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"泣ける"注意報
Cry Warning
実は苦手なもののひとつに「泣ける話」があります。
弱いんです、そういうの。
すぐ、泣いてしまうんです。
なので、ドラマや映画も、号泣しそうなやつは、あえて見ないように気をつけています。
どうしても読みたい本なんかがあるときは、体調を整えてから読むようにしています。
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自分にとって、"泣ける" 本というと、すぐに思い出すのは重松清さん。
そして、"泣ける" 代表作といえば、やっぱり『その日のまえに』だと思います。
僕たちは「その日」に向かって生きてきた――。昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか…。死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれのなかにある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。
あらすじ読んだだけでも泣けそうですよね。
当然、自分も警戒しながら読んだのですが、前半、チョイ泣き、後半は号泣でした。
自分は悲しさには強いのですが、悲しさを乗り越えていこうとする姿に弱いのです。
『その日のまえに』は、私が泣けた本の第1位だと思います。
その他だと、辻村深月さんの『ツナグ』も泣けました。
一度だけ、逝った人との再会を叶えてくれるとしたら、何を伝えますか――。死者と生者の邂逅がもたらす奇跡。心に染み入る感動の連作長編小説。
これも、悲しみを乗り越えていく物語でした。
最終話はかなり号泣してしまいました。
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さて、上記の作品みたいなやつは、自分の中の "泣ける" 注意報がしっかり鳴らされるので、時と場所を考えて読書できるのですが、時々、突然、注意報が発せられるタイプの本もあって、電車の中とかだと、とても困ります。
みなさんにも気を付けていただけるよう、いくつか紹介したいと思います。
まず、島田荘司さんの『最後のディナー』
名探偵御手洗潔シリーズの短編集なので、普通に読んでいたのですが、最後に収録されていた表題作に、ちょっとやられてしまいました。
奇跡を起こすのが名探偵の推理なので、皆さん、ご注意ください。
次にホラーの帝王、スティーヴン・キングの『11/22/63』
タイムトラベルものなんですが、ラストが切なく、そして美し過ぎて、これだけ重厚なドラマを体験させられた故の感動でした。
まさかキングで、と、思ったのですが、この後もキングにはちょいちょい泣かされています。皆さんご注意ですよ。
最後に、侮ってはいけない伊坂幸太郎さん。
けっこう泣かされる作家さんです。
『死神の精度』も最後の老女の話には泣かされたし、あの『ゴールデンスランバー』でも、終盤の “痴漢は死ね” で号泣してしまいましたね。
でも、私が "泣ける" 注意報を発したい伊坂作品は『バイバイ、ブラックバード』です。
星野一彦の最後の願いは何者かに〈あのバス〉で連れていかれる前に、五人の恋人たちに別れを告げること。
そんな彼の見張り役は「常識」「愛想」「悩み」「色気」「上品」
これらの単語を黒く塗り潰したマイ辞書を持つ粗暴な大女、繭美。
なんとも不思議な数週間を描く、おかしみに彩られた「グッド・バイ」ストーリー。
何だかわからないけれど「あのバス」で連れていかれることなった主人公が、5人の恋人たちに別れを告げていく連作なんですが、まさか、この作品で泣かされるとは思ってもみなかったです。
5人の恋人たちとのエピソードが順番に語られていくのですが、途中の「女優」の話には十分注意をしてください。
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近年は ”涙活” なんて言葉もあって、泣くことは悪いことではないんだと思いますし、この歳になると号泣する機会は年に1回もないので、時々は ”泣ける” 本もいいと思います。
でも、通勤中とか、カフェとか、公共の場で読書してる方は、くれぐれもピークの合わせ方に注意することが大切なのです!
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