孤独と音楽

※音楽の話は後半にしか出てこないので場合によっては読み飛ばしてください

一人暮らしを始めて数ヶ月経った。

思ったより生活は成り立っていて、実家にいたときには全くできなかった料理もだんだんとできるようになってきた。掃除も洗濯も、時々サボりつつそこまで溜めずに何とかこなすことができている。

そしてなにより、思った以上に家族と(物理的に)離れても平気でいる自分に気がついた。
家族仲が悪かったわけではないため、もっと孤独を感じると思ってたし、3日くらいは毎晩泣きながら眠ることになるかと思ってたが、全くそんなことはなかった。

小さな部屋で1人、これまで私は思った以上に平穏に過ごしている。


高校受験のときも、大学受験のときも、同じ学校に進む友人は1人もいなかった。友人どころじゃない。中学校には150人、高校には300人の同級生がいたが、その1人として進学先を同じくする人はいなかった。

大学4年生になり、やっぱり一度は教員をやってみたいと思い、とある学校から内定をもらった。しかし、周りを見ると、4年間共に教職課程を履修していた友人の中に、実際に教員になる人はほとんどいなかった。


誰かと永遠に共にいることなどできない。そんな当たり前のことに、最近になってようやく気付かされた。

今でも学生時代の友人のうち、何人かとは繋がりがある。会えば話は尽きることがないし、楽しいときを過ごすことができる。
しかし、だんだん友人と私の間に共有できない事柄が増えていくのを、年々感じている。高校時代は同じ授業を同じ先生から教わり、同じ行事に参加し、同じ日々を過ごしてきた。しかし、異なる大学に進み、異なる業種・職種の仕事に就いた今、それぞれに違う世界を拠点として人生を進めている私たちには、過去の共通点は多々存在してきても、現在や未来の共通点はほとんど存在しないのだと、会う度に思い知らされる。

永遠に友人でいることはできるかもしれない。しかし、永遠に同じ世界を見続けることは、きっと誰ともできないのだろう。


私が一人暮らしをするために家を出ても、家族は変わらず平穏に暮らしているようだ。
更新されるインスタグラムの投稿の様子にも変化はないし、たまに実家に帰っても、家の様子はほとんど何も変わっていない。


一人暮らしを始めたとは言っても、週1〜3くらいで恋人が泊まりに来る。今ではその恋人は生活の一部と化しているが、1年前にはお互いに顔も名前も知らなかった。私の人生においてはかなりの新人である。

恋人のことは好きだし、できれば結婚もしたいし、ずっと一緒にいられたらいいと思う。でも、これまでだって何人かの異性と出会い別れを繰り返してきたし、いつまで続くかなんてわからない。仮に結婚して長い間共に暮らすことができたとしても、いつかはどちらかが死に、必ず別れが来る。


私の周りの人間は、流れるように入れ替わっている。
今私の身近にいる人間としては、職場の同僚や上司、生徒、それから恋人などが挙げられるだろう。しかし、その中には誰1人、2年以上前から知り合ってた人はいない。
ずっと一緒にいた家族だって、こうして今は(物理的にではあるが)身近な存在ではなくなったのだ。

人生をトータルで見たとき、結局人間は皆孤独なのだろう。
そう実感するようになってから、私は1人が怖くなくなったし、周りの目も怖くなくなった。どう思われても、所詮いつかは自分の周りからいなくなる人間なのだと、強く思うようになった。


そして同時に、孤独と一生向き合い、共存していくための方法を考えるようになった。孤独を癒す、ではない。一生付きまとう孤独をその場しのぎでごまかすのではなく、きちんと見据えた上で共に生きていく方法を考えるのだ。

一人で暮らせるようにお金を稼ぐだとか、家事をきちんとするだとかも、もちろん大切だ。人間も生物だから最低限生命としての活動は必要だし、そのためには経済的な活動も必要になる。

ただ、孤独とは身体や経済状況ではなく、感覚が感じるものだと思う。だから、理屈ではなく感覚に働きかけるもの、つまり芸術をあてにした。そして、私が個人的に最も好きな芸術分野、言語芸術と音楽を、今日まで頼ってきているのだ。


そう、話は長くなったが、今回私は“孤独と向き合う”ために頼っている音楽、というか歌詞を紹介したくて、この記事を書いているのだ。
前置きが本当に長くて申し訳ない。普段の授業もこんな感じで、本題に辿り着く頃には授業時間が半分過ぎていることすらある。

【孤独と向き合うためのプレイリスト】

①星野源「地獄でなぜ悪い」

この曲、人生におけるマイナス感情の全てに効くから本当にありがたい。困ったらこれを聞くのが良い。
出会いと別れを繰り返してナーバスな気分になっているとき、

ただ地獄を進むものが悲しい記憶に勝つ

と歌ってくれることがどんだけ救いになることか。そして、ただ地獄を乗り越えるだけでなく、その地獄の存在ですら肯定してくれるあたたかさ。

②the dadadadys「あっ!」

1番サビ?の最後の歌詞と、ラスサビ?の最後の歌詞がとても良いのに、触れている人をほとんど見たことがない。

だからぼんやり考えた/咲いているのはタンポポだが/えーっと俺は誰だっけ」(1番サビ終わり)
水に映ったいい顔を見て/そうだ俺は俺だった/よかったな」(ラスサビ終わり)

1番サビで自分の輪郭を失っているのに、ラスサビで取り戻しているというのがとても良い。しかも、取り戻したときの感想が「よかったな」って、妙に客観的なのも良い。自分の人生を俯瞰して見つめ直すことができたという感じがする。総じて、自分の存在や自分の人生のぼやけた輪郭を取り戻すことができる一曲だと思う。

ちなみにthe dadadadysは皆一度ライブに行ってみてほしい。tetoが好きだから受け入れられないって人も、一度ライブを見てから判断してほしい。ライブを見てもダメならまあしょうがない。

③中村佳穂「そのいのち」

孤独孤独ってこの記事で何回も言ってるけど、ここでいう孤独って、全ての人間と完全に断絶することではない。
だから、

生きているだけで君が好きさ/どこに行っても君が好きさ

という歌詞がとても効く。私自身孤独による寂しさや心細さを幾度となく経験しているけど、この曲に何度励まされてきたことか。

④MONO NO AWARE「異邦人」

人と違う道を行くことが不安になったときに聴く曲。

空に憧れても翼ひとつ生えないまま/背丈ばかりが伸びてゆくのは/あなたのその足が/土との別れを拒んだから


鳥のように羽ばたいていく周りの人たちを見て、自分も飛ばなきゃと不安になったことが多々ある。(それこそ教員になるかどうか決断するとき)
しかし、自分の直感が、羽ばたくことではなく歩くことを決めたのであれば、孤独を恐れずにそれを信じようと思える歌詞である。

※ちなみに同じアルバムに「孤独になってみたい」という曲があるけど、あれは孤独とは正反対な曲。あれもあれで好きだけど


というわけですごく長々ダラダラと書いたけど、要するに一人ぼっちなときに音楽聴くと励まされるねってことです。

ぜひ読んでくれた方はオススメの曲教えてください。

ここまで駄文にお付き合いいただきありがとうございました。

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