遺伝子検査の説明を受ける ~とあるOLの乳がん日記㊹
44.
看護師さんは、いろんなことをいっぺんに言われて混乱している私に、ひとつずつ順序立てて、丁寧に説明してくれた。
でも、どうしても「再発」という言葉の衝撃が大きくて、私は、もう全部こわいことは終わったから、何も心配しなくていいんだと思っていたので、そうじゃないことがわかって、心の底から恐ろしくなった。
だから看護師さんに、確認させてほしいんですが、と前置きをしてから、私のガンは、もう手術でとったから、本当だったらもう大丈夫なのだけれど、調べてみたら、顔つきのよくないガンで、ガンは目に見えないくらい小さい細胞だから、これがどこかに紛れ込んで、また悪さをするかもしれないから、抗がん剤をすることで、どこに行ったかもわからないガン細胞をやっつけたほうがいいかもしれない、ということですか?と聞いたら、看護師さんが、そのとおりです、と言った。
あくまで万が一のことを考えての選択肢だから、やらなくてもいいけれど、やったほうが無難だということで、私はガンがわかってから、自分は早期発見で、ステージ1で、リンパ節に転移もしていなくて、なんてラッキーなガン患者なんだろうと、それを心の拠り所にしていたけれど、もうステージ1だろうが、リンパ節に転移していなかろうが、もう何も、そんなことはまったく関係なくて、急に、告知当初に感じた、次に再発したら死ぬかもしれないという怖さが、襲ってきた。
辛抱強く看護師さんは、私を励ましながら、ひとまず目の前の次にしなくてはいけないことを教えてくれて、まずは抗がん剤の話を聞くことになった。
抗がん剤は内科の管轄で、また別の先生で、隣の部屋だった。
内科の先生は、主治医の先生みたいに、私と同年代くらいの先生で、先生は、抗がん剤をやるメリットとデメリットを説明して、それから遺伝子検査の詳細を教えてくれた。
次に来るときまでに遺伝子検査を受けるかどうか、抗がん剤をするかどうかを決めておいてほしいと言われ、何か質問はあるかと聞かれたので、先生だったら、例えば先生の奥様が同じ状況だったら、抗がん剤受けますか?と聞いたら、あ、受けると思いますよ、となんともないように先生が言った。
だからきっとこの先生の奥様は、有名な病院のお医者さまと結婚をして、子供もいて、私と違って「順調な人生」を歩んでいる人だから、そういうふうにすぐに決断できるんだろうなと、勝手な想像で、見当違いな落ち込み方をした。
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