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松田聖子のデビュー期を支えた小田裕一郎の功績

 O=D=A Yuichiro


 小田裕一郎さんというアーティストの方をご存知でしょうか?

 1984年頃から自身のアーティスト活動を始めて、その後、拠点をアメリカに移して活動、2018年9月に心筋梗塞でお亡くなりになっているアーティストの方です。

 モータースポーツが好きだった方には『GAME IS OVER』なんかが懐かしいかもしれません。


 この方、ソロ活動を始める以前は、いろんなアーティストに曲を提供していたソングライターだったんです。

 今回は、この小田裕一郎さんが手掛けた曲で、その功績を振り返ってみたいと思います。


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 小田裕一郎さんが、一躍、脚光を浴びたのは1979年、コーラスグループ:サーカスの『アメリカン・フィーリング

アメリカン・フィーリング
 作詞:竜真知子/作曲:小田裕一郎/編曲:坂本龍一

 サーカスの大ヒット曲『Mr.サマータイム』と同様、外国曲のカバーと思っていましたが、実は、小田裕一郎さんの曲なんですよね。
 う~ん、爽やか!


◎松田聖子さんのデビュー年を担当 

 そして、80年代に入ると、あの松田聖子さんの楽曲を手掛けていくわけなのです。

『裸足の季節』1980.4
作詞:三浦徳子/作曲:小田裕一郎/編曲:信田かずお


『青い珊瑚礁』1980.7
作詞:三浦徳子/作曲:小田裕一郎/編曲:大村雅朗


『風は秋色』1980.10
作詞:三浦徳子/作曲:小田裕一郎/編曲:信田かずお


 松田聖子さんといえば、ニューミュージック系のビッグアーティストたちが楽曲を手掛けていることで有名なんですが、それは、作詞で松本隆さんが参加し始めてからのことで、デビュー年である1980年は、シングル『裸足の季節』、『青い珊瑚礁』、『風は秋色』はもちろん、1stアルバム「SQUALL」と2ndアルバム「North Wind」の楽曲のほとんどが、小田裕一郎さんの曲なんです。

 ちなみに1981年になってリリースされたシングルは『チェリーブラッサム』、『夏の扉』、『白いパラソル』が財津和夫さん、そして、大滝詠一さんの『風立ちぬ』を挟んで、1982年からは松任谷由実(呉田軽穂名義)さんの『赤いスイートピー』や『渚のバルコニー』、『小麦色のマーメイド』と、ある程度、起用ソングライターを固定しながらも、定期的にイメージを変えていっていたのが初期の聖子さんの特色なんですよね。

 確かに2年目以降の楽曲は名曲過ぎて、ほんと素晴らしいのですが、1年目に小田裕一郎さんが手掛けた楽曲たちも魅力的なんですよね。
 弾ける感じだったり、可愛い少女のイメージだったり、デビュー年にしかないこのキラキラ感が、松田聖子さんを一気にスターダムに乗せていったのは間違いないのです。

 

◎他にも名曲がいっぱい

 松田聖子さんとの1980年の以降も、たくさんのヒット曲を残してくれています。


田原俊彦『恋=Do!』1981.1
作詞:小林和子/作曲:小田裕一郎/編曲: 大谷和夫

 海外アーティストのカバー曲だった『哀愁でいと』、ビッグバンド風のポップス『ハッとして!Good』に続いてリリースされたのが小田裕一郎さん作のこの曲でした。
 今、聴いても、なかなかキャッチ―でいい曲なのです。


桜田淳子『ミスティー』1981.6
作詞:小林和子/作曲:小田裕一郎/編曲: 大村雅朗

 アイドルから脱皮を図っていたと思われる桜田淳子さんのこの『ミスティー』も、小田裕一郎さん作だったのですが、あまりにも淳子さんの衣装が衝撃的過ぎて、歌が入ってこないのが残念でしたw
 ちなみに、この衣装の元ネタはオリビア・ニュートン・ジョンらしいです。


石川秀美『ゆ・れ・て湘南』1982.7
作詞:松本隆/作曲:小田裕一郎/編曲: 馬飼野康二

 石川秀美さんの曲といえば、自分はこれなんですよね。
 やっぱりキラキラしてる感じだと思います!


 そして、個人的に忘れ難い印象の曲が2曲!


 ひとつが、映画「汚れた英雄」の主題歌

ローズマリー・バトラー『汚れた英雄~Riding high』1982.12
作詞:トニー・アレン/作曲:小田裕一郎/編曲: ピーター・バーンスタイン

 当時は洋楽だと信じてました。
 でも、小田裕一郎さんの曲なんですよね~。
 こういう乾いた感じって、西海岸ロックを思い出させます。

 

 そしてもうひとつがアニメ「キャッツアイ」の主題歌です。

杏里『CAT'S EYE』1983.8
作詞:三浦徳子/作曲:小田裕一郎/編曲:大谷和夫

 この曲も小田裕一郎さんなんですよね~。
 クールなシティポップナンバーで、アニメのために作られたアニソンでありながらも、それまでのアニソンイメージを変えるほど印象的な曲です。
 ちなみにエンディングのエクササイズっぽい曲も小田さんの曲でした。


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 小田裕一郎さんが、ソングライターとして活躍していたのは、ソロ活動を始めるまでの '79~'83 あたりの5年余りの期間なんですよね。
 その期間の中で、松田聖子さんのデビュー時をはじめ、これだけのヒット曲を生み出していったのは、なかなか凄い事なんですよね。

 ソングライターとしての活動期間が短いし、後年、アメリカに拠点を移すなどしてるため、小田裕一郎さんの名前を憶えている人は少ないかもしれませんが、80年代の初期に、印象的なヒットメイカーがいたことを記憶に残してもらえればと思います。