「マンガ原作アニメ」今昔
悲しいけど、自分の趣味に使える時間というのは有限なんですよね。
私の場合、読書、映画、音楽、そして note と、やりたいことはたくさんあるのです。
昨年は、読書と note に使う時間が多かった私なのですが、
今年は アニメ にけっこうな時間を使っています!
まあ、アニメ とは細々と付き合っていたのですが、ちょっと離れてたんですよね。
観てるのは、話題になった映画作品、例えばエヴァやジブリ、新海誠作品や細田守作品ぐらいで、TV作品の方はほとんど観てないんです。
そんなですから、今の地上波アニメを観て、そのクオリティにあらためてスゴさを感じてる今日この頃なのです。
その中でも、いわゆる ”マンガを原作としたアニメ” については随分と印象が変わったので、今回はそのことを "note" していこうと思います。
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正直、”マンガ原作アニメ" には期待して来なかったんです。
TVアニメの需要が増えた80年代にあって、マンガを原作としたアニメが数多く制作されてました。
当時のアニメは、セル画を一枚一枚手書きしていた時代でしたから、やはり、作画の限界はあったんです。
80年代アニメの金字塔と呼ばれた、映画「AKIRA」なんかでも、作者自身が監督をしてるとはいえ、ネオ東京の崩壊シーンは、原作マンガの描き込みの迫力には及ばないって印象だったんです。
映画でさえそうなのですから、緻密に描き込まれたマンガ作品を原作にした場合、TV版だと作画の質の面で満足できないことが多かったんですよね。
ただ、久しぶりに観るTVアニメ群は、なかなか凄かったです。
デジタル化初期にあった妙なペラペラ感も無くなり、作画部分とCG部分の違和感も解消して、バトルシーンのエフェクトなんか見ると、マンガの迫力を超えるものも感じました。
◎原作を超えるバトルシーン!
自分をTVアニメに引き戻したのは、実は「鬼滅の刃」です。
当時、話題になってたので、興味を覚えて観てみたのですが、戦いの場面での動きや描き込みにビックリしました。
主人公たちが使う技のエフェクト、特に浮世絵風の波が出現する「水の呼吸」なんて、凄すぎる!
初めて見た時は、作画によるものなのか、特殊なCGなのか区別がつかなくて、ホント、驚きました。
また、原作で描かれてる場面(1コマ)と場面(1コマ)を、つなぐように動きを加えたシーンもあって、原作マンガを超える迫力を感じたのです。
80年代では不可能だった表現が、今では実現してるんですよね。
その他「呪術廻戦」や「チェーンソーマン」など、バトル系の作品は、もう原作以上の表現になってる気がします。
◎原作では表現できない歌やダンス
今年話題となった「推しの子」は、アニメから入って原作を読みました。原作の方も凄く面白いのですが、アニメも負けず、しかもアニメならではのクオリティを持っていました。
アイドル業界が舞台となっているので『B小町』というアイドルグループが登場します。
当然、物語中では『B小町』の歌やダンスシーンがあるのですが、アニメでは、この部分にも手を抜かず、本物のアイドルグループのように作曲・振り付けがされてるんです。
マンガではできない部分なんですが、そこもこだわって作られてることに驚きますよね~
ライブシーンの作画もなかなか凄かったです。
◎原作イメージを邪魔しない声キャスト
80年代は、プロの声優さんの層が厚かったわけじゃないんですよね。
なので、売れっ子さんの声優さんは、よく耳にしてたんです。
そのせいか、マンガ原作アニメだと、声に違和感を感じることも多かったんです。
まあ、それなりには慣れていくんですが、やっぱ、当初の違和感があると、今ひとつ乗り切れなかったりしたんです。
それが、最近のアニメだと、声の違和感を感じないんですよね。
それだけ声優さんの層が厚くなったってことなんでしょうが、同時にプロスキルも上がってると思うんです。
現在、放映されている「葬送のフリーレン」の主人公フリーレンと、「SPY×FAMILY Season 2」の少女アーニャって、どちらも種﨑敦美さんていう声優さんが演じてるんですが、年齢も性格も異なるキャラを、それぞれイメージ通りに演じられたりしてるんです。
凄いですよね~、ホント、このあたり、業界としての成熟も感じさせますね。
◎原作の持つ空気感を再現!
最近の ”マンガ原作アニメ" に感じるのは、スタッフさんたちの原作へのリスペクトです。
昔のような、話数調整のための "水増し" や "省略" は感じさせないし、トラブルになるような "改変" も、あんまり無い感じなんですよね。
むしろ、原作の持つ空気感を損なわないように、また、それ以上に伝わるように表現されてるように思います。
NETFLIX で、この秋、配信された「PLUTO」も凄かったです。
手塚治虫大先生の「鉄腕アトム」のエピソードを、浦沢直樹さんがリメイクしたマンガを、虫プロダクションにルーツを持つ、丸山正雄さん(MAPPA会長/スタジオM2代表者)が関わってアニメ化された作品です。
ただでさえ完成度の高い浦沢作品なんですが、その空気感を損なうことなく、ロボットの悲しみや苦悩が映像化されています。
最初の方のエピソードに、”ノース2号” という戦闘ロボットと老ピアニストとの交流を描いたものがあるのですが、原作では伝わりづらいピアノのメロディやフレーズが、しっかりと表現されていて、もしかすると原作以上に泣けたかもしれません。
というか、原作よりも分かりやすくなってるかも…
重厚な作品ですが、かなり泣ける作品でした。
NETFLIX なんでTVアニメとは言えないかもですが、”マンガ原作アニメ" としては、かなりの完成度だったことは間違いないのです。
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現代では、かなりたくさんのアニメが制作されてるようで、網羅することはほぼ不可能な感じです。
そんな状況なんで、個人的には「オリジナルアニメ」を作る作家さん達を大事にしたいと思っているのですが、”マンガ原作アニメ" もなかなかだなぁと感じています。
昨年末から大ヒットした「THE FIRST SLAM DUNK」では、CGを使って井上雄彦さんのカラー原稿が動いてるような表現となっていたり、マンガ以上に、1プレイのスピード感や、バスケならではの時間間隔、コートの空間性(ポジショニング)が表現されていて、臨場感の面では、確実に原作を超えた作品になってたと思うんです。
今後は、そんな原作を超えるアニメ作品が増えていく予感もするし、ぜひ、そうであって欲しいと思うのです。
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