【第25話】ニコンはフィルム時代のAFレンズが魅力的!「絞り環、コンパクト、安価」3拍子揃った名玉探しは面白い
当コラム「寫眞機余話」も第25話となった。
1980年代後半、現場を離れてから、2010年代に趣味としてカメラを再開するまで、私には空白の30年がある。その間に誕生した機材を中心に忘備録も兼ね、好奇心の赴くまま駄文を重ねている。恥の上塗りのようなコラムなのだが、これまで500を超える「スキ」を頂いた。誠に恐縮至極。感謝に堪えない。
今回のテーマは、フィルム時代に誕生したニコンのAFレンズ。具体的には、1990年代に発売されたDタイプと呼ばれるレンズ群である。
Fマウントといえば、デジタルカメラに対応したGタイプを利用している人が多いと思うが、Dタイプは古いレンズではあるが、いくつか利点を感じている。
まずは、絞り環があること。その効果は多大である。
D850やD6、D5、あるいはD780、D750など現代のデジタル一眼レフから、Nikon F、F2、F3と言ったMF式フィルムカメラまで幅広く使える。汎用性は抜群に優れている。
次に、比較的コンパクトなレンズが多いこと。それゆえ、Dレンズはスナップ向きと感じる個体が多い。
これが一番重要かもしれないが、3つ目はDタイプは安いということだ。f1.4の大口径単焦点が1万円台で買えてしまうのもDタイプの利点である。
「フィルム時代に誕生したレンズなのだから、AFは遅いのでは?」と思う人は多いと思う。私もその一人だった。
しかし、いくつかDタイプを手に入れ撮影に連れ出した限りでは想像以上にAFが速く正確だった。こうした発見も趣味カメラの面白さである。
では、具体的に、2本のDレンズを見ていきたい。
まずは、ポートレートの定番と言われた「AI AF Nikkor 85mm f1.4D (IF)」。
ニコンにはデジタル対応のGレンズ、f1.4の58㎜、85㎜、105㎜という素晴らしい単焦点がある。
こうしたレンズ群は合焦部分の解像力だけでなく、ボケが始まったところから完全にボケが溶けたところまで、連続性に留意している。このため、被写体の立体感、再現性に優れた銘玉として、プロアマ問わず、人気の高級レンズである。
ニコンはこの設計思想を「三次元的ハイファイ(高再現性)」と呼んでいるが、フィルム時代に誕生した「AI AF Nikkor 85mm f1.4D (IF)」はその元祖レンズとも言われている。
鏡筒はGレンズに比べ小ぶりで重量もやや軽い。何よりGレンズの半値で買えてしまう。(私は約6万円で購入した)
Gレンズとの比較や作例などはブログにまとめたので、関心のある方は参考にしてほしい。
「AI AF Nikkor 85mm f1.4D (IF)」の表現力だが、日中は解像感がしっかり、それでいて柔らかい絵作りだった。一方、夜間は雅(みやび)な表現力。なかなか面白いレンズだった。
(上記写真は、Nikon D850 + AI AF Nikkor 85mm f1.4D (IF)で撮影)
もう一本のDタイプは、本日届いたばかりの「Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 ED」である。
私の個体はDタイプ(1994年発売)のひと世代前、1988年に発売された「New」と呼ばれるタイプ。ただ、鏡筒のデザイン・材質、レンズ構成はDタイプと同じだ。
Dがつくと中古価格は5〜6万円台だが、「New」は2〜3万円台が相場のよう。ちなみに、私は2万5000円で手に入れた。
このレンズ、F値2.8と明るい180㎜にしては、サイズが78.5x144mm(最大径x長さ)、重さ760gと比較的軽量コンパクトだ。
70-200㎜の大三元は1kg以上は覚悟しなければいけないが、私は軽さ・携帯性を重視して、この単焦点を選んだ。
この「Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 ED」はYouTubeでも紹介動画を見かけない。紹介しているのが、ほとんど海外のフォトグラファーばかりだ。
そんな中で「フィルムカメラ女子」というYouTubeチャンネルで、D850にこのレンズをつけてポートレートを撮影している動画があった。サイズ感がよく分かる動画なので参考にしてほしい。
なにぶん、きょう届いたばかりなので、まだスナップに持ち出せていない。
ただ、ボケ味や立体感、解像感、色味を参考にして欲しいので、即興で撮影した写真を掲載しておきたい。
(上記写真は、D850 + Ai AF NIKKOR 180mm F2.8 EDで撮影。いずれもf2.8開放)
いかがだろうか?
私はこの写真を見た瞬間、上品な色味や自然な立体感・ボケ味に感心した。この邂逅が楽しいのである。
「これだからFマウント探検は面白い」と改めて実感した。
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