのデヴィッド・リンチが、その作家性を思う存分発揮していた時代を支えていたのがアンジェロ・バダラメンティなのです。
あのリンチ映画の奇妙な世界に、バダラメンティの音楽は欠かせないんですよね。
このコンビ、なんといっても『ツイン・ピークス』なんですよね。
「Twin Peaks Theme」
「Dance of the Dream Man」
穏やかなようでいて、この不穏さ…
多くの謎に満ち溢れてる感がすごいんです。
この雰囲気は『ツイン・ピークス』だけじゃなく、他の映画でも、同様なんです。なんか息苦しくなるときがあったりして、そこに、ぐっと引き込まれちゃうんです。
「Blue Velvet : Main title」
「Wild at Heart : Im Abendrot (Excerpt)」
適度に劇的でありながら、どこか不安を煽る感じ…
リンチファンにはたまらないイントロなのです。
まあ、アンジェロ・バダラメンティで一枚お薦めするなら、やっぱり『Twin Peaks』のサントラ盤ですね。
上で紹介した2曲に加えて「Laura Palmer's Theme」も名曲だし、ジュリー・クルーズのボーカル曲「Falling」や「Into the Night」も収録されていて、なんともいえない ”浮遊感” が最高の一枚なのです。
『Twin Peaks』
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ただ、どんな気分の時に聴けばいいのかは不明なんですが(オイッ)、やっぱり、このサントラ盤は傑作です。
また、デヴィッド・リンチ作品ばかりではないんですが、バダラメンティの映画やドラマ関係の作品を集めたコンピ盤があります。
すでに『Twin Peaks』を聴きまくってた人なんかは、ぜひ、こちらもどうぞなのです。
『Music for Film and Television』
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ピーター・グリーナウェイの映画に欠かせない作曲家
マイケル・ナイマン
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マイケル・ナイマンはイギリスの作曲家
さて、最後に紹介するのはマイケル・ナイマン
今回、紹介する3人の中では、もっとも精力的にいろんな映画に関わっています。
マイケル・ナイマンと言えば、今年、”ルイ・ヴィトン” のCMにも使われていた、映画『ピアノ・レッスン』の「楽しみを希う心 」が、やはり有名です。
この『ピアノ・レッスン』や『髪結いの亭主』など、心にしのび込むような、90年代のナイマンもいいのですが、私にとっては、実験的で前衛的な音楽家のイメージだった80年代のナイマンが印象的なのです。
もともと、同じフレーズを繰り返すミニマル・ミュージックの作曲家として知られていたマイケル・ナイマンが、80年代にコンビを組んだのが、同じく前衛的な作風の映画監督ピーター・グリーナウェイでした。
グリーナウェイとは、第1長編だった1982年の『英国式庭園殺人事件』や『ZOO』、『数に溺れて』、『コックと泥棒、その妻と愛人』など、80年代の作品を中心にコンビを組んでいました。
(いくつかピックアップしましたが、『ZOO』の映像は”生々しい”ので、苦手な方は留意ください。)
「Chasing Sheep is Best Left to Shepherds」(~『英国式庭園殺人事件』)
「Lady in the Red Hat」(~『ZOO』)
「Memorial」(~『コックと泥棒、その妻と愛人』)
なかなか、クセの強い感じじゃないですか?…
でも、なんか、ハマってくるんです。
『ZOO』のテーマは「料理の鉄人」でも使われてたので、聞き覚えのある方がいるかもしれませんが、それでも、なんとも言えない感じじゃないかと思います。
ただ、ピーター・グリーナウェイ監督の映画の方も、かなり、よく分からない内容なんで、クセつよの映像にクセつよの音楽が合わさって、ほんとにクセの強い作品に仕上がってるんですよね。
ですから、二人のアーティストがコラボした作品みたいなもんなのです。
一枚、お薦めするなら、なんと、このグリーナウェイ作品のサントラからセレクトしたコンピ盤があるので、ぜひ、こちらを✋
『ピアノ・レッスン』とは違ったナイマンが感じられると思います。
『Peter Greenaway Film Music』
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3人の作曲家の方を紹介しましたが、やっぱ、作品世界に大きく影響を与えていて、切っても切れない関係だし、監督のこだわりが強いからこその関係だと思うのです。
自分が好きな映画に寄ってしまうのは仕方がないんですが、他にもそういうペアに出会えるといいなって思うのです。
(リュック・ベッソン関係note)
(デヴィッド・リンチ関係note)
(ピーター・グリーナウェイ関係note)
(サントラ関係note)
耳に残りまくる映画音楽の世界(青春時代編)
耳に残りまくる映画音楽の世界(ジョン・ウィリアムズ編)
耳に残りまくる映画音楽の世界(少年時代編)
耳に残りまくる映画音楽の世界(国内編)
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