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思わぬ選挙制度の欠陥─不在者投票の申請が無駄になった話
今日、名古屋の選挙管理委員会から送っていただいた不在者投票。しかし、これが無駄になることが分かった。自分自身の反省もあるが滞在地での投票手続きに関しても改善の余地があるように思われる。今回は、不在者投票をめぐる一連の流れをお伝えして、反省と改善策を提示してみたい。
河村たかし氏の国政復帰による名古屋市長選挙
時は2024年11月の衆議院議員解散総選挙に始まる。名古屋市長を務めていた河村たかし氏が衆議院議員に復帰するべく、解散総選挙に立候補して無事に当選したのだ。その結果、名古屋市長を新しく選出することになり、名古屋市長選挙が行われることになったのだ。
僕は名古屋で生まれ育った。今は新社会人として、研修という名の丁稚奉公で1年間、関東地方に滞在している。そのため、住民票は名古屋のままである。その中での選挙である。
投票しない後悔から投票できない後悔へ
前回の衆議院議員解散総選挙では、人生で初めて棄権した。なぜなら、調べると選挙管理委員会に問い合わせて、どうやって手続きをするのか、どの時間帯なら行けるのかなど、ありとあらゆることについて問い合わせなければならないからだ。残念ながら、物流企業に勤めている人には法的上、保障されている休憩など存在しない。
これが自分にとって大きな後悔だった。ちゃんと問い合わせをしていれば、もしかしたら不在者投票できたかもしれない…。そう思い、今回の市長選に関しては投票しようと決意したのであった。
11月14日の空いた時間に、マイナンバーカードを用いた不在者投票の申請をした。そして、今日、11月18日、その用紙が来たわけである。
中の手紙を読むと、居住地の選挙管理委員会の執務時間に当該選挙管理委員会まで来るように、との旨が書いてあったので、居住地の役所に電話をかけたのだ。ところが、居住地では選挙をやっているわけではないので、土日に投票に行くことはできない。要するに、平日の役所の開庁時間に行くしかないのである。
しかも、平日に休みを取ることが祝日を除いて禁じられていることに加え、すでに公休を使い切っている現段階で、もはや投票に行くこと自体が不可能である。
選挙制度の欠陥では?
これは選挙制度の欠陥と言えるのではないか?
つまり、かく如くの選挙制度により役所へ出向くため休暇を取得しなければならず、すなわち、給与の損失と引き換えにしなければならないわけで、「民意を示すこと」と「給与の損失」が同等でなければならないのである。
当然、現代では民意を示したところでその恩恵を預かる実感がない(=政治的有効性感覚のなさ)があるわけで、投票するくらいならお金を稼ぎに行って経済的価値を創り生計を立てる方がよっぽどいいはずである。
しかし、だからと言って全ての人が投票<金稼ぎ、というわけでもない。そうなれば、投票したい人が投票できるような制度に組み替えねばならないだろう。
脱役所/国政中心の不在者投票を
具体的な案というものは、私には備えていない。けれども、少なくともこれだけの改善は必要である、というものは示せるのでいかに述べたい。
第一に、役所以外での不在者投票の実施を可能とすべきである。
現在、不在者投票を実施するには役所で選挙管理委員会の監視のもと、厳正な公正さを求めた流れとなっている。しかし、普通の選挙では選挙管理委員会の委員が直接監視しているわけではない。投票立会人という監視する人が選挙管理委員会から選任される形で行っている。そういう意味では、常に選挙立会人を行える人物を選任しておき、役所以外の場所でも不在者投票ができるような場所を設けておくべきである。こうすることで、投票目的の役所来訪のために、時間とお金におけるコストを低減させることができ、より手軽に投票することができるようになるだろう。
第二に、地方選挙における不在者投票の充実も欠かせない。
実は、国政選挙のように全国で選挙が行われる場合、休日に役所に行って投票することが可能であるが、地方選挙の場合、それ以外の自治体/都道府県に居住している役所は休日に対応してくれるわけではない。そうなれば、平日に役所に行って不在者投票するしかないのだ。果たして、平日に仕事を投げてまで役所に行って投票する者がどこにいるのだろうか。地方選挙でも休日に対応できるようにするか、平日でもよりコストを低減した手続きができるように制度設計することが望まれよう。
自分も悪いと思うワケ
ここまで、いかにも社会問題のごとく解決の糸口まで論じてきたが、人のせいにできるのかと言えばそうでない。なぜなら、朝日新聞デジタルによれば、すでに10月15日時点で名古屋市長選挙の日程が報じられており、それを見て不在者投票について検討していれば、休みの取り方を変えることもできたわけで、今頃、こんな詰みの展開を見ることはなかったからである。
さらに、公示日当日にマイナンバーを用いてオンライン手続きをしていれば、より休みまでの間に誰に投票するかの余地もできたはずである。すなわち、不在者投票の申請が遅すぎたのだ。
ただ、やはり不在者投票の制度を知っている者は少ないはずだ。
多くの人が活用し、不満を漏らして声を上げなければ変わらないだろう…