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伊坂さんのお薦め本を読んでみた!


 自分にとって、すでに、その著作の大部分を読んでしまっている伊坂幸太郎さん。
 大好きな作家さんなんですが常に新刊待ちなんです。

 今年、2022年の新作は4月にリリースされた『マイクロスパイ・アンサンブル』のみ…

 伊坂さんらしい、面白い本だったのですが、ページ数にすると200頁弱なんで、長編好きの自分としては、少し物足りなかったんです。
 なので、そろそろ伊坂さん不足になってたりしたんです。
 映画化された『マリアビートル』あたりを再読しようかとも思ったんですが、下の記事を読んで、伊坂さんの推薦してる本が気になったので読んでみることにしたのです。


 伊坂さんが推薦してると、やっぱ読みたくなっちゃうんですよね…

 もちろん、森絵都さんの小説も初めてというわけでなく、『カラフル』や『DIVE!!』など、ジュブナイル作品は読んでたりするんです。


 でも、直木賞受賞作の『風に舞いあがるビニールシート』や、本屋大賞にノミネートされていた『永遠の出口』、『みかづき』といった作品については、興味が有りつつも読めてないままなんです。

 森絵都さんは、自分と同い年で、いつも意識している作家さんの一人なんですが、自分好みの ”空想” や、物語の ”外連味” みたいなものは希薄な印象もあって、つい積読の後回しにしちゃってたんです。
 でも、先ほどの伊坂幸太郎さんの推薦文を読んで、この『カザアナ』に、すごく興味を引かれちゃったんですよね。


 本の内容紹介には、次のような一文があります。

異能の庭師たちとタフに生きる家族が監視社会化の進む閉塞した時代に風穴を空ける心弾むエンターテインメント

 ん、異能の庭師?
 ん、監視社会?

 なんだか、私の持っている森絵都さんのイメージとは、ちょっと違った感じだったんですよね!

 読んでみると、すぐ引き込まれちゃいました。

 魅力のひとつは、物語の舞台が、東京五輪から約20年後という至近未来の日本だということ。
 この本での未来の日本は、観光産業に国の命運を託していて、「古き良き日本」のイメージを世界にアピールしてる設定なんです。
 そのため、そのイメージにそぐわない異分子を排斥するような管理社会になってるわけなのです。

 こういうディストピアチックな設定は大好きなんですよね。
 『一九八四年』や『華氏451度』などの古典SF作品は言うに及ばず、国内作家さんでも、池上永一さんの『シャングリ・ラ』や、有川浩さん『図書館戦争』、伊藤計劃さんの『ハーモニー』、山田宗樹さんの『百年法』などなど、近未来の管理社会を背景にしたエンタメ作品は、けっこう好んで読むジャンルなんです。
 伊坂さん自身も、『モダンタイムス』や『ゴールデンスランバー』他、こういう至近未来の管理社会を舞台にした本がけっこうありますよね。
 そのテイストが、この『カザアナ』からも感じられたんですよね。

 まさか、森絵都さんが、こんなディストピアチックな世界の物語を描いてたなんて思いもよらずッ!
 そのイメージのギャップも含めて楽しませてもらいました!
 もちろん、管理社会と言ってもファンタジーに寄った部分もあって、印象はソフトな感じなんですが、森絵都さんの ”空想” 溢れる本作を紹介してくれた伊坂幸太郎さんにも感謝なのでした。


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 伊坂さんの本を読んだわけではありませんが、おかげで、深刻な伊坂幸太郎不足は解消されたわけなんです。
 ただ、伊坂さんの推薦する本を読むのは初めてではないんですよね~
 これまで、伊坂幸太郎さんの推薦文を見て、私が読んだ本を何冊か挙げてみると


島田荘司
さんの『アルカトラズ幻想

 一九三九年十一月二日、ワシントンDCの森で、猟奇的な娼婦の死体が発見された。時をおかず第二の事件も発生。
 凄惨な猟奇殺人に世間も騒然となる中、意外な男が逮捕され、サンフランシスコ沖に浮かぶ孤島の刑務所、アルカトラズに収監される。
 やがて心ならずも脱獄した男は、奇妙な地下世界に迷い込む―。


打海文三さんの『ぼくの愛したゴウスト

 臆病で生真面目だけど、十一歳のごく普通の少年・田之上翔太。
 生まれてはじめて、ひとりで行った人気ロックバンドのコンサートの帰り、翔太は駅で人身事故発生の瞬間に居あわせてしまう。それを境に彼は、この世界に微かな違和感を抱きはじめるのだが―。


連城三紀彦さんの『暗色コメディ

 もう一人の自分を目撃したという人妻。"消失狂"の画家。「あんたは一週間前に事故で死んだ」と妻に言われる葬儀屋。妻が別人にすり替わっていると訴える外科医。
 四人を襲う四つの狂気の迷宮の先には、ある精神病院の存在があった…。


 どの本も面白かったんですよね~、ほんと。

 島田荘司さんといえば、探偵:御手洗潔シリーズは読破しているものの、ノンシリーズはあまり読んでなかったんし、また、打海文三さんや連城三紀彦さんなんかは、名前は知っていても、あまり馴染みのない作家さんだったので、読むきっかけをもらったことは、ほんと感謝なのです!

 伊坂幸太郎さんって、自分にとっては、かなり打率の高い本の推薦者だと思っているのですが、共通してるのは、どの本も、その作家さんの ”空想力” 溢れる作品(または ”奇想” と呼んでも良いかもしれません。)であるという事なんですよね。
 多分、自分にとってもそこが重要で、だから伊坂作品も好きだし、推薦本も面白く読めるのだと思っているのです。




(関係note)

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